SS置場9 試練5 E 風邪貰った上に血祭り…!しかもここ3日ほどまた暑くなったせいで職場のクーラーが最強になっております。仕事するだけで 精一杯、すみません。短いですけど書いていたところまでをUP おい、いつになったら第三の試練に…という声が聞こえそうgkbr 最初のフロアと同じような無限の回廊に立ち、視界を巡らせる。 "試練のある部屋" は既に見つけている。というよりも、目覚めた場所がそのまま"試練の間"だった。 なのに、シャチは1人、出口が無いのを承知で彷徨っていた ――どうにかして、出口を見つけないと。 この神殿に放り込んだのが船長なら 最悪、自分が何日も出てこなければ能力で呼び戻してくれるのかもしれない。 (でも、多分 その前にキッドに見つかっちまう) 体力が尽きるまで鬼ごっこなんて洒落込んでいられるとも思えない。 "壁をぶっ壊してでも自力で出る"という単純明快な手法は最初のフロアで既に試している。 壊しても崩しても端から再生していくのだ。腕力に物を言わせても脱出は不可能だった。 (どこか・・・、どっかに 抜け道はねぇのかよ!) 出口を求めて駆けるシャチの姿が 足音だけを残して回廊の奥の闇へと消えて行った 【第三試練の間】 目を覚ましたキッドは誰も居ない部屋で途方に暮れていた。 ブラックアウトした後、気付けばさっきまでとは違う部屋に倒れていて、次のステージに進んだのだろうと思った。 (床が崩れるよかマシかもしんねぇけど、強制的に意識を喪失させる必要はねぇだろ) お陰でシャチを見失ってしまった。 キッドが意識を取り戻す間際にはシャチは此処に居たのに。 先に目を覚ましていたらしいシャチの声を夢うつつの状態で確かにキッドは聞いた。 『ヤな予感したんだよ。この試練、最初っから どう考えたって男女の組合せ前提の試練だろ』 そんな風にシャチが言う声を聞いた気がする。 その後 人の出て行く気配がして、それっきりシャチの声は聞こえなくなった。 覚醒したキッドは シャチの姿を探して部屋を見回した際に自分には読めない古代文字を発見している。つまり、 目覚めたその場所が"第三試練の間"で間違いなかった。 ――じゃあ なんでシャチは出て行った ムスッと普段からの強面を更に凶悪に顰めて、目覚める前の記憶を探る 『キス…』 嫌な予感がしたとぼやく前に シャチの呟きが聞こえたような気がするのは現実のことか? まさか、あの呟きは次の試練の内容だろうか。 課題の記述を見つけたシャチが、その内容に思わず漏らした呟きを覚醒直前のキッドの耳が拾ったのか。 (・・・あいつ!) キスが嫌で 俺が目を覚まさないうちに出て行きやがったな?! 「待ちがやれ、逃がさねぇぞ、シャチ!!」 怒声を響かせて飛び出していくキッドは、それでも試練の間の入り口に目印を付けるのを忘れなかった *** (ちっくしょ、喉渇いた…) そういえばこの神殿に入ってから食べ物どころか飲み物も口にしていない。 飲み物やおやつ代わりの食物も持ってきてはいたのだが、散策の途中で空腹を訴えるベポに渡してそのままだった。 (渡した後、返してもらっときゃよかったなぁ) ちぇ、と思いながら先へ進む。 自分の行き先は船長達も知っている。脱水症状や餓えで苦しむほど長居するつもりはないのだが、ちゃんと持って出ていただけに 欲しい時に手元にないのが口惜しい。 だいたい、自分がこんなところへ放り込まれたのは船長の気紛れなのだ。大方、"出口のない神殿"の話を聞いて いざとなったら 能力でスキャンすれば取り戻せるのだからとおもしろ半分に手近にいたシャチを神殿の中へ飛ばしたのだろう。 試練の内容を把握していたかどうかは微妙なところだ。 (2人一組じゃないと解けない試練なら俺だけ送っても出てこれないじゃねぇか!) キッドがここに居たのは偶然だ。だったら――・・・ 考えていたシャチの視界の端を白いものが掠めた。 "あの見慣れた色を間違うはずがない" 思った時には声が喉から飛び出していた 「おい!誰か居んのか?!」 おい……おい……おい…… と、シャチの声の木霊が響く。 それに応えて返ってくる声はなく、だけどアレは見慣れた今もシャチも身に着けているつなぎの色だ。 船の誰かが居るならそいつとこの神殿を出よう (・・・けど、キッドは最後の試練の内容を知らねぇ) シャチが自分の仲間と外へ出てしまったらキッドはどうやって此処から出る? 一瞬見えた影を追い掛けようとしていたシャチの足が 先へ進むのを躊躇するようにスピードを弛める。 さっきの影は応答がなかった。 あれだけの大声なのに届かなかったのだろうか。とにかく、神殿の中に居る仲間が誰であれ、そいつはこちらに気付いていないのだ。 いくらシャチが足に自信はあっても迷っている間に追いつけなくなってしまう。 その、少しの迷いが命取りだった。 迷ったシャチの耳が 自分を呼ぶ声を聞きつける。 それは期待していた仲間のものではなくて、追い掛けようとしていたシャチの足を止めた人物のものだった [*前へ][次へ#] [戻る] |