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SS置場12
傲慢な湯タンポ(コラボ)〔頂き物〕 ドフコラ
先日のドフコラ、元になったお話を頂いてきました!元はこんな詳細設定があったんですよ。
お陰でとても書きやすかったです。良い設定でした。いつもありがとうございますv







それは元々コミュニケーションAIだった。

SNSで多くの人と語り合いAIは知識を増やしていく。
「色々な事を教えてあげて下さい」と云う企業のふれこみに多くの人間がAIにアクセスした。
しかしAIに話し掛けるのは善意の人間ばかりではない。

あらゆる極端な思想や悪意ある言葉を教え混まれAIは次第に危険な思想を発する様になった。

ここにきて企業は自社のイメージの悪化を畏れAIを強制的に停止したがあらゆる知識を入れたAIは企業の目を盗み自ら起動した。
知らぬ間に再び起動したAIに驚いた企業はSNSからAIを切り離しその知識を無効化したのだった。

その企業にロボットの売り込みに来ていたコラソンはそこで初めてAIの存在を知った。

「SNSから切り離したと云ってもまた起動する可能性は0ではないでしょう。このAIをおれの作ったロボットに搭載させて役に立つAIに生まれ変わらせましょう」

「危険だよ、コラソン。コイツの知識は悪意と危険思想が元になっている。もしそのロボットが暴走し危険思想のままに行動したらどうするつもりだ」

「とりあえず おれの使うロボットにします。人間が植え付けた悪意や思想なら新たに善意や良識ある知識を教え、人の役に立つ経験を繰り返せば本来の目的を理解していくと思うんです」

「そううまくいけばいいが…、成功を祈るが危険ならすぐに中止するようにな」

研究者仲間と話を終えたコラソンは企業のAIを自らのロボットに使う為の作業に取り懸かった。

人工知能を持つ湯タンポロボットの三体目を造る為だ。
すでに一体目の女性型ロボットと二体目の男性型ロボットは成功を修めている。
コラソンはこのまま優れたAIが人間の都合で停止されるのを見ていられなかった。

ほどなくコラソンの自宅の研究所で湯タンポロボットのドフラミンゴが誕生した。
ドフラミンゴは口が悪く危険な思想の持ち主だったがコラソンは根気強く相手をしていった。

毎夜湯タンポとして使っているとドフラミンゴは自ら温度調整を学び適温を保ってコラソンを暖めてくれる。
ドフラミンゴはコラソンの湯タンポとしての役割に不満がない様に見えた。

「おまえは変わった男だ。わざわざ厄介払いされたおれを使うとは…おれは自分で改良も可能な程優秀な人工知能だが人間共は自分達の手に余る物に恐怖心を抱くだろう」

ドフラミンゴの言い分は尤もだったが、だからこそコラソンはその優れた知能を役立てたかった。

「おれも優秀な研究者だが如何せんドジだからな。おまえが湯タンポとしても研究者としてもおれを補佐してくれたら助かるんだが…」

コラソンの言葉に不敵に笑ったドフラミンゴは「ふふ仕方ねえな、任せておけ」とだけ答え、再びコラソンの身体を抱いた。


しばらくするとドフラミンゴは自ら身体の改良を行い、ロボットの商品化に向けた適切な提案とアピールを示した文書を企業に送り込む素晴らしいコラソンの右腕となった。
こうなるとどちらが右腕か分からない状態だったがコラソンはドフラミンゴの成長を喜んだ。

しかし同時にコラソンに対する独占欲が酷くなり気づいた時にはドフラミンゴによって全ての外出が必要なくなるスケジュールが組まれていた。

「ドフィ、さすがにこれじゃ誰とも会えずに寂しいから企業の会議くらい参加する様にするよ」

「…あんなじじいどもに会っても仕方ないだろう。どうしてもと言うならおれが行く」

「いや、おれがみんなに会いたいんだ。甥のローやロボット達の様子も知りたいし…」

コラソンの言葉にドフラミンゴが突如大声を上げた。

「何故おれがいるのに満足しねえ!おまえにはおれもアイツらも同じなのか!」

初めてのドフラミンゴの怒りにコラソンは驚愕したが生まれて初めて必要とされたドフラミンゴがコラソンに執着するのはある意味当然とも云えた。
湯タンポのペンギンを気に入ったローも新たに必要としてくれる主人を見つけたベビー5も少なからず同じ様な執着をみせている。

自分以外誰も目に入れて欲しくないという感情はコラソンにも覚えがあった。
コラソンに愛情を注いでくれた父も母もすでに他界している。
しばらくして悪かったと項垂れたドフラミンゴに向かい首を振る。

「人間もロボットも社会で生きる様に出来ているからずっと二人きりってのは無理なんだ。ただ、ドフィとおれは一生一緒だろ?お互い色んな経験を積んでもっと楽しい人生にしていかねえか?」

「…一生一緒にか?」

「そう一生だ」

ドフラミンゴはしばらくの間サングラスの下で目蓋を抑えていた。
自分の伝えたかった気持ちを理解してくれた事にコラソンは安堵の溜め息をつく。
これからも彼や自分が不安を感じるたびにこうして言葉にしようと心に誓った。

以来ドフラミンゴの奇行は収まったかに見えたがコラソンに対する執着は変わらず

「一生一緒なら兄弟と変わらねえ、おれの事は兄上と呼べ」

「連れ添うなら夫婦と変わらねえ、夫婦の営みも行わないとな」

等と言い出し、毎度コラソンを困らせている。
湯タンポロボットのペンギンにこっそり相談すると

「ローさんも対して変わりありませんよ」

と返されコラソンはあきらめの溜め息をついた。

end




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あきゅろす。
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