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SS置場11
吸血鬼パロ4-3
切りが良いのできっちゃいました。おかげで今回短いです。








「そうつれない振りで逃げンなよ。おまえ、ローの餌か?」
だが、それにしちゃローの匂いがしねぇなぁと粘っこい声が頭上で声が笑う。

抵抗なんてしようがなかった。
がっちりと両肩を掴まれ、こちらが反応を返す前に建物の中に引き摺り込まれる。
目を合わせないなんて言っている場合じゃなく、思わず仰ぎ見た先には奇妙に歪むサングラスを掛けた金髪の男が
にやにやと唇を歪ませ満面の笑みを浮かべていた。

「フフッ 匂う。匂うぜ、この屋敷の中にゃ、おまえの匂いがプンプンする」
ローの連れなんだろう?と笑う男は完全にそれを確信していて、下手な誤魔化しなんて無駄だった。
「あいつ、こんな隠し事しやがって。餌じゃなきゃなんだ?恋人かァ?」
どおりで土産を置いていくはずだと目の前の大柄な男がボヤく。
遊んだ後は餌にしろと飛びきりの美女を用意してやったのに、あいつ城に置き去りにしやがったという愚痴の言葉が
引っ掛かる。
(城? ローが招待された先って、お城?)
引退して以来 ハンター達の集う場所には寄り付かないようにしていたから最近のキャスケットはめっきり情報に
疎くなっていた。
(ローが手に余ると言うほどの厄介な大物って、)
そんな相手なら少ない年月とはいえハンターとして活動していた自分の耳にも名前くらいは入っているはずだ
(まさか・・・)
見上げるほどの巨体は近すぎて全容が見えない。
視界に入るだけでも異様に映る奇抜なファッションはいつの時代のものなんだろう。
長く生きれば生きるほど能力が強くなるという、寿命のない彼等の中でもいにしえから生き続けているという者の
うちの一人で――

「ドンキホーテ・ドフラミンゴ・・・?」

「ビンゴ!なんだよ、ローから聞いてんじゃねぇか。なんで一緒に城に来ないんだ。人の獲物奪うほど無粋じゃねぇぜ」

名前を呟いたキャスケットの震える声など気にした様子もなく、上機嫌で 肩に腕を回してくる。
・・・この上機嫌が怖い。
こういう奴ほど、機嫌を損ねた時に手の付けようのない激しい怒りを放出するのだ。
どうやって遣り過せばいい。そもそも、ローよりもこいつが先に此処へ来たのはどういうことさ?!
(あっ、俺の姿が見当たらなくて探しに出た…のか?)
青褪め、俯いたキャスケットが千々に乱れる考えに百面相していると、「おい、」と頭上から声が降ってきた。
「勿体つけてないで顔見せてみな」
どんな美女だとからかう声が聞く。
これは勘違いを訂正しないままローの人間の恋人ということで押し通してしまうしかないんだろう。
美女なんかじゃないんだけど・・・と、考えている間に頭を掴んだ手で強引に顔を上向けられる。
「あん?閉じ込めて隠すほど目を引く美形ってわけでもねぇなァ」
失礼ながらも至極当たり前の評価をくれて、なのに、男の目はキャスケットの顔から離れない。
じろじろと眺める視線に居心地悪い思いで顔を伏せたキャスケットはドフラミンゴの漏らした呟きにヒヤリと肝を冷やした。

「どっかで見た顔だな・・・?」



心臓が縮み上がる思いが顔や態度にでなかったのはハンターという職に従じていたおかげだろう。
探りを入れる際には演技力が必要な時もあり、こちらの感情を一々表に出していては差し障りがある。
キャスケットにはドフラミンゴの顔に見覚えがなかったのだが、もし、狩りの最中を目撃されていたとしたら・・・
どくん、と一つ心臓が跳ねる。
(いけない。彼等には心音の変化くらい簡単に聞き分けできるのに)
ハンターというだけじゃない。半分とはいえ吸血鬼の血を持つ体だ。鼓動くらい調整できる。…してみせる。
文字通り、肉体的にも動揺を抑えこんだキャスケットが顔を上げる。
目を合わせたドフラミンゴは、探るようにキャスケットの顔を見た後、何かを思い出した様子で笑みを深めた。
「髪だ。 金じゃなくて、目の醒めるような赤毛。その顔にそっくりな女を知ってるぜ」
「え・・・」

思いがけない言葉に目を瞠って、キャスケットは目前のにやけ顔を眺めた。



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