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SS置場3
夢エピローグ P
予告していたその後の一場面です










改札を抜けて家へと向かっていたペンギンは、繋いだキャスケットの手が細かく震えている事に気付いた。
初めて行く家で緊張でもしているのか?と彼の顔を窺えば俯き加減のキャスケットの様子がおかしい
「キャスケット?」
名を呼ばれて こちらに向けられたキャスケットの顔にはうっすらと汗が滲んでいる
「ペ、ンギン、さん」
なんか、変。
小さく そう告げられて俄にペンギンに緊張が走る
四面楚歌の敷地から離れる事を優先したのだが その場で彼をなんとかした方がよかったか――?
「すぐに うちだ。急ごう」
ぐい、と腕を引いて小走りに自宅マンションへと向かう
繋いだ手の熱が徐々に高くなってくるのを感じ取ったペンギンが ロビーを抜けてエレベーターに向かう頃には
足の縺れだしたキャスケットを抱えるようにして走り出していた
――はしゃいでいたキャスケットが 車内でも途中から静かになっていた
あの時すでに異変を感じていたのろう
「我慢する奴があるか。何を塗られたかも分かっていないのに!」
普段 物音を立てないペンギンが バタンと派手な音を上げて玄関を開ける
靴を脱ぐのももどかしく思いながら、キャスケットを抱えたままペンギンはバスルームへと飛び込んだ


シャワーがお湯に変わるまで待ちきれない
「・・・熱、い・・・」
魘されるように漏れた声が言うように、抱えたキャスケットの体も熱い。
「少し冷たいかもしれないが我慢しろ」
コートを引き剥がした途端に現れた火照って桜色に染まる体に向けてシャワーを放つ
「っひゃ、ぁ」
キャスケットが声を上げて跳ねたのは冷たかったからだろう
「洗い流すから我慢しろ!」
少し待てばお湯に変わるから、と逃げそうになるキャスケットを捕まえて付着した粉を流していく
汗で皮膚に貼り付いたソレはシャワーの水に溶けて透明な色に変わっていく
「や、ちょ、待って、ペンギン、さ、」
手でノズルからの放流を避ける仕草を見せたキャスケットが、ずるずると床にへたりこんでいく
「? もう冷たくはないだろう?」
シャワーの水はお湯に変わり始めている
なのにキャスケットはシャワーから逃げるようにくるりと背を向けた
透明になった粉は 簡単に落ちると思われたくせに、水に溶けてとろりと粘性を帯びはじめ、ぬるぬると
キャスケットの肌に残っている
落ちない事に舌打ちしたペンギンが 水流を強くしたシャワーを彼の背に向けた途端、びくんとキャスケットの体が仰け反った




一方、キャスケットの方は己の身体の反応にパニックを起こしながら全身全霊で焦っていた
火照った体に掛かった水が心地よかったのは最初の一瞬だけだ
いや、今も、決して気持ち悪いわけじゃない。
(こ、これ!絶対、媚薬か何かだ!)
身の内に熱が籠もり始める
電車の中に居た時から燻っていた正体不明の熱がはっきりと形を変えていく
(だめ。 シャワーが当たる刺激が、んっ、きもち、い・・・・・・)
こんな、ペンギンさんの目の前で粗相なんてしたくない
慌てて両手を突き出しても防げる水滴はたかが知れている
待って、と言いながらシャワーを避けて背を向けたのは、ソコが形を変え始めたからだ
(いやだ!ペンギンさんに、気付かれてしまう)
ぺたんと床に座り込んで、どうしたらこの状況を打開できるのと必死で頭を働かせる
「い、いいから!あの、俺、一人で流せ、・・・・ん、あっ!」
さっきよりも強い水流が背中を伝って、思わず床に手をついて仰け反った
「あ、や、だめっ」
次々と肌を弾く水滴にびくびくと跳ねながら、必死で膝を使ってずりずりと這うように逃げる
なのに、キャスケットの稼いだささやかな距離なんか物ともせずにシャワーが追いかけてきてしまう
「ぁ、っは、あ、うぁっ」
のたうって逃げる様が見えているはずなのに、ペンギンは容赦なくあちこちにシャワーを走らせる
与えられる刺激で キャスケットの性器は 完全に勃ちあがってしまっていた
「・・・ぬるぬる、なかなか取れないな」
こちらの事情を知ってか知らずか、暢気に話すペンギンさんが少し憎らしい
「洗ってやるからこっち向け」
――冗談じゃ、ありません!
ぶるぶると首を振って拒絶を示したのは キャスケットの舌はすでに言葉を発する余裕が無かったのと、
肩を掴んだペンギンの手に意識を持っていかれたから。
(無理!絶対無理!)
これ以上ペンギンさんの手で触られたりしたら――
「なら、そっち向いたままで、洗ってやろうな」
声が聞こえて ぎょっとしたキャスケットの目に 背後から伸びてきた手が写ったのと その手がぺたりと胸に触れたのとは 同時だった




「ん、うんっ、んぁ、あっ、あっ!」
声を上げて身悶えるキャスケットの体は もうすっかり背後のペンギンに凭れてそのがっしりした体躯に体重を預けていた
気付けば唯一身に纏っていた下着も取り除かれペンギンの大きな手が完勃ちになったそれを擦っている
(い、いつの間、に)
さっきから考える思考は途切れがちで、首に点々と赤い跡を残していく唇に邪魔されて 一向に先に進まない
「・・ぅうん、」
喉から漏れる声は気持ちよさそうに甘える音ばかりで 言葉を挟む余裕はなかった
(でも、でもっ)
言うことを聞かない腕を必死で持ち上げ、キャスケットの体を操る手に触れる
「ぁ・・・っ」
快感に耐えるように、頭を振った弾みで その手をぎゅっと握ってしまう
「何だ? 嫌、なのか?」
耳を擽る声にすら感じて キャスケットはまた声を上げて身を震わせた
少し 加減された手の動きがキャスケットの様子を窺っている間に、上がりきった呼吸を必死で整え なんとか言葉を押し出す
「ち、違っ、・・・ん、っ、ぺんぎ、ん、さ・・・ぁ、っ」
ゆるゆると動きを再開しだした手に言葉を途切れさせながらも、縺れた舌をぎこちなく動かした
「す、き、・・・で、す・・・んぁっ、あぁ・・・!」
ようやく言葉を絞り出した途端、激しさを増した手にキャスケットの喉は短い音しか出せなくなる
(ちょ、待って、あ、ペンギン、さんっ)
ぼうっと霞んでいく思考と湯気で真っ白の視界。
縺れる舌がどこまで正確に発音できるか自信はないけど、キャスケットは必死で自分の意志を伝える
(この体勢、顔が、見え、なくて、嫌)
目に映る自分の脚は 普段見慣れた白いものじゃなくて、桜色に色づいて ふるふると震えていた
その脚の間を自由に動く 自分のものではない腕
手を、握りたくて 自分の指がその腕に這うのが見える
(キス、したい、なぁ・・・)
こんな、訳の分からない粉に煽られた勢いじゃなくて、
ちゃんと、自分の意志を伝えて、ペンギンさんの言葉を聞いて。
(あぁ、でも・・・ペンギンさんは 雰囲気に流されただけかも。)
俺が、媚薬で興奮した姿を晒したから。
自分のモノを弄る他人の手が、ペンギンの指だという事が余計にキャスケットの熱を煽る
(いいや。ペンギンさんが 流されただけだとしても、俺は、好きなんだもの。)
自分の気持ちが本物なら。それで、いい。
「ん、んんっ、も、だめ、」
我慢できそうにない
―― イってしまう

キャスケットが そう思った瞬間、ぐい、と後ろに倒された体に黒い影が被さり、唇に何か暖かいものが触れる
それがペンギンの唇だと理解した瞬間、さっきから休み無く扱きたてる手の中に キャスケットは精を吐き出していた







寝かされたベッドの中で キャスケットはぼんやりと天井を眺めていた
脱力しきった体は当分動かす気力も沸かない
(結局、俺がイかされただけだ)
ペンギンさんは流されたわけでもなんでもなくて。
薬で盛った俺の体を鎮めてくれただけなんだ・・・

キャスケットは そっと手を動かして自らの唇に触れる
キス―――されたような、気がしたんだけど、あれは、俺の見た都合の良い夢・・・?
体に籠もる熱と浴室の湯気と酸欠で相当ぼうっとしていたから
(でも、ペンギンさんの手は、本物だ)

かぁっと頬に血が集まる
とんでもない醜態を見せてしまった
(どんな顔すればいいんだよ)
その上 自分は熱に任せて思っていた事を口走ってしまった
好きだ、と、告げてしまったのではないか
(や、俺が、ペンギンさんに惚れてるなんて、とっくにバレバレなんだけどさ)
あんな状況で告白するつもりなんてなかった
もっと、軽い口調で なんでもない風で・・・ちゃんと、ペンギンさんが 聞き流してしまえるくらいの軽い調子で 言うはずだったのに。
失敗したなぁ、と溜息をついて布団に潜ったところで かちゃりと扉の開く音がした
ぎくりと体の動きを止める
なのに、起きている事はすぐにバレてしまった

「具合はどうだ?どこかおかしなところはないか」
開口一番、自分を気遣う発言では 寝たふりなんかできるはずがない
「・・・もう、なんともないです」
もそ、と布団の中で動きながら体調を告げる
「そうか。」
良かった、と息をついたペンギンが布団を引っ張る
あぁ、顔を、合わせないと いけないのか。
覚悟を決めたキャスケットが それでもぎゅっと閉じた目を開けるまでの逡巡の間に、
頬に手の温かみが触れる
え・・・と思わず目を開ければ、すぐ傍にペンギンのアップがあって、
どくんと大きく心臓が鼓動を刻む

「続き、しても 平気か」
――続き?
「え・・・?」
戸惑うキャスケットの両頬が手のひらに包まれる
「バックは嫌なんだろ」
え、・・・・えぇ?!
言われた言葉の意味は、あの時キャスケットの口走っていた事への、返答・・・・?
驚きに目を見開くキャスケットの瞼が ゆっくりと閉じていく
・・・ペンギンの、唇が 近づいてきたから


――媚薬の効果は もう切れてるだろ。
確かに おまえの痴態には煽られたけど、流されたわけじゃないからな


(それって、やっぱり、そういう、意味――?)
尋ね返すのは 無粋な気がして、キャスケットは口付けを受けながら 逞しい彼の背に腕を回して抱きついた






 無言の包容は雄弁に語る


やっぱり言葉はくれなかったけど、その方が彼らしい。
言葉じゃなくて、伝えるのは彼の唇とその体温









粉が遅効性の媚薬とかだったらいいね。とベタな展開をちょろっと語ったらなんだか書かなきゃいけないような
気がして書き進めてしまいました。勿論ペンギンは途中でキャスケットの状態に気付いてる。しつこくシャワーで
喘がせてたのもわざと。…けど、まぁそのまま押し倒さずに我慢して引いたのは偉い、かな。後でヤるつもり満々
だけどさw あー。こういうのローでやりたい。ロキャス書きたい。ローの脳内イメージが固まってて割り振りできる
役柄が限定されるのが問題なんだなぁ・・・ まぁ今回のはローでやっても違和感なかったかもですが、多分ローなら
そっこー気付いてすぐに押し倒しちゃうと思われ。


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あきゅろす。
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