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SS置場6
拍手ログ 恋文 L
拍手ログ。お題ったーじゃないのに短いです。何故なら予定と全く違う方向へ進んでしまったからー!
現拍手は短いキャスペンです。でも書いててどうにも失敗感が漂ってたのですが…うーん…









「キャスケット居るー? 船長が呼んでる」
仲間の声に起こされて、キャスケットが無言で起き上がる

「おい、こいつは今朝方やっと戻って来たとこだぞ」
だいたい、朝までこきつかってたのも船長じゃないかと同室のペンギンがキャスケットを庇って言うのが
聞こえている
そう。確かに、昨夜も寝入りばなを呼ばれて明け方まで船長に付き合っていたのだ
それが読書の時もあれば船長が新しく手に入れたゲームの類の時もある
眉唾モノの怪しい薬の解析だったり、とにかく必要に迫られての事からつまらない娯楽まで、呼び出される内容は
様々だったが 呼ばれるのは必ずキャスケットと決まっている
「おまえ船長を何か怒らせるようなことでもしたのか」
同室のペンギンに呆れたようにそう言われたのは一月ほど前の事だ
「逆。 なんか、気に入られたみたい」
それに対するキャスケットの答えは彼の感想とは真逆のもので、事実、『珍しい書物を手に入れたからおまえも
眺めてみろ』といった風に 呼び出す船長の理由は好意的なものばかりだ
例え、それがキャスケットには理解できかねるほど高度な本であっても船長には関係ない
おまえも嬉しいだろうと、それ以外の可能性は欠片も考えずに押しつけられるその好意を それがどんなに迷惑であっても
断る事ができないのだ、キャスケットには。

「はっきり言えばいいじゃないか。自分には分不相応なんだと」
ペンギンは何度もそうアドバイスした
その度にキャスケットが首を横に振るのも変わらない
「だって、おまえ言えるかよ? あんなに信じ切った顔の好意丸出しの船長に」
「俺は言える」
ぴしゃりと言い切ったペンギンは、実際に似たような場面できっぱりと断った事があるのだろう
だからこそ、常に呼ばれる人間がキャスケットになってしまったのだ
「よく考えろ。過ぎた好意は迷惑だと隠して付き合っているのは船長に対する裏切りだ」
「そういうのとも、ちょっと違うんだよなぁ・・・」
早いうちに船長の誘いを断ったペンギンは気付いてないのかもしれない。
だけど、このところずっと彼に付き合っているキャスケットには、朧気に感じている事がある

(船長、気付いてるんじゃないかなぁ)
キャスケットが 本当に楽しんで付き合っているのかどうか。
確かに、偶にはそういう時もある。キャスケットが心底楽しめる用件での呼び出しの時も。
だけど呼び出される大半は自分には興味の薄い事だったりするのを、あの聡いローが見落とすとも思えないのだ
(俺。 試されてるんじゃないかって、思うんだけど・・・)
ペンギンには話した事はないのだけど、そう外した予想じゃないと思っている
キャスケットが どこまで自分に付き合っていられるか。
無茶を無茶だと知って、それでも自分のところへやってくるキャスケットを見て、それで少しだけ安心する
(俺が音を上げるのが先か、船長の信頼を完璧に手にするのが先か。)
・・・まぁ、単にどこまでお人好しか試して遊んでいるのかもしれないけど
悪い賭けじゃないと思う
体力的には少々キツイけど、船長と過ごす事はキャスケットにとって全然苦痛じゃない。
全く分かりもしない書籍やレベルの違い過ぎる相手とのゲームは 少しばかり荷が重いといえばそうなのだけど、
――このゲームが終わるまで付き合い通すだけで、"船長"が手に入ると、したら

「最後まで、付き合うしかないっしょ。・・・船長知ってるのかなぁ。俺の"尊敬"が、いつから"恋心"に変わったか」
少々振り回されたところで諦めるような浅いものじゃないんだけど、船長はそれを知ってて俺を呼ぶのだろうか
(誤算だ、そんなつもりはなかったと 後で悔いても遅いんだけど、分かってるのかなぁ)
ただの暇つぶしのゲームの代償が自分の心だってのも、俺なら分が悪いと思うんだけど。

ふぁ、と大きくあくびをして眠そうな顔でベッドを下りたキャスケットを呆れた顔でペンギンが眺める
「行くのか?」
「行くよ、勿論。」
もそもそと着替え、手ぐしで髪を整えながら扉に向かうキャスケットの背後で、
おまえも付き合いがいいなというペンギンの感想が聞こえて くすりと小さく笑いを零す

付き合いがいいっていうか、これは 口説いてる最中なんだ。船長だって 気付いてて俺を呼んでるのなら
ある意味それも愛の告白だろ。

キャスケットが呼ばれて船長の元へ通い続けるのも、繰り返し告げる求愛の行動なのだ
(船長が絆されてくれるまで、諦めないよ、俺)

度重なる理不尽な呼出にも素直に機嫌良く応じるキャスケットを 不思議そうな顔のペンギンが首を傾げて
見送っていた








 何度でも試して

繰り返す貴方への艶書









のぉ!予定と全然違うものになった、なんでー!?これはそのうちリベンジしなければ…


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あきゅろす。
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