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SS置場2
宅配2 L
先日の宅配の続きの1シーン。エロスのターン。でもぬるいです^^








きり、と歯を立てられた肌が痛みを覚える

「あ…、跡、っ」
熱にうかされて もつれる舌を動かして必死で訴える
その声を聞いた、自分と違って余裕の相手は 面白そうに唇を歪めた
「跡、つけるなって?…ふふ。旦那には 知られたくないんだな」
こんな 劣情に煽られた許されない過ちを隠そうとする狡さを笑われる

ちゅ、と新たに肌を吸われて あ、ぁ、と 自分でも恥ずかしいくらい欲に濡れた声が零れ出た
「ペ、…っ主人は そんな事、しな、い…っ」
休まない唇と器用に動く指は キャスケットの戸惑いを置き去りに 身体に籠る熱をいたずらに煽っていく
駄目だ、こんな事、だめだ、と 理性が 今からでも引き返せと煩いくらいに喚きたてるのに、
彼の熱に焦がれる身体がその声を遠ざける

(見てるだけで 満足だったはず・・・なのに)
彼の目に、捕まった
いつもの接客態度とは全く違う 面白そうに笑っているくせにその実醒めた色を浮かべる目が キャスケットを見つめて
その唇を引き上げる
整った顔立ちが余計に彼の冷笑を際立たせ 彼の視線を感じるだけで、ぞくりと何かが肌を伝った

こんな笑みをキャスケットは知らない

こんな、乱暴に肌をまさぐる指も、自分は 知らない

(ペンギンは、優しいもの。彼とは全く違う)

熱い吐息を漏らす唇が細くて長い指にこじ開けられると、それまで必死で抑えていた嬌声が途切れなく溢れ出た
「っ、あ・・・、や・・・ っんん、あっ、あっ!」

くす、と微かな音が聞こえて 眇めていた目を開いて頭上へと向ける
そこには 面白そうに自分を見る配達員の彼が 意外そうに眉をあげて笑っていた
「あんた、俺とヤりながら旦那と比べてんだ? 純情そうに見えてなかなかの玉だよな」
言われた内容に両の目を見開くキャスケットに追い討ちの言葉が放たれる
『知ってる? 旦那に悪い悪いって思いながら浮気するのって余計に燃えるんだってな。恋心が抑えきれず・・・ってのより、
余程背徳感が高い。あんた、頭からっぽにして抱かれるよりも よっぽど酷い事してんだぜ、旦那に』
ま、どっちにしろ 亭主を裏切ってるのには違いないけど
そう呟いた唇が耳へと降りてくる
「あんた、Mっ気あるだろ。優しい優しい旦那様じゃ物足りないんだ」
質問でも疑問でもない断定の囁きは、それまで言われた事もないような自分の性質を言い添えた

・・・・彼の視線に感じる何か言い知れないモノ。
ペンギンでは、絶対に得られない何か。

現実を見据える事に怯えた目が相手を見上げる
「今まで言われた事ないのか? あぁ、旦那しか男を知らないのか」
彼のその指摘は事実を言い当てていた
学生の時に付き合い始めたペンギンとは、小さい頃からよく知っていて キャスケットとペンギンの仲の良さを知っている周囲には
間に割って入ろうなどと思う者は居なかった
キャスケットも、告白され付き合う事に何も疑問を感じず、卒業と同時に家庭に入るのも "こういうものだろう" と
自然と受け入れたのだ
優しい主人と非の打ち所のない幸せな家庭――
火遊びするつもりなんか全くなかった
時折会う見目のよい相手にうっとりと熱を上げるのも、ちょうど良い刺激。

その彼が 接客の仮面を外して彼の本性を隠さず見せた笑顔
――あれが、全てを狂わせた

「たぶん、あんた こういうのも好きだぜ?」
組敷かれていた身体が引き起こされる
ほら、と固定された視線は 彼の訪問前にどこかおかしい所はないかと確かめた時のままカバーを外した大きな姿見
「やっ、・・・だ!」
そこには、着乱れて 胸も下半身も露出した、顔を上気させて息を荒げるいやらしい姿が映っていた
目を逸らそうと体ごと姿見から逃げかけたキャスケットを存外力強い腕が固定する
「嘘をつくな。あんた、こういうイヤラシイのって 興奮するんだよ」
キャスケットの背後に回った配達員の指が 唾液で濡れてぷくりと起ち上がった尖りを見せつけるようになぞって
きゅ、と押さえた
「・・・っ」
真っ白いシャツのはだけた隙間から見える尖りのまわりには、先程つけられた歯形がうっすら浮かんでいる
それを指でなぞられ、つきりと甘い痛みが背筋を走ってキャスケットは吐息を漏らした
彼の指が、ゆっくり下へと降りてゆく
自由に動かせるはずの目は魔法をかけられたように その指から離す事が出来ず、彼の意図どおり自分の姿を確認していく
彼の手によりすでに脱がされて 何も着けていない下半身
白いシャツからにょきりと覗く脚は 本来ならそのシャツにも劣らないほどに白いが、鏡の中の自分の脚は
体内の熱を映して桜色に染まっている
彼の手が その脚を辿って広げながら 付け根まで滑っていく
『・・・ぃゃ』
声もなく唇が そう動いたのは その先を予想したから
でも、彼の容赦ない指は 意地悪く辛うじてソレを隠していたシャツを持ち上げて横へ落とした


「・・・ほら、あんた こんなに興奮してる」
思わず閉じた目が、彼の声に促されて 再び瞼を上げる
いやなのに。
見たくなんかないのに、キャスケットの目は制御機能を明け渡したかのように 彼の意志に逆らえない
鏡の中の、裾から現れたキャスケットの性器は彼の指摘通り興奮に色を変えてぬらぬらと涙を零しながら屹立していた
『な?あんた、こういうの好きなんだよ』 とばかりに、彼の指が見せつけるように滴るソレを拭って幹へと塗り広げていく
いやらしく 発情した身体が、彼の腕の中で身悶える
背後から首を伸ばした彼が キャスケットの頬に舌を這わせた
「やっぱ あんた素質ある」
薄ら笑いを浮かべる彼の目が追う箇所が火に灼けるように、ちりちりと熱を帯びて 身を震わせて思わず吐息を漏らす
「見られるのも好きか?」
つぅ・・・っと指がなぞり、先端をくすぐる
「や、ぁ・・・っ」
反らすことの出来ない目は、ぴくりと震えたそこが新たに涙を溢すのを捉えてしまう
べろりと耳を舐められて 仰け反る体は 逃しきれない己の興奮を持て余すように ゆらりと腰を浮かせた

「このまま背面でシようか。ほら、視線――感じるだろ」
鏡越しの彼の視線の他に、もう一つ、視線を感じて目を向ける
それは、蕩けたいやらしい顔をした、鏡の中の自分から放たれていた
「くく・・・、分かる?」
逸らすことも出来ずに、まるで別人のような妖しい表情かおをした自分と目を合わせながら貫かれていく

(あぁ・・・・・・もう、)
今日の事は 忘れられないだろう
ペンギンに抱かれる時も、この 自分の視線から逃れられないかもしれない


『今度は旦那に抱かれながら、俺の唇を思い出すんじゃねぇの?』
耳朶に触れながら聞こえた言葉は キャスケットの今後を予測したもので
自分でも そうなるだろうとどこかで感じていたキャスケットは それ以上聞きたくないとばかりに、後ろ手に
彼の頭を引き寄せて熱に震える唇を押しあてた


火傷で済むはずも、ない――
その暗い予感は抗う自分を嘲笑うごとく、



 触れた毒は甘美に拡がる




それまでの平穏をじわじわと蝕む


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あきゅろす。
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