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SS置場11
吸血鬼パロ4-2
ううーん。二日酔いとぽんぺい(ぽんぽんぺいん)で倒れてました。短い中編ですいません。そういえば台風の影響で
前夜祭と当日の盆踊りが中止になってがっかりです。中止になってないか調べて出たのに現地に行くまで分からなかったぞ。
お知らせのついったーでも中止報告なかったのに〜







出歩くな、と言われたキャスケットは3日ばかりローの持つ別邸に籠もっていた。
数日で戻ると宣言して行ったものの、ローはまだ帰ってくる気配がない。
あのローが手に負えないと漏らすほどの相手だからきっと門出を手間取っているのだろう。
キャスケットの存在を知られたくないと考えているなら不審を抱かせるような急いた退出は避けるはずで、うまく
抜け出せずに留まっているに違いない。
(食料がもう無いんだよね・・・)
ローは人間の食べ物を口にしないからここに来た時にもそれほど多くは持ち込まなかったのだ。
家に籠もっているだけならそうお腹が減るわけでもないから、このままお茶だけでローの帰りを待つか・・・
1〜2日食べなくても死ぬことはないのだけれど、血を摂取しないのなら経口食は欠かすなとローが煩い。
「・・・どうしよっかな」
暫く迷っていたキャスケットは、この後も帰宅が延びる可能性も考え、真昼の時刻を選んで買い出しに出る事にした。
自分やローも昼に出歩くことが出来る。だから、昼間を選んだのは気休めにしかならないと知っていたのだけど、
夜間や早朝よりはマシだろう。
一番近くの店まで行って、サッと買い物を済ませて寄り道せずに出来るだけ短時間で戻ろう。
そう決めての買い出しで、両手に食料を抱えて戻ったキャスケットは、玄関の扉を開けようとしたところで手首を掴まれた。


「配達か? そんなに沢山の食料を?」

掴んだ腕がローのものではないのに気付いて声を立てなかったのは正解だった。
「え、・・・はい。注文の品です」
咄嗟に店員の振りで答える。
とはいえ、この付近の人間ならキャスケットが街の者ではないと分かってしまう。
――いや、それよりも手を掴まれるまで近付く気配を感じさせない相手は普通じゃない。
人影がないのを確かめて門をくぐったキャスケットはこれでもハンターをしていたのだ。
警戒している状態で人の気配を見逃すなんてありえなかった。
残る可能性は玄関に立つと同時に現れた相手が人成らざる者であり、このタイミングでローの別邸を訪問する輩と
顔を合わせるのは非常に不味い。

「この家の方ですか? なら、お受け取りを」
荷物を受け渡してこの場を離れられるのならと少ない可能性に賭けた。
相手の男は相変わらずキャスケットの手を掴んだまま背後にいる。
その腕の角度はローよりも遙かに大きな背丈を示しており、今の体勢ではまるで覆い被さるように立っているのだ。
扉と男の間に挟まれているキャスケットに逃げ場はないも同然で、荷物を渡す動作でなんとか空間を作ろうとするキャスケットの
頭上で、フッ・・・と笑う気配がした。

「宛先違いじゃねぇのか。ここにそんなに喰う奴はいねぇだろ」
"彼"がローの言う相手だとすれば何故此処にいるのだろう。
招いた客を放って、さらにはその相手の家の前に居るなんて事があるだろうか?

「配達間違い・・・ですか? ああ、店に戻って確認してきます」
会話だけが上滑りに続いている間もキャスケットは辺りの気配を探っていた。
やはりこの近くにローはいない。
だったら、後ろにいるこの男がローから聞いたバンパイアじゃない事を祈るのみだ。

失礼しましたと軽く頭を下げると男はようやく手を離した。
抱えた荷物の大きさに救われて顔を出さないようにして相手に背を向ける。
男の顔を見てはいけないと感じていた。
ましてや、目を合わせてしまったらこちらの隠し事なぞ読み取られてしまうだろう。
ローと過ごして慣れているキャスケットにすらピリピリと相手の力の大きさが伝わってくる。
ヒトではないと勘付いているのを知られないよう、ごく普通の配達員を装う。
(背を見せるのを怖がっては駄目だ)
今は感覚は全て遮断して鈍い普通の人間の振りを貫き通さなければ。
ハンターになる時に緊張を表に出さない訓練が効を奏し、普段と変わらぬ歩調で門まで戻る。

・・・追ってくる気配はない。

敷地の外に出て、見逃すことにしたのだろうかとキャスケットが訝しんだ瞬間、両肩を大きな手が掴んだ。





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