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SS置場8
はじめて C
キャスペンで初夜。 ブーム終わったとか言って結局またペン受け書いてるし…










部屋に入った時から酷く緊張していた。
それでも、ドアを閉めるなり抱き締めたシャチが顔を寄せてくるのにつられてペンギンも目を閉じる

合わせた唇から伝わる熱で脳まで蕩けそうになりながら 互いに舌を絡ませあった。
さっきから心臓が煩いのは これから自分たちはキス以上の事をするからで、今日は2人が恋人になってから
初めての上陸だった
どちらからともなく、島に着けば身体を合わせようと考えていて、明日には寄港すると判ってからはそわそわと落ち着かなく
過ごしていた2人は、着岸するとすぐに船を下りる用意をした
なんだ、今日は早いなという仲間の声を聞いた気もするが、島影を見てから急激に緊張の高まっていたペンギンは周囲の声など
碌に耳に入っちゃいなかった

シャチの方はどうだったか知らないが、降りた島の様子を観察する余裕もないペンギンに「ここでいいか」と少し街から離れた小綺麗な宿を
指して聞いたから、少なくとも自分よりはまともに頭が働いているはずだ。
クルーと顔を合わせないように離れた場所、加えて 普段泊まる宿よりもランクを上げてと細かいところに気が回っている。
ペンギンに不満があるはずもなく、同意して中に入ったのだが、"こんなところに男2人でというのは気まずくないか"という考えが頭を過る。
宿に入った瞬間、たたらを踏んだペンギンに、シャチが笑って手を差し伸べるものだから、その笑顔に引き寄せられるように
ふらふらと従ったペンギンは 気付けばチェックインを済ませて部屋に向かう階段の途中に居た
(っ・・・手!)
我に返ってみれば自分は出されたシャチの手を握ったままだ。
もしかすると、手を繋いだままチェックインしたのかもしれない
(恥ずかしいだろ、普通っ)
平気なのかと隣のシャチを窺えば 彼は階段の途中で立ち止まったペンギンを見ていて、目が合った途端 さっと自分の頬に
血が集まるのが分かった

「ペンギン。 迷ったりしてねーよな?」
「っ、まさか!」
聞かれた事を即座に否定する
うん、と笑顔で頷くシャチは ペンギンの答えが分かっていて聞いたようだ
「行こ。部屋、そこだから」
「ああ」
鍵をあけたシャチに促されて先に部屋に入ったペンギンは、部屋の中を検分する時間もなく背後から抱き締められていた






(あれ・・・)
キスを交わしていたはずなのにと 視界に天井が映って不思議に思った
船のものとは違う、見慣れない天井。
いつのまにベッドに移動していたのだろうか
キス一つに夢中になっている間に、ペンギンは柔らかいシーツの上に横たわっている
「んむ、」
再び重なってくる唇に思考が拡散する
完全に主導権をシャチに握られていて、参ったなと苦笑のような気分がしたものの、深い口付けはそんな考えも奪い去った
「ぁ、」
アンダーの中の肌に直接手が触れて いつの間に前を開けていたのかと思ったペンギンは、シャワーもまだだと どこかぼやけた頭で考えた。
いくら船を下りる前に浴びたとはいえ、ここまで移動する間に汗を掻いていなかったかと思えばやはり先に浴びてしまいたい。
だが、ここまで盛り上がってしまった今、中断するのも白けてしまいそうで"シャワーが浴びたい"と言い出せずにいたのだが、
今から思えば緊張でよく眠れなくて、目を覚ます為に朝方シャワーをして出たのは幸いだった

ちゅ、と また唇が触れる
その間も ペンギンの肌を這い回るシャチの手は止まらない。
つなぎこそまだ着用したままだったが、ずり上げられたアンダーは胸の上まで押し上げられていて 腕以外はシャチの目の前に晒されていた
(なん、で・・・こんな中途半端に)
へそから首近くまでを半端に剥かれた格好は全部脱いでしまうより恥ずかしい気がする。
シャチにそんな意図はなく、単に気が逸って手の届くところからめくり上げただけのようだったが、いっそ脱がせてくれた方がよかった
(そう、か。俺の体がシーツに沈んでるからか)
ペンギンの頭から引き抜けなかったのだろう
互いの協力がなければ確かに服を破かずに脱がせるのは難しそうだ
「しゃ、ち」
呼ばれて、ペンギンの首付近に吸い付いていたシャチが顔を上げた
シャチの動きが止まった事でペンギンも腕を動かすスペースができる。
つなぎの袖から手を抜こうとしているのに気付いたシャチが、うまく布を引いて手伝ってくれる
アンダーを取り去り、上半身が露出したところで 彼は我慢が利かないという様子で覆い被さってきた。
布が無くなったことで更に自由に彼の手がペンギンの上を撫でる
それだけで声が出てしまいそうで、ペンギンは慌てて奥歯に力を入れた。
折角シャチが夢中になっているのに うっかり声を上げて耳に入った男の声で彼の熱が醒めてしまったらと思うと怖くて
声なんか出せそうにない
勿論、そこには 女のように喘ぐのを聞かせるのが恥ずかしいというペンギンの思いもあった。
なのに、ペンギンのそんな努力を知らないのか、シャチの手は憎いまでにペンギンの官能を探り当てる。
そういえばシャチはナンパ待ちの女を見つけるのが上手く、声を掛けた女を持ち帰る事も多かった
それだけ経験も豊富なのだから、組み敷いているのが男であっても理性を溶かし乱れさせるのは場慣れしたシャチには
訳もない事なのかもしれない
そうでなくても 触れているのがシャチの手だと思うと それだけで普段の自分からは考えられないくらい熱が上がってしまうのに。
(うそ、だろ。こんな簡単に・・・)
自分の身体の成り行きに動揺しても、上がり続ける熱は身のうちに籠もって暴走を始めそうだ
そうしている間もシャチはペンギンの欲を煽り繋がる為の準備を進めている
準備の為だけにしては随分と積極的にあちこち無関係な場所を弄っているのだが、流れについていくのに必死のペンギンは
それに気付くだけの余裕はない
当然、"その為の準備"であれば他人には見せられないような箇所もシャチに触られることになり、その羞恥心と折り合いを
付けるのに苦心していた。
その上、シャチの手はペンギンの思いがけないところに触れたりする
構えていない時に無防備なところを弄られ、びくっ、と身体が震える度に顔が赤くなった
自分の身体なのに どうしてこうも自分の思い通りにならないのか。
また、シャチはペンギンが恥ずかしさに身を捩る度に 額に目元に唇にとキスを落とす
その唇の優しさが ペンギンの口から「待て」だとか「イヤ」だという言葉を奪い取り、声に出来ないまま何度も口付けを交わした
「・・・っ、ん」
代わりに零れ出るのは鼻に掛かった吐息で、そこに嬌声が混ざらないよう必死で息を吐いて快感を逃がす
ひく・・・と、また脚が震えたが それを気にする前に 持ち上げた足にシャチが唇を落とした
(っ、あ・・・)
それにまた感じて仰け反りながら、こんなに過剰に反応を返しては変に思われると焦ってもシャチは待ってくれない。
そのうち、ペンギンがそんな事を気にしている余裕もなくなるくらいになるまで、ペンギンの熱を煽るシャチの手は緩まなかった




「ペンギン?」
どれくらい時間が経過したか、声を押し殺すのに必死だったペンギンが呼ばれているのに気付いて薄目を開ける。
そのタイミングで つん、とシャチの指がまた潜ってきて 慌てて唇を噛み締めた
く、く・・・っと中で指が動く
その度に 喉から飛び出しそうな声をペンギンは必死で飲み込んでいた
「もしかして、経験ある?」
聞かれた内容に ぎくりとして彼の方を見たのは失敗だった。
大きく目を見開くペンギンの顔は 誰が見たってシャチの言葉を肯定している
――バレた!
思った瞬間、赤かった顔から血の気が引いた気がする
ペンギンの表情を見たシャチがしまった!と言いたげなすまなさそうな顔をした。
初めての夜に聞く事じゃないと思ったのだろう
だけど、今更 聞いてしまった質問をなかったことには出来ない
「あ、のさ・・・、ほら、ここ」
「・・・ぁっ、」
強ばったペンギンの体は緊張に力が入っていた
そこを、中を解していたシャチの指が動いて、内壁を擦られて思わず声が出る
「動かすとさ、きゅって、締め付けるんだよな」
「っシャチ、」
動かすなと言おうとして 彼の指が掠めた箇所からの痺れに身体が跳ねた。
声だけは殺したが、代わりにシャチの指を思い切り喰い締めていた
言い訳のしようがないくらい動揺する頭を置き去りに身体は素直に反応を返してしまう
「ぁ、あ・・・、」
「ここがイイとこなんだ? 慣れてるよな、ペンギン」
二本目の指が入ってくる
それをリアルに感じ取ってしまい、ペンギンは身を捩って震える唇を噛んだ
「ああ、ペンギン。唇噛むのやめろって。傷んなる」
ぺろ、とシャチの舌が触れ、思わず吐息が漏れた。
そのまま、舌が侵入してくる
部屋に入ってから何度目かも忘れてしまった深いキスが 中を弄る指が動く度に漏れる声を吸い取ってくれる。
ひく、と弄られている場所が 催促するように喘いだ
それが分かるのか、ちゅ、と音を立ててシャチの唇が離れ、同時に指も引き抜かれる

それまでのキスで上がった息を整えようとペンギンが息を大きく吸い込む

は、・・・と吐き出す瞬間を狙って シャチの灼熱がペンギンを貫いた

「あああっ、あ、あ・・・っ」
引き抜かれて閉じたそこを熱い塊がこじ開け じわじわと中に沈んでいく。
シャチを感じて、それが進む度に びくびくと小さく背を反らして声が出た
自分の内壁がぴったりと彼を包んでいるのが分かる
奥まで到達しようとするソレを 更に引き込もうとするように きゅうっと体の内側が締まった
「あっち・・・」
譫言のようなシャチの声が聞こえる
それは彼を含んだペンギンの声とも同じだった
(熱い――)
隙間無く彼を包んだ其所は シャチが脈打つ様まで感じてしまう
彼の分身が息づく度に、自分の内部が悦ぶように くいくいと締め付けるのが止められない。
一つに繋がった今、どこまでがシャチでどこからが自分か分からなくなりそうだった
「すげ・・・絞り取られそう・・・」
感嘆の声を漏らしたシャチがペンギンを呼んだ。
目を開けた自分に、もう一度キスが降ってくる
彼が身を屈めた事で角度が変わり、ぶるっとペンギンの腰が震えた。
締め付けられたシャチも思わず息を詰めている
「動いても、平気か?」
「だい、じょうぶ、だ」
動いてくれなければどんどん熱が上がって息も出来なくなりそうだった
「はや、くっ」
最後に添えた言葉でシャチの目の色が変わる
「ぁっ?!」
ずるっ・・・と、抜ける寸前まで引き出されて、その感覚にペンギンが身悶える
「あああっ」
次に、一気に奥まできて、ペンギンは声を上げて仰け反った
「ぁっ、あっ、あっ、しゃちっ」
激しいと制止をしたかったのか、気持ちいいと告げようとしたのか、もうペンギンにも分からない。
結局、シャチが動かなくても動いても熱はどんどん上昇し、あまりに激しく喘いだペンギンが息も絶え絶えになったのは同じ結果だった





「で、結局経験があったんだよな?ペンギンは」
事後の始末もすっかり終えられ、くたりとベッドに沈んだペンギンは腕を上げる力も出ず、力無く頷いた。
くたくたになるまで貪られたペンギンは否定する気力も残っていなかったのだ
「隠さなくてもよかったのに」
疲れきった恋人を労るように撫でながら、シャチが苦笑を浮かべている
「俺だって、男は初めてだけど女と寝たことはあんだぜ。別に初めてに拘ったりしねぇよ?」
まだ疼痛の残る腰をシャチの手がさする。
目元に感じた柔らかい感触は彼の唇が落としたキスだろう
「ん。」
次いで唇に触れたそれは、キスだけでなく水も与えて離れた
少し体温で温まってはいても、元が冷えていたのか心地よい温度の水が喉を通っていく。
水分を吸収したことで少し枯れ気味の声が、ましになった
「確かに、男と寝るのは初めてじゃなかったが、」
「うん」
ペンギンが口を開いたことで シャチは聞く姿勢を取った
それでも 腰や背を撫でる腕はそのままで、どこまでも甘い。
その手に勇気を貰って、思い切って最後までを口に出した
「こんなに、夢中になったのは初めてだ」
ここまで疲弊したのもな、と心の中で付け加えておく。
昨夜初めて枕を共にした恋人たちは互いの身体に没頭しすぎていた

「は・・・」
予想外の切り返しを貰ったシャチが、一瞬目を開いて、じわじわと顔色を赤く変えていく
「は、は。 ペンギン、さっきの訂正するわ。拘りはねぇっつったけど、その初めては すっげ嬉しい」
「うわっ、ちょ、シャチ、苦しい!」
感激した恋人から思い切り抱き締められて上げた悲鳴は、それでも嬉しそうな笑みに縁取られていた








 はじめての相手ひと






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あきゅろす。
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