[通常モード] [URL送信]

SS置場6
風邪 C or P

前回更新はjunk(Garbage box)でした!今回風邪でダウン中でこんなのしか書けなかったよ〜 一部の方は知っている
ちょっとマイブームがきた先輩シャチと後輩ペンギン風味。同期でもいいかな。シャチペンにもペンシャチにも見えます。
どっちか判断出来なくてその他に。












ぱしゃ、と水音が聞こえて薄く目を開ける

眇めた目の端には見慣れた帽子を被る見慣れた男が こちらの視線に気付いたのか顔を上げて目を向けてきた

「目が覚めたのか」
ひやりと冷たい手が額に触れる
体温調整がバカになっている俺の体は それだけの事で ぶるりと身を震わせた

「悪い。まだ熱が上がる途中みたいだな」
直ぐに離れた手の変わりに濡らしたタオルが額を覆った
先程の水音は彼がタオルを濡らし、絞っていた音だろう

ああ、やっぱり ぞくりとする

夕方から徐々に上がり始める気配をみせていた体温は夜になって急激に上昇した
夏島が近いこの海域では皆、暑い暑いと涼しげな格好をしている
なのに自分ときたら空調の効いた室内では耐えきれず、早々に部屋に引っ込んだものの生憎自室は二人部屋だ。
仕方なく体の不調を相棒に話し、悪いが今夜は空調は控えめにと頼んでベッドに潜った

その後すぐに 節々の痛みが現れ、僅かの冷えた風に触れただけで 手足が分解しそうな不快感に襲われた
頭は逆上せたようになっているから本当なら暑いのだろう
なのに、シャチの体は寒いと訴え この気候に有り得ないようなくらいぴたりと布団にくるまっている
(頭いてぇ・・・ 熱が上がってきたな、こりゃ)
その上 喉にも違和感があるシャチは仕方なく保護する為に手近にあったタオルを取り首に巻いた
普通なら暑くて数分も保たないはずのその格好でも特には不快感がないから、相当体温を感じる部分が
おかしくなっているのだ

(クソ・・・寝ちまえ。熱が上がりきったら寒気も痛みも感じなくなる)
朝になればこの熱も下がっているだろう。一晩中茹だった頭に酷い頭痛を残して。

誰に助けを求めても変わらないのだ。眠って回復を計るしかねぇよと目をつむる
その閉じた目にも痛みを感じるのは熱で眼圧が上がっているのかもしれない

"濡れタオルで目を冷やしてぇなぁ"
そんな事をぼんやり考えながら 野生の獣がひたすらじっとして体の回復を待つ如く シャチはベッドに沈み込んでいた



(いつの間にか眠ってたみたいだ)
もしかすると苦し気な呼吸でも繰り返していたのかもしれない
炎症を起こした喉が辛くて咳き込んだかもしれない

聞き付けた同室の相棒は シャチが少しでも楽になるように水で濡らしたタオルを用意してくれたらしい

気付けば部屋の空調も止まっている
普通の体調の者には暑くて堪らないだろう室温にも彼は文句も言わずにシャチの看病をしていたようだ

「わりぃ、ペンギン。あとは平気だから・・・ッ、」
眠ってくれ、と続けようとしたところで 眠っていて渇いた喉の粘膜がひきつり咳の発作が起こった

コンコン、ゲホンと咳をする毎に頭に響く
熱で弱った体には咳だけでも意外と体力を使うものだ
幸い、シャチは今日熱を出したところで まだ十分に体力があった
だが熱による頭痛に魘される身には咳の発作はいただけない

顔をしかめて咳き込むシャチを眺めたペンギンは、ぐい、とシャチの体を引き 自らも横になるようにして
腕の中に抱き締めた
苦し気な咳を繰り返すシャチの頭を胸に押しつけ、ゆっくりと背中を暖めるように大きな手が擦っていく

咄嗟に 彼の背に腕を回してしがみつく姿勢になったシャチは しばらくそのままでいるうちに発作が収まった
いつもは自分より高く感じるペンギンの体温が冷たく気持ちいいものに感じて 相当自分の体温が高いのだと気付かされる

「・・・ッは、・・・もう、いい。落ち着いた」
さんきゅ、と腕の力を緩めながら身を離す
心なしか 名残惜しそうにしたペンギンが シャチに従って離れながら 落ちていたタオルをもう一度額に乗せた

一度頭に乗せたからか、今度は冷たすぎず温すぎずの丁度良い温度で、気持ちよさそうに息を吐いて
目を閉じるシャチの側でペンギンも安堵の息を吐く

「朝まで寝てりゃ平気だから、おまえも もう寝ろよ」
ありがとな、と笑顔を作って言ったのに、ペンギンはまだシャチの枕元にいる

「もう少し 看ている。せめておまえが眠るまで」
「ははっ、もう寝るよ。いいから戻れよ。風邪うつっても知らねぇぞ?」
タオルをずらして彼の方を見れば 微笑を浮かべるペンギンがそこにいた

「そしたらおまえが看病してくれるだろ? もう少し、俺にも心配させろ」
弱ってるシャチについてるのは自分の我が儘だと言い切ったペンギンの顔が近付いてくる

「・・・おい、」
「いいから」
制止の声を出したシャチに いいからキスさせろと粘るペンギンに思わず笑いが零れる
「おまえ、どうしたの? いつもは我が儘言わねぇのに」
笑って尋ねるシャチに 真面目腐った顔で"キス以上はしないから"と誓ったペンギンに
くすりと小さく笑ったシャチは 触れるだけのキスを彼に贈った







 私を満たす貴方への病








シャチは風邪、ペンギンは恋の病
咳き込んでる時に、ぎゅってしてもらうと少し楽になりますよね。そして頭いたい目がいたい喉いたいです。
仕事休んでしまった(まだとってなかった夏休みをこんな事で使ってしまった) 次回更新は多分お休みします




[*前へ][次へ#]

53/100ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!