SS置場12 リレー(番外編) 〔頂き物〕 おまけの番外編です。お強請りして書いていただきました!相変わらずの着目点、さすがです。 毎回予想外の切り口にバトンを回すのが楽しみでしたv 番外でペン視点。 「……最終的にはおれが月 火 水の夜、シャチが木 金 土の夜、ペンギンと過ごす事になった、以上だ。質問がなければ終了する」 船長の言葉にベポが 「ハイ!船長!」と手を挙げる。 「なんだ ベポ」 「それっておれたちも把握しとかないといけないの?」 全くもってその通りだ。クルー全体の会議の最後になんでこんな話を議論しなきゃならない。 「ペンギンが不寝番の日もあるだろうが、そういう時は前もってシャチの曜日にシフトを交代してやるなり工夫しておけ」 「…イヤっすよ、そこは平等に船長が我慢して下さい」 シャチと船長が睨み合っていると再び「はい!」と声が上がりバンダナが挙手していた。 「なんだバンダナ」 「日曜が空いてるんスけどこの日はペンギンの休息に充てるってことッスか?」 それをおまえが聞いてどうするつもりだ。 「ペンギンの疲労が酷い場合、そうなるが基本この日は三人でする日になるな」 おれが目眩を起こしている間に今度はジャンバールが挙手していた。 「流石にペンギンの負担が大きすぎると思うが…何なら月、水を船長、火、木をシャチくらいにして交互にしておいた方が 二人の不満が溜まらなくていいのではないかと思う。金、土、日くらい休ませてやれ」 ありがとうジャンバール、でも出来ればこの会話に参加しないでくれ。 「おれもシャチも週三日が限界だ。交互にする案は最初に出たが前日の情交の痕を消すのに躍起になって 朝を迎える可能性が高いので却下した」 最もらしい事を言った船長にジャンバールが 成る程、と納得する。そこは絶対 納得する所じゃない。 我慢の限界を超えたおれがキレる前に唯一の女性クルーであるアイリスが 「…はぁ、いっそこのホモ野郎共と永遠におさらばしたいわ…」 とつぶやき、男クルーが全力で止めに入っている間に会議はおひらきとなった。 本当に困った。実際何が困るってそんな扱いを受けていてもおれは本気で嫌ではないのだ。 イヤよイヤよも好きのうち、みたいな自分のせいで他のクルーにも迷惑がかかっている。 ぼんやり悩んでいるとジャンバールが 大丈夫か?と声をかけてきた。 すまないな、と力なく答えると 気にするな と笑う。 「アイリスは何だかんだ云いながらおまえを心配していたぞ。色々気になるだろうが クルーはみんな船長やシャチと おまえが上手くいっている事に安心している。あまり考え込まない方がいい」 おれの行動が迷惑こそかかっても船長やシャチと上手くいく事で何故みんなが安心するのだろう。 「皆、船長とシャチが争いを起こしておまえやシャチが船を降りる様な事態にならないかを一番気にかけていた。 それでなくともクルーの中心であるおまえ達が気まずい思いをしているだけでも船の空気が悪くなる。 周りの事は気にせず思った通りに行動すればいい」 ジャンバールの言葉にバンダナや他のクルー達を思い出す。 ひたすらいらない事を聞いてきたバンダナにしてもずっと おれを心配してくれていたのは事実だ。 「ありがとう、ジャンバール」 おれが礼を云うと 「それはあそこにいる あいつら全員に言ってくれ」 とおれたちを陰から見つめているクルーを指差した。 クルー達の暖かさにホッとしたおれは決意を固め、船長とシャチに話をしに向かった。 「…やっぱりおれも自分の意思できっちり決めます!船長とシャチとはそれぞれ週に二回くらいでおれにも…、 ちゃんと休みを下さい!」 叫ぶように言い切ると船長が速攻で「断る」と答えた。 「だいたい想いが通じたら本来なら毎日おまえを独占したいところをコッチは我慢してやってるんだ。これ以上の我慢は 逆に危険だと思え」 いつもながら堂々とおかしな理論を通してくる船長にそれ以上言えなくなり、おれはシャチに懇願することにした。 「…ん〜、それに関してはおれも船長と同意見だわ。だいたい今のおれは覚えたての猿状態だからこれ以上の禁欲はムリ」 おれの願いをシャチもあっさり却下する。 お、覚えたての猿って、おまえはおれと違って娼館のお姉さま方とガッツリ遊んでたって知ってるんだぞ! おれの不満げな顔を見たシャチは 「もちろんペンギンを覚えたてって意味だから」 などと調子のいい事を云い、おれを赤面させた。 「…じゃ、じゃあせめて日曜日は休ませろよ!さ、三人でス、る日って…いらないだろ?!」 おれが最後の抵抗をすると二人はあっさりと「それはいいぞ」と承認してくれた。 「そもそも三人で、ってのはおまえの為に設けた日だからな」 「はあ?!」 船長の予想外の言葉にキレかかる。いつおれが三人でシたいなどと不埒な事を云ったというのだ。 「ペンギン、気がついてないの?おれと船長と三人でしてるとき 普段よりむちゃくちゃ感じて気持ちよさそうだから おまえ三人じゃないと満足しない体質なのかと思ってたよ」 シャチの言葉に顔が一瞬で真っ赤になる。 絶対にそんなことはない!二人で攻めたてるからいっぱいいっぱいになってるだけで おれはそんな特殊性癖は 断じて持ち合わせていないのだ。 納得いかないままではあったが結局二人とも日曜日をおれの休息日にしてくれた。 が、日曜日になると互いに出し抜こうとしてやって来る二人におれは自室の鍵を何重にも付けて必死に防御するはめになっている。 但しシャンブルズというチートな能力を持った船長と元スリという輝かしい経歴を持つシャチには御札以上に役に立たず、 結局おれの部屋でかち合った二人から激しく攻めたてられて休息日は空しく消えていくのだった end [*前へ][次へ#] [戻る] |