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SS置場2
食事(寄稿文救済) L
前回と同じくMさまに宛てて寄稿したものを救済UP。








えーと、確か俺、めし喰うためにこの店に来たんだよな
それがどうして、こんな事に―――?!



気を抜けば虚ろになる意識を手放さないように必死で考える

今 この食事の為に整えられたテーブルの下で、素知らぬふりで不埒な行為が行われている事を
周りの客に――いや、漏れなく店員にも、悟られてはならない
顎を伝って首すじを流れる汗を拭う余裕もなく、必死で声を噛み殺す

はぁ・・・
堪らず、震える唇から漏れる吐息は熱い
飛びそうな理性を保とうと、霞む目を必死で見開く
「・・・・・・・・っ」
緩く開いた口は、言葉を紡ぐ事なく噛み締められた

ふるり、と左右に首を振る
もう どうやってもこの感覚を払えそうにない
薄く涙の膜の張った目を、隣の船長に向けて瞬かせる
きっと 自分は今、縋るような目で見ている事だろう
快感を逃し損ねてびくりと体が震えた
声を出すまいと、ぎゅっと閉じた目から一滴ひとしずく涙が零れる
「・・・・んちょう、・・・ぁ、おれっ、・・・・・も、ぉ――」





事の起こりは、買い出しに出た市でならず者に絡まれていた女性を助けた事に因る
ひどく感謝され どうしても御礼がしたいから、と彼女が働いているこの店に強引に連れて来られた。
半端な時間ではあるが、たまたま昼食がまだだったキャスケットは それなら、と好意に甘えてご馳走になる事になった
・・・ここまでは、ごく普通の出来事。
本当ならそのまま何事もなく食事を終えて、今頃は買い出しに戻っているはず――
事態が急変したのは、その店に船長が入ってきてからだ。
混沌とする頭ではうまく思い出せないが 自分には心あたりはないのだけど・・・・
(俺、何か、船長を怒らせるような事したのか――?)




島を散策中、ローは ふと小ぢんまりした飲食店に目を止めた
その店の内に店員と仲良く話す自分の船の船員の姿が見える。
彼は珍しく船員服のつなぎを着ていない
普段見慣れぬ服装のため先ほどは見逃しそうになったのだが・・・
何を思ったのか、ローはそのまま店内へと足を踏み入れた


聞き終えた注文を通しに行ったのか、テーブルには外から見えた店員の姿は無かった
一人で席に座っている船員の傍まで行って声を掛ける
「キャスケット」
呼ばれて顔を上げた船員の顔が "あれっ?" という表情を形作る
「船長。え・・・これから食事ですか?」
キャスケットがそう聞いたのも無理はない。
昼食というには遅すぎるし夕食というのは早すぎる。
かと言ってこの手の店でローが一人でお茶を飲むとも思えない
「あぁ、外から見えたから」
かたん、とローが引いた椅子は キャスケットの向かいではなく横の席。
(4辺に1席ずつ配置されたこのテーブルでなければ並んで座る事になったかもしれない)
ローが距離のある対面席を好まないのはいつもの事なので、キャスケットは別段気に留めなかったらしい。

「おまえ今日買い出しじゃなかったのか」
着いた島の状況次第では、買い出し組は目立たないようにつなぎ以外で上陸する事もある
今日キャスケットが私服なのはそういう事だろう、と判断する。
「そうです。まだ買い出しの途中なんですよ」
そのキャスケットがどうして店に腰を落ち着けているかというと、市で男に絡まれてた女性を助けたら
「御礼がしたい」と強引に自分の職場のこの店へ連れてこられた、という事らしい。
食事を出してくれると言うので丁度お昼がまだでしたからと説明するのを ふぅん、と気のない返事で聞き流す船長を、
キャスケットは何かの気紛れなんだろうな、と そっとしておく事にしたらしい。
実際、ここに入ってきたのは気紛れでしかないのだ
料理を運んできた先程の店員は、見慣れぬ人物が同席しているのに驚いたようだ
「お知り合いですか」の言葉にキャスケットは曖昧に微笑んで頷く
すぐにお水をお持ちしますね、と配膳しながら述べる店員に向かってキャスケットが
「この人の分はちゃんと払うから」 と声をかけているのを耳にしたローは、「食事はいらねぇ」と断った。
あまり愛想の良くないローに少し怯みながらも、店員は
「それじゃ珈琲をお持ちします」と笑って厨房へと戻って行った



テーブルの上は、キャスケットの前に料理の皿。ローの前には水の入ったコップだけ。
どう考えても非常に食べにくい状況。
「船長、食べませんか?」
思わずキャスケットが どうぞ?と差し出した皿をいらないと断った。
自分だけだと食べ辛いのか「じゃあ、半分食べますか?・・一口だけでも?」と提案してくる
(あぁ、一人だけじゃ食べにくいのか。)
それなら、とローは頷いた。



船長が頷いた事にほっとして、キャスケットは半分に分けた料理を差し出した。
だが ローは出された皿を押し返してくる
「?」 と船長の方を見返せば、
テーブルについた肘に顎を乗せてこちらを見ていたローが 喰わせて?とニヤリと笑う
「なんですか、急に。」
言いながらも慣れているキャスケットは取り分けた皿から一口分の料理をローの方へ どうぞ、と差し出した
その料理をぱくりと口に納めるロー。
船長の我が儘には慣れっこの為、何の疑問も感じる事のない自然な動作は(男同士ではあるが)
周囲からは人目を気にしないバカップルにしか見えない
その視線にも動じないキャスケットは なかなか度胸が座っている
(単に一々気にしていては身がもたないので頻繁に船長のお供を任されるキャスケットは慣れざるを
得なかっただけなのだが)
案の定、ローの珈琲を持ってきた先程の店員の顔はハッキリと引き攣っていた。

まず船長に、という事なのか、先程からキャスケットが切り分ける料理は全てローの口内に納まっていた
「もういい。後はおまえが喰え」と言われて、それじゃ、とようやく食べ始める。
一口、二口 と、料理を口に含んだキャスケットが突然噎せた

くくく、と笑って水を差し出してやるローを、文句を言いたげに睨んだキャスケットがさりげない様子を装って
太股を這うローの手を払いのける。
知らん顔で珈琲に口を付ける船長を見て、文句を言うのは諦めたのか 黙って再び食事を
続けはじめたキャスケットの手がぴたりと止まった
「・・・俺 何か怒らせるような事しましたか?」
心あたりがないのだろう。
そう聞いてくるキャスケットの顔は少し憮然とした表情を滲ませている
さぁ?
と、薄笑いを浮かべるローの手は休む事なくキャスケットの脚をなぞっている
「ちょ・・・っ やめっ」
声が上がったのはその手が脚の付け根まで伸びてきたから。
くすくすと笑いを零す上機嫌の船長の手を思わず押さえこんだ その瞬間、
ぎゅ、と服の上から握りこまれキャスケットはびくりと身を強張らせた
(ちょっと船長、何考えてんですか!)
堪らず声を潜めて抗議してくるキャスケット
(あ、・・・っ)
文句は言わせないとばかりにさらに大胆になった指の動きに慌てて唇を噛んで声を殺す様が無性にそそる
少し虐めるだけで そこまでするつもりは無かったのだが、煽られた気分のおさまりがつかず、そのままテーブルの下に隠れて
ズボンのファスナーに手をかけた
服の中に潜りこんできた手に顔を伏せたキャスケットが ぎくりとしたのが分かる
慌ててローの手を掴んでくる手を逆に掴みあげ、テーブルの上に押しつけた
(騒いで他の客に見付かりたくなかったらそのまま食事を続けろ)
潜めた声で耳の傍で囁けば首筋がぞわりと総毛だったのが目に入る
どうして!?と言いた気な、一種絶望的な目で見てくるキャスケット。
その表情は酷く加虐心を煽る。
ローは自分の中の欲望に火が着いたのを感じた
(嫌なら早く食事を終わらせろ)
続けてそう命令した声は、自分でも抑えきれない興奮で掠れていた・・と思う――



震える手で食事を再開したキャスケットの顔に だんだん血が集まってくるのが見えた
きゅ、と眉を寄せてゆるく首を振っているのは、快感を逃そうとしているのだろう
耐えるその顔が可愛くて、彼の弱いポイントを狙って指を這わせる
手からナイフを離したのは取り落として大きな音をたてない為か。
キャスケットは ついに食事の手をとめて、両腕ともテーブルの上で硬く握りしめ 顔を伏せたまま固まってしまった
その吐息は乱れ、肩もぶるぶると震えている
くく、と笑って、ローはその下、足の間の奥まで指を伸ばした
「・・・・・ぁ!」
びくん、と身を仰け反らせたキャスケットの顔が一瞬上を向く
必死の目が潤んで、その顔はひどくローを満足させた
それでも動きを止めない指に、唇を噛み締めて首を左右に振る。
何か言いたげな様子に、ローは口元に耳を寄せてやる

船長、も――、ダ、メ・・・

吐息紛れのその言葉は どうにかしてくれと哀願するもので――
「まぁ、耐えた方か?」
服から手を抜いて簡単に乱れを直すと、立ち上がれそうにない力の抜けた体を抱えて店の奥へ向かって歩き出した

「どうされたんですか?!」
慌てる先ほどの店員に、少し具合が悪くなった、とタオルを借りてトイレに向かう。
乱れる息で顔を伏せているキャスケットの様子は本当に具合の悪い病人に見えるだろう
腕に抱え込んだまま、へなへな と半分腰砕けになったキャスケットを個室に連れ込む



船長がどうするつもりなのかは分からなかったが、すでに自分ではどうしようもない事態に、
大人しくトイレに連れ込まれるしかなかった。
「これ咥えてろ」 
言うと同時にがぼりと口に突っ込まれたのは、先ほどトイレに入る前に借りたタオル
「む゛!?」
ちょ、口塞ぐのが必要な事態って これ如何に?!
「・・・んちょ、む゛、まさか、此処、」
で――――っ!?!?!??!!
ずるりと下を一気に剥かれて 上げかけた叫びがタオルのせいで喉の奥に消える
背中を壁に押しつけられたまま、ひょい、と片足を持ち上げられて・・・・・
(ちょっと!船長、待って待ってまって――――っ!!)
「む゛む゛む゛む゛む゛〜〜〜〜〜〜っっ!!」
哀れ、キャスケットのくぐもった悲鳴がトイレの中で響き渡った―――






ザァッ
洗面でばしゃばしゃと顔を洗うキャスケットにローが声をかけた
「どうだ、見せてみろ」
言われて水を滴らせたまま顔を上げる。
「まだ赤い。 もっと冷やせ」
「わ!」
蛇口から流れる水の下に顔を突っ込まれ、再び顔を洗いはじめる
しばらく洗って、ようやく少し引いた顔色を見た船長に
「・・・ま。これくらいならいいか」 と持っていたタオルを顔に押しつけられた
軽く撫でつけるようにして水気をぬぐい取っていく船長。
大人しく拭かれるままにしていたキャスケットは毒気が抜けて怒る気にもなれない
「船長、なんで急にこんなとこで?」
そう聞いたのは責めるというよりは単純に疑問に思ったから。
でも、聞かれた事によって 船長の顔がムッとしたものに変わる
(あれ?聞いちゃマズイの?)
その表情から、ここまでするつもりじゃなかった・・・・のかなー、となんとなく思う。
やりすぎて悪い、と思っているのが透けて見えるようで。
ふっ、と自然に微笑が浮かんでしまったキャスケットをじろりと見下ろした船長が
「あ、悪い。これお前の唾液まみれだった」 
と取って付けたようなオチを言い出したのが子供みたいで
「ぶっ! は、は! 怒ってませんよ、船長」
爆笑しだしたキャスケットに逆切れもしなかった船長の耳が少しばかり赤かったのには気付かないふりをした――





「ごちそうさま、美味しかったです」
体調を心配するウエイトレスに、(実際味なんて分からなかったのだけど)お礼を述べて店を出る
「船長、俺このまま買い出しがあるんで市に向かいます。」
そこで別れようとしたキャスケットと同じ方向に足を向けるロー。
「つきあう」
一緒に買い出しに行く、と言い出した船長に目を丸くする
何か欲しいものでも――?と聞きかけて、思い直す
「じゃ、行きましょうか」
ふわりと笑って手をさしのべたキャスケットに、今度はローが瞠目した

ふ、と笑って差し出された手を掴む

繋いだ手のまま 市に向かう二人の姿に違和感はない
楽しげに買い出しを続ける二人の手は、他のクルーに出会うまで繋がれたままだった





 
 美味しい食事を召し上がれ?






美味しく頂かれたのはキャスケットですけどね、という。いきなりつっこんでも切れはしないけど相当痛い。笑って許せるキャスケットは相当のお人好しか相手が船長だから許してるのか・・・まぁ 両方でしょうね


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