SS置場9 猛獣ジャック2-1 前にペンキャスにUPした猛獣ジャックのその後の場面です。すいません、職場の関係のお通夜が入って 遠出してて寝オチ寸前の為、展開決まってないまま、書きかけてるうちの半分だけUPします。切りが良いとこだと こんなに短くなっちゃいました。もうひとかたまり・・・で切ると多分すごく半端な感じに見える´・ω・` 2人を連れて入ろうとしただけなのにペンギンのその意図は適わなかった。 それまで大人しくキャスケットと並んで着いてきていたシャチが、行くなと留めるようにしっかりとキャスケットの手を握ったまま 強固にその場に立ち止まる。 ここまできてどうしたと彼等を見遣ったペンギンは、留めるシャチの様子が毛を逆立て威嚇しているように見える事にハッとする。 慌てて背後を振り返れば、自分達がこれから入ろうとしてた建物の入り口に、すらりとした人影が立っていた 「遠路遥々、ようこそ」 張り上げているようでもないのによく通る声が歓迎の意を伝えた。 口角を片側だけ引き上げた笑いは他人を小馬鹿にする印象が強いから止めろとあれほど繰り返したのに相変わらず健在だ。 人影に気付いていなかったキャスケットが びくっと肩を跳ね上げて声のした方を見た。 ひとの姿をしていても嗅覚や本能といったものは獣並なのだろう。とっくに気付いていたシャチが、それまでどの人間を見ても 気にも留めなかったのに 今度だけは違う。 これまでペンギンに見せていたものとは段違いに警戒心を露わにしてキャスケットの行く手を阻んでいた。 初めて会うはずの人間を相手にこれほど顕著に敵愾心を見せているのは獣の本能でローが自分達に害を為す者だと 感じ取っているのかもしれない。 「シャチ、大丈夫だよ」 行こうと促すキャスケットの言葉にも根拠はないのだ。彼は単にペンギンの指示に従ってここまで来ただけに過ぎず、 何の用で連れてこられたのか、その目的すら知らない。 行こう、と 抵抗の意を表すシャチを宥め賺すキャスケットに 行っては駄目だと首を振って教えるシャチの勘の方が正しいのだと 知っていながら、ペンギンは彼等に近付きキャスケットの肩に手を掛ける 「大丈夫だ。それよりもいつまでもここに立っていては目立つ。中に入ろう」 ローに向けた警戒が強すぎるのか、シャチが発する威圧感がペンギンの肌を灼く。 今にも唸り声を上げそうなキツイ顔付きのシャチを敢えて視界から追い出して、強引に連れ込むか迷っているキャスケットの顎に 手を掛け、有無を言わさず唇を重ねた ん、んっ!と、抗議しているらしい鼻声が口の中で聞こえる。 機嫌取りには使えないかもしれないが、キスに弱いキャスケットを有耶無耶に流すには有効な手段なのだ、使わせてもらおう。 暫く彼の口内を荒らし、キャスケットの足から力が抜けるまでキスを続ける。 かくっとキャスケットの膝が折れ、ペンギンに凭れる事で漸く立っているという状態になるまで舌を絡め唾液を啜った。 そこまでしたペンギンがようやく顔を向けると、シャチが驚いた様子で2人を見ていた。 彼の存在を隠していたキャスケットはペンギンが居る時は絶対にシャチを部屋から出さなかったから、目の当たりにしたのは 初めてだろう。 その上、くったりとキャスケットがペンギンに凭れ掛かってしまったのだから慌てた様子でこちらに手を伸ばしてきた。 ペンギンは それに先んじてキャスケットの膝に手を回して抱え上げる。 「ほら、キャスケットを早く座らせてやりたいだろう?」 中に入ればソファもベッドもある。横になりたければいくらでもと続けた。 力の抜けたキャスケットは シャチには具合を悪くしたように見えるのだろう。 本能が警鐘を鳴らす相手の招きに応じるか、キャスケットの体調と秤に掛けてシャチは渋々ながら苦渋の決断をしたようだ。 家の中に入ろうと言うペンギンに同意したシャチは 油断無い視線を怪しい人影に向かって飛ばしながら ローとペンギン達の間に 立って歩いている。 キャスケットに何かあれば自分が守るという決意に満ちたその配置は無駄な行動ではあるが褒めてやりたい。 (安心していい。狙われているのはおまえだ。キャスケットには絶対に害は及ばない) 利害関係も分からない獣の忠誠を利用する事に若干良心を痛めながら、ペンギンはまんまと彼等を連れて戻る事に成功した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |