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SS置場12
リレー06 P-side
同じく両ペンギンサイドです。話中内経過時間が最短のターンw








おれが分裂した状況にあれほど執着していた船長とシャチが "元に戻す" と言った。

聞き間違いか、と 一瞬自分の耳を疑う。

そりゃぁ最初に元に戻せとあの能力者に迫ったのはおれだ。
だけど、それぞれ別の相手に惹かれたおれ達は元には戻れないとさっき自覚したばかりなのに。

ぽかんと2人を見返したおれ達に船長とシャチがもう一度頷いて怪我してない方の肩に手を置く。

「聞いてるか?おまえら1人に戻れ」
「俺達の我が儘で元には戻させないって言ったけど、やっぱ無理があんだよな」
このまま不自然な状態を続けるのは体にも負担が掛かるかもと続けたシャチの言葉を受けて、船長も
2人に分けたぶん自制が弱くなってるのかもしれねぇとそれらしい分析を述べている。

多分、そうじゃないと思ったが声に出せなかった。
仲間を庇う悪い癖は元からだが、今のは関係を結んだ相手に思い入れが強くなってしまったからだろう。
(それとも、船長やシャチの言うように1人に戻って自制が強まれば咄嗟に庇う癖も抑えられるのか?)
悪魔の実のことはよく解明されていないのだ。2人の予想が外れているとも言い切れない。
だが元に戻ったらどうなる?
こんな感情を抱えたまま、本当に1人に戻れるのか?

こちらの戸惑いを理解っているのかいないのか、2人はおれ達がその提案を否定するとは考えていない様子で
こうなったら怪我した肩が同じ側だったのはラッキーだったなどと話している。
怪我の位置が別々の肩なら能力を解除した途端 両肩が使えなくなるというわけらしい。

「なぁ、ペンギン。利き腕側なのは残念だけど、同じ方の肩で良かったじゃん」

そんな風に暢気な声で言わないでくれ。

「元に戻しても怪我の具合が酷くなる事はないから安心しろ」

あんたも医者としての見解しか言わないのかよ。

2人があまりにもあっさりと今の状況を手放すと決めた事に愕然とした。
あれほど強引に迫って口説いて落としたくせに、なんでそんなに簡単に割り切れるんだよ。


「――ペンギン」

最後の通告を告げようとする船長の声にビクッと肩が跳ねる。
だって、なんの心構えも出来ていないのに こんなに急に元に戻すと言われても気持ちがついていけない。

「で、でも、こんな急に」
「無理っ・・・です」

喜ぶはずのおれ達が尻込みしても2人は不思議そうな顔はしなかった。
だったら 少しはこちらの心情も理解しているのかもしれない。
素直に戻れないと伝えればこの決定は覆るだろうか。
――いや、その前におれが包み隠さず自分の気持ちを言葉にできるのか?
でも言わないとこのまま元に戻されてしまう!

「「じ、時間を下さい!」」

焦ったおれ達の声がハモった。
元が同じ人間なだけあって同じタイミングでテンパってしまって、まったく頼りにならない相方だ。
だけどこの際 気が合わない事は横に置いておいて協力しなければこの状況は打開できない。

「「せめて一晩だけでもっ」」

おれ達は馬鹿正直に最初っから一番短い数字を上げてしまった。
交渉する時は最初にふっかけるのが原則で、ここは意見割れを演じてみせるべきだったのに!
己の手腕の拙さに情けない顔を互いに見合わせる。
だがその様子が同情を誘ったのか、シャチも横からペンギンもこう言ってることだしと口添えしてくれて、
結局、おれ達を元に戻すのは明日にするという確約を船長からもぎ取った。



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あきゅろす。
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