[携帯モード] [URL送信]

SS置場3
博愛 E

登場するのはキャスケット+その他船員のみ。ローは名前のみの登場でペンギンに至っては名前すら(ぇ ←
こんなところでも迫害されているペンギンさんでしたww いや、たまたまなんですが!








「キャスケットってさぁ、クルーみぃんな大好きだよね」
乱れたシーツに転がって息を整えていたキャスケットの腕が取られる
触れて遊ぶように指を絡めて手触りを楽しむ男が ちゅ、と指先に唇で触れた
別段返事を求められている様子もないので目を閉じたまま 戯れる指先から腕の方へ流れていく唇の好きにさせる
「俺のことも、航海士も、整備士も、バンやベポだって、みんな好きだろ」
伸び上がって まだ伏せているキャスケットの顔を覗き込む仲間の体からは男の匂いがする
「・・・うん、好きだよ」
その答えに満足したのか にこりと笑ったクルーは言葉を続けた
「人だけじゃなくて、帽子も、武器庫に収まっている沢山の武具も、日々使う食器だって、大好き?」
誘導尋問のような流れを感じながら、でも 身構える必要もなくてキャスケットは こくりと頷いた
素直だね、そういうところが好きだよと口角を上げた船員が手を伸ばす
頭に乗せられた手は撫でるつもりだろうか
表情も、目も、微笑みの形を保った仲間の動向をキャスケットは黙って見守る
「なのに、キャスケットってば、自分の事だけは好きじゃないよね」
さら・・・とキャスケットの髪を指でなぞった仲間が指摘する
彼は言葉を選んでくれたようだが 好きじゃない、と言うよりはむしろ積極的に嫌いだった
「どうしてそう思うの?」
キャスケット自身は どうでもいいと思っていたが 事後の軽いトークを好む相手に付き合って言葉を返す
前髪を指で掬って 露出させたおでこに口付けを落とす男が愛しそうな目で自分を見る
「でなきゃ、誰とでも寝るなんてしないでしょ。セックスがそんなに好きなわけでもないのに、求められれば
誰にでも簡単に体を与える」
少しは自分を大切にしてくれないかなぁ
苦笑いと共に 独り言のような呟きが落ちてくる
「別に好んで体を傷つけたりはしないよ」
この海賊団を守るために、船長を守るためには必要な事だから 無意味に体を痛めたりはしない。
きちんとメンテナンスをして いざという時に自在に使いこなせるように鍛練だって怠ってない
「うーん・・・ 体・・・の問題でもないんだけどねぇ」
男は キャスケットが大切にしたくなくても俺には大切なんだよ、と言いたげに肩に唇を落とした
「安っぽいものでも与えるように簡単に体を投げ出すの、止める気ない?」
「・・・易い相手が嫌なら手を出さなきゃいいのに」
もっと高尚な体がいいなら キャスケットを選ばなければいい
欲しいんなら幾らでも貪ればいいし、要らなくなれば誰に憚る事なく棄てればいいんだ
キャスケットのその考えが伝わったのか 彼はやれやれ、というように頭を振った
「そうじゃなくてさ。キャスケットだって、自分が大切にしているティーカップやダガーが粗雑に扱われていたら悲しいだろ?」
さらりと日用品と血生臭い武具を並列させた男はキャスケットに解りやすい例えを出したつもりだろう
でも、身の回りの愛する物達の中に "自分" という項目が含まれていないキャスケットには うまく理解できない
なので彼の望む答えではないと知りつつ言葉を紡ぐ
「・・・なんで俺なんかが欲しいって思うのかは分からないんだけど、喰いたいって望む人がいるならいくらだって差し出すよ?」
骨までしゃぶり尽くされたって 惜しいと思うような気持ちは沸いてこない
ふむ、とキャスケットを見下ろした相手は次の説得を思い付いたのか 口元を綻ばせた
「キミは 誰か "この人だけにあげたい"って思う人は居ないのかな? 例えば、この船の人間全員が欲しいと言ったとして、
手持ちの宝が一つしか無かったとしたら? 誰に それを与えたいと思う?」
今度の質問はなかなか難問だった
仲間はみんな好きだ。
誰の名を挙げられても愛しいと思うし その愛情に優劣をつけろと言われても自分には選べない
だったら みんなに好まれてる相手にあげるのが一番争いがおきないかな? みんなに愛されて可愛がられているクルー・・
――例えば ベポ・・・とか?
考えこんだキャスケットが ふと目を上げる
「それは 船長も含まれてる?」
キャスケットの質問に 彼は おや・・・と眉を上げた
「勿論、船長もだね」
これで答えは決まった。
確かめるように頷いたキャスケットが自信ありげに答えを口にする。
「船長、だ。 一つしかない物なら 船長に渡す」
キャスケットの答えに 男は 一つ息を吐き出した
「やっぱり、そうか。」
何がやっぱりなんだろう
キャスケットには今一つ理解出来なかったが 彼はそれで納得したらしい
嬉しそうに微笑んだ彼が口付けを落とすのをおとなしく受け止める
それが深いものに変わらないのは 今が朝でこれからもう一戦交えるには少々時間が足りないからだろう

「ねぇ、キャスケット。キミは今 たくさんの愛しい相手の中から船長を選んだんだよ。この綺麗な体を
船長以外の人間に与えるのは止めにしなさい。少しの迷いもなくあれだけきっぱり言い切れる相手だ。
キミはどれだけ船長に惚れ込んでいるんだい」
少々妬けるね、と笑う男の確信的な物言いに目を見開く
そんなつもりはない。船長なら誰もが納得するし文句も出ないと思っただけだ。 第一、
「船長は俺なんか抱かないよ」
求められた事なんて一度もない。それに船長なら幾らでも相手が選べる。わざわざ男の自分を欲しがるとも思えない
「そりゃあ、ローは美食家だもの。誰でも抱く事の出来る体なんて欲しがらないよ。ねぇ、船長に欲しいと思わせるくらい
価値のあるものにしたくない? ローの事だから、"自分しか抱けない体" なんて喜ぶと思うけど。」
きっと 大切にして他の男になんて触れさせないだろうな
にこにことそう話すクルーは何故だか嬉しそうだった
自分の思い付きが酷くいい事のように話し、キャスケットの頬を愛しそうに撫でる
「・・・それって、あんたと寝る事はなくなるって事になるけど」
好きに顔を弄らせながら彼の提案の欠点を指摘してもその表情は変わらなかった
「それは残念な事だけど、キミが少しでも自分を大切にしてくれるんなら俺は嬉しいよ」
少しも悲しくなさそうな顔で言われて キャスケットも少し考えた
「・・・あんたがそうして欲しいなら、その提案 受け入れてもいいけど」
幸い自分はそうセックスが好きではない
欲しがる人間にあげられなくなるのは少し心苦しいけど、船長が喜ぶならそれも仕方ないかな と思えた。

「大丈夫。みんな、キミの事が好きだから。無理は言わないだろうし俺と同じに喜ぶと思うよ」
どうして喜ぶのか分からない。
もしかしたら みんなも船長が喜ぶのが嬉しいのかもしれない
「キスも、これで最後にしようね。 キミはいい子だから、きっともっと魅力的になる」
暗示でも掛けるように話す相手の仕草に そっと目を伏せて 彼からの最後のキスを受け止めた





 綺麗なマリオネットの夢を見る


壊してしまっていいから、人間にお還り。








某サイトさまで対物性愛者キャスの話を拝見 → そういえばうちにも対物性愛とまではいかなくても
博愛だけど誰のことも好きじゃないキャスケットが居たよね、と思いだして、続編ではありませんが
そのタイプのキャスケットを考察。このキャスケットはモノでも何でも愛せるのに自分だけは愛せないから
自分を可愛がるクルーの気持ちがいまいち分からない。大切に思う気持ちも愛しいと思う気持ちも分かる
のにその矢印が自分に向かう事だけが理解不能。 今回登場している船員さんはあの幻の船員さん
(ワカメくんで通称されている例の彼です)を想定しています。でも口調に迷いが〜!うちの彼はこういう
口調じゃなくて軽薄調だったんだけど、また別の某サイトさまの彼の口調が頭に残ってて。微妙に混ざって
なんだかちょっとキャスケットみたいな口調になってしまいました。次に登場した時は元々持ってたイメージの
彼に戻しますね。続編ではないということでペンギンは登場しませんでした。だってキャラが全然違ったから!
ここは幻の船員さんで。名前、ワカメくんで定着しちゃうのかなぁ  ちなみに前の登場はペンキャス話の端役です
現代リーマンパロで珍しくキャスに惚れていないペンギンの友人(?)役でした。あ、海賊話にも端役で出てた。
ペンキャス話の新人キャスと一緒に次につく島の様子を偵察に行った先輩もワカメくんでしたね!


[*前へ][次へ#]

2/100ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!