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SS置場6 拍手ログ 送り狼 Ｌ 拍手ログ。お題ったーでロキャス！学パロです。キャスで書いてしまいましたがキャラはシャチに近いです。 「あぁ、すっかり遅くなっちまった」 大学の連中と集まっての帰り道。 二次会にまで顔を出して、ギリギリ終電での帰宅だった 終電だというのに、一駅先が最寄りのはずのローがキャスケットと同じ駅で降りたのは 強くはない酒に すっかり呑まれてしまった友人の足取りが不安だったからに他ならない 「おまえ、強くもないのに毎回適量を過ごすのは俺をアテにしてるだろう」 離れて歩けばあっちへふらふら、こっちへよろよろと危なっかしいキャスケットの腕を掴んで自分の横へと 引き寄せるローの口から出たのは文句というよりはただの軽口だ 「ん･･･、だぁってさ、ローんち、こっから一駅じゃん。近いんだしぃ」 面倒だったら俺んち泊まっていけばぁ、と呂律の怪しい口調が返ってくる 真っ直ぐに歩けない彼は 掴まれた腕のまま、くたりとローの肩に寄り掛かって気怠そうに息を吐く ――何の 警戒心も持たない、太平楽な顔 あまりに無防備に振る舞うから、少し、苛めてみたくなった （純真無垢な羊は十字路に棲む悪魔への生け贄に丁度良いだろう。） レグバを呼び出し神へと捧げる祈りは何を望む？ 暗い夜道が交差する十字路で、ぴたりと足を止めたローを つられて立ち止まったキャスケットが不思議そうに眺める なんだよ、トイレか？ などと的外れな事を呟いて、もうちょっとでうちだからと へらりと笑った唇をキスで塞ぐ 「む、んむっ？！」 目を白黒させて身動ぐのを押さえ付け、夜間照明のライトの下、逃がしゃしねぇと 深く、深く唇を合わせる 何か言いかけた舌を絡め取り、逆らう気もなくなるまで存分に口内を貪った ローの唇が離れても 暫くは口も利けない様で、キャスケットが息を整えながら じろりと無言で睨んでいる 友人の怒りは予想の範囲だったから、ローは敢えて にやりと彼の神経を逆撫でる様な笑みを口元に敷いた 「隙だらけだな。それじゃ襲われたって文句言えねぇだろ」 おまえが悪いと笑ってやれば、キャスケットの視線がますます尖っていく 「違うだろ、バカっ」 そういう事、言ってんじゃないと唇を拭った彼が ふざけてるなら怒るぜ！と眉を逆立てる 別に俺はふざけたわけじゃないんだが、と脳内で返しながら肩を竦めて両手を上げるジェスチャーをすれば、 更に怒ったらしい相手から胸ぐらを掴まれてしまった そのままの体勢で 目の前のキャスケットの唇に視線を当てる 過度のアルコールの摂取と先程のローの悪戯で、赤く色付いたそこから紡がれる言葉は、予想外のものだった 「だから！こんなのっ、ホントに ただの冗談になっちまうじゃないか」 彼の言葉の真意を掴み損ねたローが眉根を寄せる （冗談で何が悪い？ てめえの為に気遣ってやったんじゃねぇか） なのに何を怒ることがあるんだ。 声には出さなかったはずのローの不満は そのままキャスケットに伝わってしまったらしい 「ふざけんな。 分かってんの？ 初めて、なんだよ？」 それをこんな雰囲気も何もない飲み会の帰り道で、酔っ払ったあげく酒に流されたみたいなキス、寄越しやがってと 零したキャスケットが ふい、と視線をローから外す 送らせる度に泊まって行けばと誘ってるのに、どれだけ鈍いんだよと続いた文句は最初の勢いを無くして囁くような 小さな声で、背けた顔の、髪の隙間から覗く耳は赤く染まっていた 「おまえ･･･」 気の抜けたようなローの声に、キャスケットが 腕を払って背を向ける すっかり拗ねてしまったようだが、あんまり無防備だからそんな風に誘われてるとは思えなかっただなんて 言うに言えなくてどうしたものかと考えながら すかさず逃げようとするキャスケットの手を掴んだ （下手に言っても機嫌を損ねそうだ。まだ、鈍いと思われている方がマシか･･･） キャスケットだって、本気で逃げたいわけじゃないのだろう 簡単にローに捕まって、だけど、居心地悪そうに視線が絡まない 「悪かったって。そういうことなら、遠慮はしねぇ」 「え、」 強引に腕の中に閉じ込め、驚きで固まる彼の口元に唇を寄せる 「手を出しあぐねてただけで、本当はいつだって送り狼になりたかった」 それなりに彼の喜びそうな言葉を囁いてキスの形に持ち込む 自ら喰われたがっていた生け贄の羊が その後の狼に美味しく頂かれるのは当然の結果で、 間近に見つめるローの目力に従って、キャスケットは静かに瞼を閉じた 十字路の羊 お題は『その後の狼・十字路に棲む悪魔・怒るぜ！・予想外・紡がれる言葉』です。何か聞き覚えがあると思ったら 路地裏のうさぎと似てたんですね、語感が。 ［*前へ］［次へ#］ [戻る]  |