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SS置場1
拍手ログ 道化師 P
拍手ログです。この後のペンキャスとリンクしてます(多分)








ペンギンが時々ポケットから取り出して写真を眺める事がある
何の――誰の?――写真か、と聞いてみたいと思っていた

聞けば、きっと簡単に教えてくれると思う。だけど、聞けなかった
知りたいような、知らない方がいいような、・・・自分でもよく分からない勘のようなものが働いたので。
――決定的な、何かを、知りたくない と、思った・・・から
どうして 知りたくないと思ったのか。 朧気ながら分かっているそれを、認めたくなかった
俺は 現状を変える気は無かったし、認めてしまえば、きっと自分は行動を起こすだろう

・・・・彼を困らせたくは無かった
困らせてしまうだけだという事は目に見えていたし、自分の我が儘さ加減は十分自覚している
きっと 振り向かせる為なら 自分は何だってしてしまう―――
彼の意志を変えさせる事なんて簡単だ
目の前で、自暴自棄な態度でもとってみせればいい。見かねた彼がそれを咎めるような事を言えば、もうこちらのものだ。
自分を貶めるような事を言って、涙の一つも流せば、彼は簡単に自分を犠牲にする

想う人が別にいても、仲間の無謀を止めさせる為に 彼はこちらに手を伸ばすだろう
そして、俺は、間違っていると知っていても その手を振り払えない
一度手を掴んでしまえば、きっと自分は もう 離さない
喩え、彼が一度きりだと念を押して伸ばしてきた腕だとしても、
その一度の出来事を盾に取り、或いは脅してでも、泣き落としてでも、二度と彼を放さない
彼が拒んだとしても、"その気がないのになんで抱いたんだ" と募る自分が目に浮かぶ
困らせるだけだと分かっているのに
彼の腕を掴むためなら、なりふり構わず取り縋って、自分の身を切りつけてでも彼の目をこちらに向ける

俺は、それができる人間だから
彼に軽蔑されるのも呆れられるのも・・・・・見捨てられるのでさえ、構わずに 行動できる、愚かで浅ましい人間だから

精一杯、気付かない振りをする
自分の気持ちを認めないまま、いつもと変わらぬ顔で彼に接する

気付いている船長が挑発してきても、なんにも分からない振り。
莫迦な天然を装って、笑いに流すのは得意だから
すかされた船長の悔しそうな顔で僅かに溜飲を下げるのをよすがに、莫迦にされても笑われても平気な顔を作る
投げつけられた言葉が胸に棘のように刺さったとしても、そこから目を逸らすくらいやってのける
傷つけるのが分かっていて、最悪の事態を迎えるのは、出来る限り先延ばしに。それが、一生でも、いい


今日も、みんなの輪の中で、大声を上げて笑っていよう
大丈夫。それも、本当の俺の顔の一つだから。
認めないうちは、こうして笑っていられる
だから 俺は認めない
こんな俺に、影を含んだ笑いなんて不似合いだろ?――みんなの、彼の、目の前では、道化を演じよう
顔で笑って心で泣いて?
そんな事、しない。俺、それを恥ずかしいと思うプライドなんて、とっくに捨ててしまったから。
泣きたい時は声を上げて素直に泣いてみんなを呆れさせる
嗚咽をかみ殺して、静かに涙を零すのは、彼に見せる時のために取っておく
ずるくて、卑怯で、浅ましい自分。
こんな俺に捕まるなんて、悲劇でしか、ないから。 ・・・彼には俺は不似合いだから






 優しい道化師は両目を瞑る 


一生閉じこめておきたい狡猾な自分


できれば、彼には、見せたくはない








これ、限界を超えたら黒キャス降臨だね。 ロー→キャスケット→ペンギン→ロー いつもと逆のループ。
以降、黒キャスが降臨してしまったら・・・?というパターンに挑戦








こんな風に、肌を重ねて平気なのか

彼が悲しそうな目で俺に向かって問いかける

「平気だよ?」
俺は、平気なんだ。
意に沿わぬ相手を、脅して、無理矢理に その温もりを奪い取るのなんか いくらだって出来る

相手の幸福が自分の幸せ?
そんなの、敗者が自分を慰めるための欺瞞じゃないか

「ペンギンの、幸せを願ってあげられなくて、ごめんね?」
口先でだけなら、いくらだっておためごかしを言える
それが、心にもない言葉だって事には気付いてるくせに、健康でまともな彼は否定できない
腕を伸ばして彼を引き寄せ まっすぐに引き結ばれた、彼の冷たい唇に自分のソレを寄せる
歪み一つ無い綺麗なものを、穢す罪深い瞬間。
触れるだけの口づけを ペンギンは黙って受けいれる

「おまえのその痛ましいものを見るような目も、平気なんだ」
こんな、狡い俺に向けられる視線としては、上等な方だ
軽蔑のまなざしを向けられたって当然なのに、聡明な彼はけっしてそんな視線は向けない
「見捨てられないんだろ? こんな、狡くて嫌な奴なのに。・・・哀れ過ぎて?」
わざと 彼が軽蔑しやすいように、嫌みな顔で笑って見上げる
なのに、ペンギンは態度を変えない
「・・・おまえは、自分に正直だ」
彼の答えは キャスケットのどこか痛い所を抉った
「自分の欲望に、だろ?」
そんなの、俺を許す理由にならない
欲望に忠実に、正直になったところで それは美点にも何にもならないじゃないか
ただの、欠点だろ?
「そんなだから、つけ込まれるんだ。・・・俺みたいな奴に」
吐き捨てるように言ったら、ペンギンにぐいと引き寄せられた

「わざと 嫌われるように振る舞うのはよせ」
「・・・余計な、お世話・・・っ」
顔色が変わってしまった 
ペンギンの腕の中に居るのをいいことに胸に顔を押しつけ表情を隠して唇を噛む
「嫌われても、構わないと 正直に自分の気持ちを伝えたおまえの強さは認めている」
「・・・ただの、我が儘だ」
それを強いと言うのか、おまえは。
いつものように笑い飛ばそうとして、目線を上げた途端、彼の両手がこちらの頬を包む
「俺にはできなかったから。 無理をしなくていい。おまえの、健気な所も 正直に感情をぶつけてくる所も好きだ」
ひゅ、と息を呑みこむ
今・・・なんて?
思わず見上げた顔は、驚愕がありありと浮かんでいたのだろう
見下ろすペンギンの口元が わずかに笑みの形に歪む
「なに・・・血迷って、」
憎まれ口を続けようと開いた口がペンギンの唇で塞がれる


俺はお前を選んだんだ。 もう 強がらなくていい

耳元で聞こえた優しい言葉に 声を上げて泣きだしたキャスケットを ペンギンの腕が そっと抱き締めた









黒キャス玉砕!w やっぱり千堂には書けなかった やはりベタ展開しか書けないのね、自分orz


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