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SS置場2
部室4 P

拍手連載の2人。





突然の豪雨に、出口のところには複数の生徒がたむろっていた
「えー、迎えにきてくれるかな」
「どこかに忘れ物の傘ない? あっ、先生に聞いてみようか」
口々に、どうやって傘を調達しようかと話しているのは、天気予報を見ずに出てきた生徒達だろう
このところの晴天がそろそろ崩れるかと毎朝予報を確認するのがくせになっていたペンギンは、『ところにより雷雨』の
予報を知っており、しっかり傘を持参していた
(この雨じゃ、明日の朝練は中止だな。雨が止んでもグランドが使い物にならない)
どうせ雨なら練習が中止になるくらい降ってくれればと思っていたペンギンは、突然の豪雨にも満足そうに目を細める
この雨も、練習が終わってからでよかった、と傘を広げようとしたペンギンは 隣を歩いていたキャスケットが外を眺めて
うなだれるのを見てしまった
「・・・まさか、忘れたのか」
聞かれたキャスケットは困ったような顔でこくりと頷く
「忘れるもなにも、雨が降るなんて聞いてない」
唇を尖らせたキャスケットの目が、下に降りていく
「ペンギン、持ってきたんだ? すっげー、準備いい!しかも折り畳みじゃなくって、ロング?」
ぱっと顔を上げるキャスケットの言いたい事なんて 火を見るよりも明らかで、彼の言葉より早く くしゃりとその頭をつかむ
「入れてってやるから 鞄の中身、濡れないように気をつけろよ?この雨じゃ傘も役に立つかどうか」
「了解!さんきゅーペンギン!」
ぎゅっと鞄を両腕で抱えたキャスケットに弾んだ声で礼を言われて くすっと小さく笑いが零れる
仕方なさそうな顔を装ってはいるが、ペンギンだって同じ傘に入るのは歓迎なのだ
「あっ、傘、俺が持とうか?」
気を遣ったキャスケットの提案は 身長差から言っても効率が悪いと却下して、広げた傘の中に彼を招いた

歩き出してみれば やはり傘1本に男2人では厳しいのが分かる
「濡れるぞ、もっとこっちに寄れ」
どさくさに紛れてキャスケットの肩を抱くようにして引き寄せる
「うっわぁ、これ一人でさしてても濡れちゃいそうじゃね?」
俺やっぱりいいよ、と断りそうなのを先制して口を挟む
「自分が濡れるのは構わないが、荷物が濡れちゃ困るだろ。防水だけどファスナーのあたりから水が染みこむから
しっかりカバーしてろ」
どうせ汚れるから、と2人とも練習着のまま、制服は教科書等と一緒にボストンバッグの中だ。
肩や足が濡れたってかまやしない
「急ぐぞ」
自分より少し小柄なキャスケットを抱えるようにしてペンギンは足を早めた



「あ、ちょっと待って、ペンギン!うちで着替えてきなよ」
そう言われても、これから家までしばらくある。どうせ濡れるから・・・と思ったのだが、
足はたぶん濡れちゃうけど上だけでも着替えて、使い捨てのレインコートあるからそれも使って、と家に招かれてしまった
玄関で話してるうちに、キャスケットがくしゃみを連発するものだから問答してる間に着替えさせた方がいいと思ったのだ
結構濡れちゃってるから、と風呂場に直行で案内されたペンギンは、渡されたバスタオルで滴る雫を拭う
「換えのTシャツ取ってくるから濡れた服脱いで拭いてて」
声だけを残して、ペンギンと同じようにバスタオルを頭からかぶったキャスケットが引き返していく
家にあがってしまったのだから、と言われた通り濡れた練習着の上を脱ぎ体を拭いていると、すぐに軽い足音が戻ってきた
「これ、大きめだからサイズ合うと思う」
Tシャツを手渡しながらキャスケットが "っくし!" とくしゃみをする
「おい、おまえこそ早く濡れた服を着替えないと風邪を引く」
「ん。」
キャスケットの方も、濡れて体に貼り付いた服が気持ち悪いのか、言われるまま シャツ、靴下、ハーフパンツ、と
ペンギンの目の前で脱いでは洗濯機に放り込んでいく
見慣れた着替え姿とはいえ、自宅の風呂場という場所でのストリップはペンギンの煩悩を直撃した
(や・・・ば、コレは、見ちゃだめだ)
慌てて 渡されたTシャツを頭からかぶる
途端、ペンギンの鼻孔をくすぐるのは、洗いたての洗濯物のにおいと、これは・・・・・
(キャスケットの、匂い・・・?)
ずくん、と体の奥が疼いた気がした
変なスイッチが入ってしまわないようにと ぷるぷると首を振るのに、自分が動くと着ている服からふわりと彼の匂いが香る
いや、マズくないか。
頬に血が集まってくるような気がして落ち着かないペンギンの耳に、小さなくしゃみが届く
反射で振り向いたペンギンの視界に飛び込んできたのは頭からかぶったバスタオル以外はパンツ一枚のキャスケットだった
(なん・・・・で、着てないんだ)
そういえば、さっきキャスケットが持っていたのはペンギンに渡したTシャツだけだったな、とか あぁ、自分は部屋で
着替えるのか、当然だな、いくらなんでも俺の前で下着まで代えやしないよな、とか一瞬で思考があちこちに飛ぶ
あえて交錯するに任せているのはうっかり鍛えまくった動体視力がしっかり彼の胸に照準を合わせてしまった事と、
それが寒さのためか小さく勃ち上がっているのまで一瞬で判断してしまった事実から気をそらせる為だ
部室では 彼の背中ばかりを見ていたから―――
今見てしまった映像にくらりと目眩がする
『豪雨有り難う!美味しい映像ごちそうさま!』
一瞬頭をよぎった言葉に 手近な壁にどたまを打ちつけそうになって、いや ここはキャスケットの家だった、壁を
へこませてはマズイと思い止まる
暴走しそうになったペンギンの思考にブレーキをかけたのは、またもや発せられたキャスケットのくしゃみだ
「おまえ、早く着替えて来いよ。そのままじゃ風邪をひく」
さすがに恋する人間として心配の方が勝って まともな言葉が口を出た
「ん。着替えて、レインコートとか取ってくるから、ちょっと待ってて。」
そのまま 何事もなくキャスケットを見送るはずだった
くるりと背を向けた彼の後ろ姿を見るまでは。
見えた背中に いつもの癖で視線を下方に送ったペンギンに衝撃が走る
たまたま、薄い色のパンツを履いていたのがキャスケットの不幸だろう
雨に濡れて、ぴたりと貼り付いたソレは 形のよいお尻をそのまま浮き上がらせており、尚且つ 貼り付いている事で
素肌の色が透けて見えていた
透ける下着から見える肌というのは、古今東西 何も着けていないよりもいやらしい
瞬時に頭に上った血は、それまでのペンギンの冷静(?)な思考を粉砕した





「ちょっと待ってて」
そう言って部屋に向かおうとしたキャスケットは 一瞬でぐるりと回転した景色に、自分の家なのにどこにいるのか分からなくなった
いや、風呂場の脱衣所にいて、廊下に出るところで回転したんだから、やっぱりまだ脱衣所にいるんだよな?
頭の中で確認しても、どうして視界が回転したのかが分からない。
ん?と首を傾げようにも、強い力で締め付けられていて身動きが取れなかった
ぎゅ、と自分を締め付けているのは、人の、腕――?
「っ!?」
次いで、人の手を感じたのは、思いもかけない場所で・・・・・
(う、わぁ? あ?!なんで、俺のケツ、掴まれてんのっ?!)
痛いくらいの力で ぎゅうぎゅうとお尻を掴まれている
感触を確かめるように 一度ぐっと掴んだ手は、今度はもにもにと揉みしだきはじめた
(ちょ、え、何、なにっ!?っひゃぁ!?)
揉んでは、さわさわと撫でるように感触を楽しみ、また手のひらに押しつけるように きゅっと掴む
(な・・・な、なんっ・・・!)
ぱにくっているキャスケットだが、自分を抱き締めているのがペンギンだということは何とか理解できた
お尻だけでなく、体全部を 腕にきつく抱いているペンギンは ほぅ・・・っと、感嘆したような溜息を漏らした
え?
何か、呟いたような気がする
よくよく耳をそばだてると、"一度、触ってみたかった" とか言っているような気がする
うっとりするような、ちょっと浮ついた声の呟きは、聞いているキャスケットの方が恥ずかしくなってしまった
(え。何よ。ペンギンって 俺のケツ、触りたかったわけ?)
「う、ひゃっ」
揉まれているうちに、くすぐったくて 思わず声を上げてしまった
その声は狭い室内では思ったよりも響いたようで、夢中で尻を揉んでいたペンギンの手がぴたりと止まる
(あ。ペンギン、硬直してら)
止まった手のまま、ぴくりとも動かないペンギンは 、あれ・・・?もしかして、息まで止まってない?
「あ・・・のさ、ペンギン。そろそろ、離して?」
躊躇いがちにそう言ったキャスケットの体は、ペンギンの上げた小さい叫び声とともに、べりっと引き剥がされた

あ―― いや・・・こ、これは…っ!

(真っ赤になって、しろどもどろのペンギンなんて初めて見た)
いや、赤く見えた顔色も青くなったり 所在なく腕を振り回したりと落ち着かないペンギンは 珍しくもパニックに陥っているらしい
人間、自分よりも動揺する相手を見ると落ち着くようで キャスケットは全く慌てていない自分に気付いた
(なんか、慌てるペンギン見てたら 落ち着いちゃったっていうか)
まだ思考が整わないらしいペンギンの手をそっと押さえて彼の注意をこちらに向ける
彷徨っていた視線が定まり、目があったところで くすっと笑ってぽんぽんと腕をはたいた
「満足、した?」
「は・・・・・えっ?」
キャスケットの反応にペンギンが目を瞬かせる
「 一度触ってみたかったって言ってたろ? 満足した?」
こんなに飲み込みの悪いペンギンも 初めて見るかもしれない
彼が余程動揺している証拠だ
「あ―――、ああ」
思わず発していた一人言を教えられて また顔色を赤く変えながら ペンギンが頷く
「じゃあ 俺着替えてくるから、待ってて」
今度はペンギンもおとなしく見送ってくれる
着替えて、取り敢えず彼が落ち着くように何か飲み物でも?いや、あいつ上しか着替えてないんだっけ。
風邪ひく前に家に帰した方がいいか
そんな事を考えながら着替えるキャスケットは、自分の言葉に促されて頷いたペンギンが、
満足どころか もっと触りたいという欲求と戦っている事など知る由もなかった



一方、脱衣所に残されたペンギンも徐々に落ち着きを取り戻していた
透けた肌を見てぶっ飛んでしまった理性をなんとか手繰り寄せる
(衝動を抑えきれずに馬鹿な事をした。キャスケットは笑っていたが、この後追及されたらどう説明する)
この場で自分の想いを伝えるしかなくなる
いや、既にあんな行動に及んでいるのだ。後からキャスケットが自分の気持ちに考えが及んだら、最悪告白すら
させてもらえないかもしれない
(万一の時には 避けられる事態だってあり得る)
さっきの反応を見る限り キャスケットは自分の行為を嫌悪している様子はなかった
下手に言い訳するより 男らしく告白してしまったほうがいい
もしかすると、受け入れてくれるかもしれないのだから

脱衣所で待つペンギンが そう決意しているのも知らずに戻ってきたキャスケットにも 『青天の霹靂』 が落とされるのは
もう 避けきれない事態になっていた




 降って沸いたのは突然の災難か


"当事者" に 知らぬが仏 は適応外





ここで終わったら怒られるかしら・・・拍手連載なので気が向いたらいつかまた拍手にこの二人が登場するかもです。
千堂の中でお尻ブームが終わった!気がする!とりあえずペンギンが告るとこまでこぎ着けたからね^^
とりあえずロキャス充したい!ペンキャス続くとロー書きたくなる!ペンキャスはメインじゃないんだ、おかずなんだ(?
あと、今書いてる話が「冒頭だけで詰まった!」と思ってたんだけど、なんとなくだれ〜っと書いて終わった。
展開考えずに書くとこんなのになるんだという見本乙!しかし明日はお宝小説を飾る予定 掲載は本館PCサイトのみです
あ、ちなみにキャスケットの尻はこちら(と、言っても挿し絵ではありません)


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