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SS置場11
信頼6
ホントにちょっとずつしか書けてなくてすいません。身内に不幸があって急なお通夜。予定は狂うものだ…








「ペンギンありがと、本当に助かった!」
何件か書店を巡って医学書に限らずに薬草の専門書などにも目先を広げて探した結果、船の蔵書にも無くて
船長が興味を持ちそうな本を数冊手に入れ、シャチはほくほく顔でお礼を言った。
目当ての買物が出来た。
それも、考えていたよりも相手を喜ばせる事が出来そうな、わりと珍しい書籍が買えたのだ。
一緒に本屋を周ったペンギンも太鼓判を押す、思っていた以上の収穫に頬が緩むに任せて笑顔を振りまく。
「不寝番明けなのに付き合わせちまって悪かったけど。ホント、助かった!なんでも奢るぜ、飯でも酒でも女でも」
好きなもん言えよとバシバシ背中を叩きながら話すシャチに、痛いな、テンション上げすぎだ。少し落ち着けと
苦笑いのペンギンが身を引いて躱す。
それともなんか小物や武具類がいいかとシャチは重ねて尋ねる。
ダガーナイフくらいなら残った小遣いで買えるぜとちょうど目に着いた看板を指さしたシャチと、釣られて
そちらを見たペンギンは店から出来た客らしい男の姿に目を留めた。

「随分物騒な買物だな」
「あれ、武具類じゃなくね?火薬とか薬品ばっかみたいな・・・」
武器屋で物騒も平和もないのだがペンギンの言いたいことも分かる。1人で運べる限界に近い量の買物の中身が
刃物や銃器、もっと言えばそれらの手入れの道具でもないのなら残る可能性は火薬の類だ。
運んでいる人間が自分で使うために仕入れているのならペンギンの言うとおり物騒な事になる。
「まるで大量に爆弾でも作るみたいだな」
ごく普通の仕入れのようでいて補充ではなくこれから使う為の準備だとしたら――
あれだけの量の火薬をコソコソとするでもなく平然と運んでいることが余計に胡散臭さを感じさせる。
(声に出して確かめなくても互いの考える事くらい想像が着く)
2人が示し合わせたように男の進んだ方へ足を向けたのは無視しきれないキナ臭さのせいだ。
(あの量を一度に使うのなら、どこかを襲撃するつもりだろう)
(まだログだって溜まっていないのに、騒ぎを起こされて海軍が出張ってくるのは避けたい)
2人が考えたのはこんな感じのことだ。
どこを襲うつもりにしろ、こっちの船に迷惑が掛かるような事態を引き起こすなよと何かしらの予感に内心眉を顰めながら
適度な距離を保って後をつける。
こんな行動を取りながらも どうせ徒労だろうなとどこか気楽に構えていたのだが、男の根城だけ確認しておく為の行動は
意外な結果をもたらした。



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あきゅろす。
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