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SS置場7
拍手ログ 告白 L
拍手ログ。今の拍手はペン受けのえろすなので苦手な方は読まないようにして下さいねー

わぁあん、サボっててすみません!最近週末になると出掛けるか支部を読み漁るかしてて書く時間を取ってませんでした!
先週書きかけ放置してたものを後半仕上げてUP!(これくらいの長さなら書けば書けただろうに…)









「俺 あんたの事好きだけど」
「えっ」

キャスケットが思わず聞き返したのは当然聞き取れなかったからじゃない。
言われた内容を どう解釈するのが正しいのか 判断に迷ったからだ

バイト先のコンビニで、客の流れの途切れた時を見計らった品出しの最中の何気なく選んだ当たり障りのない話題。
いかにもモテそうな容姿を持つバイト仲間を相手に、彼になら話題を振っても大丈夫だろうと"彼女居ない歴何年"だとかいう
自虐ネタを話していたのだ、キャスケットは。
自分を道化にするのが誰にも角が立たなくて一番円滑に会話が進む。
そう思って選択した話題が、どういうことが妙な流れになったような気がする

「えーと、それ・・・」
どういう意味? と尋ねようとして躊躇う

だって それまでの流れから考えると、"そういう意味" で言われたようにしか思えない。
(え、でも、・・・俺 男だよな)
言った相手だって男なのだ。 普通に考えて "そんな意味"のはずがないのだけど、聞いてみて "そうだ" と言われたら
果たして自分はどうすればいいのか。
だが言葉に詰まったキャスケットと違って、相手は有耶無耶で終わらせてはくれないらしい
下段の棚に商品を並べていたその男は作業の手を止めたばかりじゃなく上の段を並べていたキャスケットの方へ顔を向ける。
こうして顔を見合わせてみると冗談や軽口を言っている風情ではないと見てとれた
・・・のみならず、不意に伸びてきた腕がキャスケットの手を掴む

掴まれたのは腕でも服の端でもなく、直にキャスケットの手だった。
子供の頃ならいざ知らず、こうして手を握る(今の場合握られているのだが)事はそうそう無いのが普通で、ましてや、
相手は男とくれば久しくなかった体験だ。
それも、たった今キャスケットの事を好きだと言った相手からなのだから、それは明白な意思表示でしかない

基本的に 彼とキャスケットではバイトに入る時間帯が違う。
だからシフトが重なる事はあまりなく、その為これまで特に親しく話したことのない相手から握られた手をどうしていいか分からない。

これが仲の良い相手なら簡単なのだ
"なんだよ、気持ち悪いな" とでも言って振り解けばいい。
あるいは ふざけて手を握り返すのもありだろう

(だけど、今の場合はどうなる)

無言で振り払うのは相手に失礼だろう
それが "好きだ" と告げた直後のことなら尚のこと、相手の心を傷付ける。
(そもそも どうして俺なんだろう)
整った外見だけでなく、キツイ印象はあれど人を惹きつける強い吸引力がある相手が、何を好きこのんで自分なのか。
自慢じゃないけどキャスケットは特別目立つ容姿でもなければカリスマ性を備えているわけでもない。
おしゃべり好きで、友人達に言わせると人懐こいそうだから確かに誰とでも友達になれるのは自他共に認める特技だけど、
ということは彼はキャスケットのその特性を好ましいと評価してくれたのかもしれない。
だって 彼の周りにはいくらでも派手な美人や才能のある人間が集まって来るように見えるのだ
(類友っていうのかな・・・)
そんな人間が "人畜無害"という表現がぴったりの自分を選ぶなんて気の迷いだとしか思えない。
だけど それを敢えて"キャスケットという人間"を彼が選んだのなら・・・
自分の持つ数少ない美点を見つけて、そこを好きだと思ってくれたのだろう。
そう考えると無碍に冷たい態度を取るのは忍びなくて キャスケットは やはりさっきからの戸惑った顔のまま
相手の手を振り解けずに立ち尽くす

――困った。こんなの、どうしていいか分かんないよ

だって 今まで告った事はあっても告白された事なんてない
それも キャスケットから見れば どう考えても不相応にレベルの高い無理めの相手から。

それが同性からだという事をさておいても、こんなことはキャスケットの人生で二度と起こらないだろうと思える。
だからといってキャスケットが嬉しいと思う前に感じるのは先に戸惑いだ
まさかバイトの、それも仕事中にこんな事を言われると思ってもなかったから。

いくら客足が途切れたからって、こんな店の中、品だしの途中で告白されても・・・と、混乱する頭で考える。
(・・・あ。 そうか、話の切っ掛けは俺の会話か)
自分の言った自虐的な言葉が彼の口から告白を引き出したのかもしれない。

慰めるため? 自信を持てと伝えるため? それとも、卑屈な事を言う自分に苛ついたから?

戸惑いと、どうして今、という疑問を抱えたまま 相手の整った顔へ視線を向ける。
そのキャスケットの視線を受けてこちらを見返す目は あくまでも真面目な色をしていて――
どうしよう。これは冗談なんかじゃなくて本当に・・・ と、キャスケットの心に動揺を刻みつける

どのくらい、そうして無言で見つめあっていたのだろう。
前触れなく聞こえた自動ドアの開く音が 2人の間の静寂を打ち破った

ハッ、と夢から目が覚めたような顔でキャスケットが目を見開く
夢じゃない証拠は まだ彼に取られたままの自分の手。

"仕事に戻らなきゃ"
こんなところで手を掴まれている場合じゃないと頭では思うのに言葉が出ない

意識を今店に入ってきた客に飛ばしたキャスケットの手が、不意に きゅ、と握られた。
・・・逸れた意識を引き戻すように。
仕事に戻る前に 俺を見ろと その指先に力を籠めて。

その力につられて キャスケットの目が戻る
それを認めた彼が にっ、と唇を引き上げ 自信に満ちた笑みを浮かべた

どきり、と心臓が跳ねる

『どうだ、俺が気になってきただろう?』
彼の顔は確信に満ちた笑みでそう伝えていて、だが言葉にはせずに仕事へと戻っていく

「いらっしゃいませ」
彼の、低く耳に響く声が決まり文句を述べる。
まだ気持ちが切り替わらないキャスケットに、ちらりと流し目を残した彼は もう仕事の顔だった

(そんな、そんなの、狡い・・・)

取り残されたキャスケットは 早打つ心臓を抑えようと制服の上から胸を掴んだ。
さっきまで、意識なんかしていなかったのに、この動揺は一体どうだ
(作戦? そんなの、分かんない)

「おい、レジ、手伝ってくれ」
「はっ、はい!」

キャスケットの動揺を余所に いつの間にか店内は人で混み合ってきている
最寄りの駅で、最終の電車が客を運んできたのだろう

どきどきと落ちつかぬ心臓を持て余し気味のキャスケットは 呼び掛けに びくんと肩を跳ねさせた後、
慌てて彼の隣のレジに駆け込んだ







 真夜中の告白








お題ったーでロキャス!【あなたは50分以内に10RTされたら、同じバイト先の知り合いの設定でいきなり告白されて
戸惑うロキャスの、漫画または小説を書きます】


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