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戦国BASARA
【小政】いつまでも共に
(戦国)

「・・・10年後、ですか」

「Yes!・・・俺とお前、どんなになってんだろうなぁ?」

嬉々としてそう尋ねた主は、まだ少しあどけなさを残している。
その政宗様が、小十郎と同じぐらいの年齢までご成長なさると言うこと・・・。
さぞ、見目麗しくなられておられるだろうなぁ。
政宗様の今後を想像していると、不意に呆れたようなため息が耳に届いた。

「お前、何そんな考えてんだよ・・・楽しそうな顔しやがって」

ぷぅ、と頬を膨らませる政宗様が何とも愛らしい。
こんな子供じみた表情を、歳月を経てもしているのだろうか。
・・・俺の目が黒いうちは、政宗様のお体に汚ェ輩の手は触れさせない。絶対に。
一人で百面相し始めた俺の目の前に、政宗様の白いお顔がひょこっと現れる。
慌てて意識を戻せば、大層ご機嫌ななめの主が・・・。

「ま、政宗様・・・・・・?」

「・・・お前の未来に、俺はいねェんだろうな」

俺にはしかめっ面ばっかしやがるくせに・・・、小さく呟く政宗様。
小十郎の未来に、政宗様がおられない?何故?有り得ない。
たとえ本気じゃないにしても、これが慌てずにいられるものか。
俺の全ては、貴方様のためだけにあるというのに。
俺から見たら、華奢で小柄な体躯。
細く白い手首を引いて、小さな主を俺は自らの胸の中に無理におさめた。

「ありえませぬ、小十郎は政宗様のためだけに・・・」

「っ、・・・・・・なら、俺が天下とった後も、・・・」

「はっ、・・・来世でも、必ずやお傍に」

当たり前だ、それ以外許さない。
俺の前に政宗様がいない未来なんて、一欠片も必要ねェ。
耳まで朱に染めて俯いたまま、ふにゃふにゃ笑ってるこの主が愛しくて愛しくて仕方ない。
そのとき、ふと思った。
・・・政宗様は、年老いて使えなくなった俺を、傍らに置いてくださるのだろうか。
俺の胸に嬉しそうに頬を押しつける政宗様の耳に、そっと囁いてみた。

「・・・政宗様の未来に、小十郎はいてもよろしいのですか」

ぴくり、と肩を跳ねさせた主を見て思う。
俺は10年後も、政宗様にとって本当に必要なのだろうか、と思う。
年をとればやがて、戦場を駆けることも策略を立てることも出来なくなるだろう。
そんな俺を、国主である有望な政宗様はまだ右目と慕うだろうか・・・。
不安ばかり感じてしまった俺の頭に、清く真白の雪を思わせる指が伸びる。
優しく俺の硬い髪を梳きながら、政宗様は静かに微笑んでみせた。

「・・・いてくれなきゃ、許さねェからな」

俺の右目のくせにどっか行こうとすんじゃねェぞ、なんてあどけなく笑う政宗様。
その言葉に、仕草に、表情に、グっと胸が熱くなるのを感じた。
同時に、何て愚問だと自嘲する。
そうだ、俺は政宗様の・・・竜の右目なのだから。
惜しげもなく笑顔を見せてくれる政宗様につられて、俺の口元もだらしなく緩む。
いつまでもこのお方の傍にいられる、何と幸せなのだろう・・・・・・。

「・・・・・・貴方様の隣で迎えるであろう10年後が、小十郎は楽しみです」

「Me,tooだぜ、俺も・・・楽しみだ」

互いの目を見て、己の夢物語に微笑みかける。
どうかいつの世でも、この愛しい我が主が幸せでありますように。
いつか政宗様の興す未来は、眩いまでに蒼く煌めいている。








お粗末様でした。

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