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SS置場11
貴方と夜 E
ひゃー、すいません!検診終わったら疲れてたのかUPもせずに寝オチ!書いてる時間なかったので夢用SSS(お題ったーでキラキャス)です









「キラーさん大丈夫ですか?」
やっぱり熱があるでしょう、と伸びてきたキャスケットの手に額を触られそうになって慌てて後に仰け反って避ける。
「不用意に触るな!」
俺は悪魔なんだぞと改めて真実を述べても"それくらい知ってるよ"とキャスケットは軽く首を傾げて笑った。

(いいや、分かってない。こいつは絶対分かってない!)

これが同じ種族なら問題ない。いや、遙か昔まで起源を辿れば元は同じではあるが、今では相対する種族として
対立の関係にある。
互いに触れてもキラーにとっては何も問題はないのだがキャスケットにとっては違う。
堕ちた種族であるキラーに自分の意思で触れる事はキャスケットを含む天使にとっては"穢れ"になるのだ。
(不思議なものだ。対立した争いの中で剣を交えぶつかり合うのはなんともないのだから・・・)
矛盾した原理だと思う。
こうして、悪魔にすら慈悲の気持ちを抱くキャスケットはこの上なく天使の資性に溢れているというのに、その対象が
敵対する種族だというだけで身を穢す事になってしまう。

「俺が頑丈なのは知っているだろう?心配には及ばないからくれぐれも触れないように気をつけてくれ」
キャスケットのその手に穢れや火傷痕を残すのは忍びない。そんなことになったら俺は自分を許せないだろう。
だが素直にそれを口に出来なくて、苦々しい思いで舌打ちする。
「考えなしに気安く俺には触るな。」
天使に触られると妙にヒリつくと加えれば、こちらに向かって腕を伸ばしていたキャスケットがハッとしたように
手を引いた。

「あっ、ごめ・・・ そっか、俺だけじゃないんだな」
ヒリヒリと胸が焼けつくような感覚を示した言葉をキャスケットは誤解した。
触れた側だけでなく 触れられたキラーにも火傷のような痛みが生じるのだと思ったらしい。
困ったように慌てて手を隠したキャスケットは、でも、とキラーを窺うように見上げる。

「でも、具合悪いんだろ。触れないように気を付けるから、側にいさせてくれよ」
・・・誤解を解かない方がいいのかもしれない。
キラーにも痛みがあると思わせていれば、優しい天使様は極力接触がないよう気を遣うはずだ。
そう計算したキラーは小さく息を吐いて妥協した。
「分かった。横になればいいんだな」
少し休むと約束すればキャスケットは安心したように笑みを浮かべて頷いた。





ふいに浮上した意識に目を覚ます。
視界を巡らせ顔を傾けると額に乗せてあったタオルがぽとりと落ちた。
キャスケットは約束どおり、キラーに触れはしなかったが飲み物を用意したり濡れタオルを頭に乗せてみたりと
甲斐甲斐しく動いていた。
本当なら その手で触れるだけでキラーの不調を取り除く力があるのに"触らない"という約束に従ったのだ。
キラーが眠るまで枕元に詰めていたキャスケットが重ねた己の腕に頭を落としている。
・・・眠っているのだ。
無用心にも、こんな悪魔の住処で意識を手放す等とは――天使にはあるまじき行為。
(寝顔は 初めて見るな)
起こしてしまわないよう心を砕いて手を伸ばした。
その柔らかそうな髪に触れた指先に チリッ、と微かな痛みが走る。
どれだけ熱くとも このキラーより一回り以上も小柄なその身を抱き締めてしまいたい。
だが、キラーにとってはただの掠り傷程度でしかない痛みも 清らかな空気に住むキャスケットには
炎に抱かれるに等しい苦しみを与えてしまう。
眠って、意識のない時にこうして髪に手を伸ばす以上には近付いてはいけない相手だ。

(だからこそ、焦がれるのだろうか)

手触りの良い細い髪を指先で軽く透いてやると、眠るキャスケットの口元が心地よさそうに綻んだ







 貴方と夜を






お題ったーです。実は書きかけで放置してたやつでした 【あなたは30分以内に5RTされたら、悪魔と天使の設定で
片想いの相手に気付かれないように触れるキラキャスの、漫画または小説を書きます。】 両片想いかなぁ、微妙?


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あきゅろす。
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