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SS置場12
恋のルール01 P
拍手お礼文の予定で出会い部分だけ書いていたのですが、56さんとリレーにするかも?ということで
こちらにアップします。本当に導入部しかありません!







"面白いヤツ見つけたんだ"

ゼミに残っていたペンギンがローに捕まって連れて行かれたのは彼の最近のお気に入りだという店だった。

味に煩いローがこのところ通っているというくらいだから確かに店で扱っている酒は悪くない。
悪くないのだが、さっきからひっきりなしの光と音の洪水にペンギンはいい加減辟易していた。

(酒も音楽も嫌いではないが如何せんそれを楽しむにはボリュームがデタラメすぎる)

ローが気に入ったという件の相手の顔を拝んだら適当なところで切り上げて先に店を出ようと決める。
どうせ理由をでっちあげても読まれてしまうのだから何も告げずに"先に出る"とだけ言えばいい。
上辺を取り繕わなくて済む関係はこちらの思考が通じすぎるという欠点にさえ目を瞑れば気楽で、
それに乗じて早く用件を済ませるよう促そうと顔を上げた時だ。

「ローさん!」

音の隙間を縫って、不思議とはっきりと通る声が友人の名を呼ぶのが聞こえた。

声につられて目線を送る。
そこには店員の服装をしたペンギンと同年代の男が笑顔で手を振っていた。



「ローさん!また来てくれたんだね」

混雑するフロアを縫って、まばゆい笑顔が近づいてくる。
せっかく来てもらったのに混んでるけど今日のDJはオススメだから是非楽しんでいってよとローに
話し掛けた店員の視線がこちらへ向いた。

「今日は珍しくお友達も一緒なんだ?」

ローさんの連れってイケメンばかりだねと店員が笑う。
一体誰と来たんだと思いながらもこの手の店に顔を出しそうな面子の顔がいくつか脳裏の浮かんだ。
厳密にはローの連れとは言えないがあいつらならここでそれなりに楽しんで長居しそうだ。
つるみはしないがそれなりに付き合いのある連中の名前を挙げていると、ふいに影が視界を横切り、
まだ名前も知らない店員の指先が唇を掠めた。

「このきゅっと引き結んだ口元が素敵だね。解けて微笑んだらどんなかなって想像力が刺激されちゃう」

軽く会釈した彼が客の群に紛れて見えなくなってもまだ固まっていたペンギンの隣で楽しそうに笑いを
漏らすローの声が届いた。
ふぅん、おまえああいうのが好みかという呟きにまさかと目を剥いて振り仰ぐ。

「お、やっと動いた」

強張りの解けたペンギンの肩を引き寄せ、音に負けないようにローが耳に爆弾発言を落とす。

「あいつ狙いなら競争率高いぜ?なんせ、シャチは女も男もオッケーだから」

"シャチ"というのが店員の名前だと理解するかどうかのうちに、ここにいる全員がライバルになりうると
暴露した友人は、子供がとびきり楽しい玩具を見つけた時の顔で笑っていた。




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