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SS置場3
接待1 (L?)
ちょ、ホントに時間ない!!書き上がってないのをUPするの嫌なんだけど(辻褄合わなくなったりするし)
時間ないからとりあえず出来てるところだけUPします。ちゃんと書き上がるか不明!(えー  校正も
できてない時間無いうぇー











「ユースタス・キッドだ」
急病で倒れてしまった友人の代わりに、友人の会社の取引先の要人(の、家族)の接待を押しつけられて
しぶしぶ出向いた相手の宿泊先のホテルの一室。
初対面だというのに手を差し出す事もなく堂々と自分の名だけを言い放った相手は、歓待されるのに慣れているのか
入ってきたキャスケットをちらと眺めた後、ゆったりとソファの背に身を沈めた
「あ・・・、日本での案内役を仰せつかりました。・・・ペンギンです。」
少し躊躇ったが結局 友人の名で通す事にしてぺこりと頭を下げる
なにせ自分は友人の会社から見れば全くの部外者で、本当なら社内の誰か別の人間に任せるべき役割を
担ってしまったのだから取引先の要人の息子さんにそれを知られても、ペンギンの会社の人間に知られても困る。
そもそも、キャスケットはまだ社会人ですらないのだ。
大卒で、知人に誘われて大手会社に就職した友人と違ってキャスケットは院に進んだ
バイトで4年ほど接客業を勤めているキャスケットの接待慣れしている点と少々の我が儘も笑顔で応える事の出来る
気の長い性格を買われて、親しい友人から頭を下げられてしまったのだから仕方ない
丸5日の拘束は結構イタイのだが、夜は相手をホテルに送り届ければ後は帰ってもいいのだから、と普段滅多に弱った顔を
見せない友人に言われて バイトのシフトを2日ほど代えて貰えばいけるかな、とOKの返事を出した。
"結構クセのある人だから、おまえにしか頼めない"
同い年だから おまえなら共通の話題もあると思うと困り顔で言われて キャスケットの話題の豊富さをアテにしているというよりは
多方面の知識があればどれかで気が合う点もあるかもしれないというペンギンの希望的観測だな、と苦笑した
"いいよ。5日だけお守りすればいいんだろ?お客さんの我が儘には慣れてるから"
少しは覚悟して引き受けたキャスケットなのに、会って1時間もしないうちに後悔が押し寄せていた

『えっ?でも、今日はこの後すぐにD社の方と会談してそのままお食事の予定と――』
伺っておりますが、と言い終える前に腕を引かれて室外へと飛び出した
「あの?!ユースタスさん?」
慌てるキャスケットが辛うじて自分の持ってきた鞄を掴むのがやっとで、スタスタと先に進む相手が腕を離してくれない為
仕方なく同じ歩調で後を追う
「つまんねぇ。どうせ俺が会ったって意味ないんだ。あいつらが本当に用があるのは俺じゃなくて親父だろ。」
"それより外を歩こうぜ" と言うや否やの行動に泡を食っていたキャスケットはついていくので精一杯だ
「それにしたって、急なキャンセルは相手に失礼、」
キャスケットの言葉は今度も最後まで言わせて貰えなかった
『あ、俺。今日のD社との会食、キャンセルな』
いつの間に取り出したのか ユースタス・キッドは己の携帯でどこかに連絡を入れており、目を瞬かせるキャスケットの前で
あっさりその日の予定を覆した
「――これで 自由だぜ? フリータイムだ、好きに歩こう」
自由ったって、いったいこの人は何をしたいんだ?
父親の代わりの堅苦しい会食が嫌だったんだろうかと推測してみたところで今の状況は変わりない。
秘書的な役割と接待の中間のような仕事だと聞いていたのだけど、どうやらこの様子では自分は彼のお守りというか、
お供役みたいなものなのかと認識を改めたところへ、
「ペンギン。おまえ、免許はあるか」
「え、免許って?」
友人の名前で呼ばれて 顔を上げたキャスケットは ユースタスの肩越しに車を見て 運転免許かなとあたりをつけた
「車のですか? 一応、持ってますけど」
正直に答えつつ 表に出さないようしていたが内心冷や汗ものだ。
見せろと言われたらどうしよう。免許の名前は自前のままなのに

だが、キャスケットの心配は杞憂に終わった
・・というよりも 次に彼の口から出た言葉にぎょっとしていたので心配する暇も無かったのだが。
「試乗しよう。これに乗りたい」
「え、・・・えぇっ?!」
面食らうキャスケットをひっつかんでその店に入っていったユースタスは どう話をつけたのか分からないが、その数分後には
キャスケットと二人で彼の指し示した車の中でくつろぐいでいた
・・・いつの間にこんな事になったんだ?
けっして頭の回転が鈍いわけではないキャスケットだが、彼の行動はキャスケットの思考を遙かに上回っているのだ
「おい。そこで停めろ。運転代わろうぜ」
「・・・はい。」
言われて素直に停車する
乗ってみたいと言うだけあって自分でも運転したいのだろう
席を替わった途端に、ユースタスの目が楽しそうににやりと細まる
「どこに向かうんですか?あまり遠くまで行ける時間はありませんよ?」
彼にこの辺りの土地勘は無いのだった、と思い当たったキャスケットがナビを起動させながら尋ねると同時に車が動き出し、
するりと他の車の流れに乗る
「時間なんて気にするな」
口笛でも吹きそうなほど上機嫌な様子のユースタスは行く先も決めてないのに適当に車線を変え、道を曲がっていく
「っちょ、高速なんて乗ったらそれこそ試乗時間をオーバーしちゃう!」
思わず敬語が崩れてしまったのだが彼は気にも留めなかった
「へーき、へーき」
「平気じゃないですよっ」
喚いてみてもハンドルを握っているのは隣の男で、そもそも既にゲートの目前まで来てしまっては避けようがない
「あ・・・あ〜・・あ。乗っちゃった・・・」
後ろを振り返ると入り口がみるみる遠ざかっていくのが見えた
(ちょ、これは、一体何キロ出てるんだ?)
「ゆ、ユースタスさんっ、飛ばしすぎ!日本の高速はこんなにスピード出さないんですよっ」
ヤバイ、自分は代わってはいけない相手にハンドルを握らせてしまったらしい。
次の出口で降りますよと言う前に事故でも起こしそうでキャスケットは慌てた
(ペンギンめ!ユースタス氏がスピード狂なら先にそういう情報は聞かせてくれなきゃ困るよ!)
「や、やっぱりいくら運転に自信があってもこれは試乗車で借り物で!それで事故は困るんですっ」
「借り物じゃなきゃいいのか?」
「よくないですけどっ!」
さらにグン!とあがったスピードにキャスケットは本気で悲鳴を上げた
「ちょ、ちょ、ちょ、こんなスピードでカーブに入らな、うわあぁっ!」
キュキュキュ、とタイヤが嫌な音を立てる
うわぁ、これきっと返すまでに相当タイやが擦り減っちゃうぞ
お願いだからコーナリングはもっとスピード落として曲がって下さいっ
「ひ、ひぃっ!も、誰がこんなスピード狂に免許与えたんだよ!」
俺が教官なら絶対不合格にしたぞ!と独り言にしては大きすぎるキャスケットの悲鳴にユースタスは声を立てて笑った
「はははっ、怯えすぎだ、ペンギン。安心しろ、俺の無免歴は10年のベテランだ。事故ったりしねぇ」
「無免っ?!?!!」
今、聞き捨てならない事を聞かなかったか?と目を剥くキャスケットの横でユースタスが頷いて肯定するのを見て
キャスケットの血の気が引いた
「・・・っユースタスさん!今すぐ 運転を代わりなさいっ!!!」
接客?そんなの、知るもんか!俺はペンギンの会社での立場より命の方が大切だ
もの凄い剣幕で怒鳴りつけたキャスケットをぱちくりと見たユースタスは ふ、と唇の端を上げて笑うと どういう気紛れか
それでもおとなしく路肩に停め、キャスケットに運転を明け渡した





接待? とんでもない!世話をするどころか1日振り回されて終わってしまった。
あれは我が儘の範疇を越えている
まだ遊び足りなさそうなユースタス氏をなんとかホテルまで送り届けて下宿まで戻ってきたキャスケットは
1日を終えてマンションまで戻った事だけを友人にメールで連絡してぐったりと床に倒れこんだ
電話で報告なんてしてしまったらお守り相手に対しての愚痴や文句がたっぷり口から出てしまうような気がしたのだ
具合が悪くて寝込んでいる相手にそれはしたくない
(食事を作る元気もない・・・ なんか買ってくればよかった)
そんな気力もなく真っ直ぐ自宅に戻ってしまった
帰宅した事で安心したのか今日1日の疲れがどっと肩にのしかかってくる。
(食べないにしてもせめて風呂・・・いや、シャワーだけでも浴びなきゃ・・・)
思いながら 閉じた瞼が持ち上がりそうになくてそのまま うとうとと眠りに落ちそうになった所で
突然鳴り響いた携帯に飛び上がった
「ぺ、ペンギン・・・か?」
報告のメールを見て様子を聞くために掛けてきたのだろうか
寝惚けて動作の鈍った手でフリップを開く
表示を確かめる余裕もなく通話ボタンを押した途端、飛び出してきたのはさっきまで耳にしていた声で
『遅ぇ。今すぐ来い』
キャスケットが声を出す暇もなく、それだけ言って通話はぷつりと切れた





"・・・明日のスケジュール・・・"
"向こうの・・・体調不良・・・・キャンセル・・・くっくくっ・・・"
帰った途端に呼び出されてとんぼ返りでホテルに戻ると フロントに 『ラウンジに来い』 と伝言があった
なんなんだよ、もう!と怒りを押し殺しながら足を向けたキャスケットの目にユースタス氏の姿が映る
誰か見知らぬ相手と何か言葉を交わしていた彼は、その親しそうな様子から知人、もしくは友人と話しているように見えた

「よぉ、ペンギン。思ったより早かったな。」
キャスケットに気付いたユースタス氏が軽く手を上げて合図する
「こいつはこっちの知り合い。 トラファルガー・ロー。」
紹介された相手が よろしくと言って にかりと笑う
・・・なんだか この人もユースタスさんと変わらないくらい迫力のある人だな。
(類友?)
一瞬浮かんだ失礼な考えは ささっと頭から振り払う
このユースタス氏は勘が良く、滅多なことを考えていては彼の不機嫌を買いかねない
その思考もお見通しなのか くすくすと笑って立ち上がったユースタス氏は ぽんとキャスケットの肩を叩いて いくぞ、と言った
「え、どこへ・・ですか?」
キャスケットの質問に答えたのは隣でゆったりと足を組んで座っていたトラファルガー氏の方だった
「まだこんな時間だろ。飲みに行こうぜ」
「え、俺、いえ、私も、ですか?」
いやだもう帰って眠りたい。 頭を過ぎった考えは流石に言い出す事ができなかった
折角お近づきになったんだし奢るから来いよと言われてしまって断る理由を思いつく前にひっぱられる
(できれば、あんまりお近づきになりたくないんです、俺ペンギンの代理だし!)
そりゃ、今日はもうレポートだとか勉強なんてやる気力はないけどさ・・・
だからこそゆっくり睡眠を取って明日に備えたいという気持ちは分かって欲しい
そのささやかな願いも空しく 二人に連れ出されたキャスケットは夜の街へと消えて行った










すいません続きます。
そういえばバンさんのお話で、かなりナチュラルにバンダナとヘアバンを間違えてましたね。昨日気付いて
バンキャスとCatch!の投稿を直しました← えぇ。それはもうさらりと初めから間違えてなかったかの如く^^



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