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戦国BASARA
【小政】節分ネタmgmg
(戦国)

「失礼します、政宗様」

恭しい態度とともに、唯一無二の腹心が襖より顔を出す。
珍しく執務に集中していた俺は、生返事をしながらその声に応えた。

「夕食の仕度が整いましたが、いかが致しましょうか」

「Ah………?」

視線で時計をとらえれば、確かにもうdinner timeだ。
ということは、かれこれ三時間ほど政務に没頭していたことになる。
いつになく勤勉な己に苦笑したのちに、小十郎の次なる言葉に耳を傾けた。

「随分と頑張られましたな」

「Ha!独眼竜は伊達じゃねェってことだ、You,see?」

偉そうに口を零す俺に、小十郎もふっと笑みを浮かべる。
普段しかめ面をしているからか、何だかその表情が新鮮でcoolだった。
こんなお前が見れんなら、少しくらい真面目でいてやってもいいぜ?
少し恥ずかしかったから、心の中でそう呟いた。

「それでは政宗様、参りましょうか」

「Yes、行くぞ小十郎」

片目の呼びかけに腰をあげ、気怠い身体を立ち上がらせる。
首を傾けたら仰々しい音がして、小十郎も笑いを堪えてるみたいだった。
Hum……珍しいことすると、珍しいことが起こるんだな。
なんて考えていれば、すぐにMeal placeに着いた。
膳はすでに用意されていて、芳しい匂いに口元もほころんだ。
どうやら野郎どもも、俺のことを待っていたらしい。
俺が来た途端、奴らeyesを輝かせやがった。

「Oh,sorryな、いただこうぜ?」

「「「「いただきまぁああすっ!」」」」

俺が着座し、小十郎も半歩遅れてそれに続く。
そうすれば品のない大合掌が聞こえて、また笑ってしまった。
子供の頃なんか、こんなhappyな食卓はなかったよな・・・。
軽く感傷に浸りながら、食事の前に良酒に手をつける。
甘い酒が舌を転がり、芳醇で優しい香りが鼻を抜けていく。
するとすぐさま手にしたお猪口に、先ほど飲み下した酒が注がれた。
隣に鎮座する家臣を見て首を傾げて見せる。

「今日は、節分の日でございますので」

柔らかな笑みを浮かべる男と、手に持つ水紋とを見比べる。
なるほどな、今日はInformal partyってわけか。
俺は不敵に笑うと、席を立ち酒杯を天井へとかざす。
驚いた野郎共が箸を止め、いきなりしでかした主を凝視する。
そうすれば、静寂を打ち破るように俺は声を張り上げた。

「テメェら!今日は無礼講だぜっ、Let's Party!!!」

「「「「うぉおおおおおおおおお」」」」

盛り上がった家臣たちの表情を見て、俺も嬉々とした笑みを浮かべる。
そうして笑顔で座り直した俺を、竜の右目は嗜めることもなく苦笑した。
勢いよく煽った酒が、次から次へと酒瓶を空にしていった。



「…政宗様、お気を確かに!」

「ぅー…、Ahー……?」

完全に酔い潰されてしまった主を見て、深いため息を吐く。
そういえば、我が主は大変に酒に弱いことを失念していた。
とはいえ、こんなになるまで普通飲むだろうか……?
横目で政宗様を見やれば、酒瓶を抱きしめて幸せそうに畳に寝転がっていた。

「政宗様……恵方巻きは、いかがなさいますか?」

「あほ、巻き?いらね、バカんなる……」

「恵方巻きですッ…!!」

つい声を荒らげれば、渋々と言った様子で政宗様は上体を起こす。
そうすれば着流しの左側がずり落ち、色白く眩しい半身が露になった。
己の顔に瞬時に朱が走るのが分かった。
普段外気に曝されることがないからか、誰よりも色白くきめ細かい肌色。
薄く割れた腹部、そのわりには細く綺麗にくびれた腰。
そしてうっすら汗を纏い、淫らに男を誘う桃色の…………
己の後方で、ごくりと固唾を呑む音が聞こえた。
はっと我に帰り、寝かけている政宗様の着物を乱暴に正す。

「まっ、政宗様……!今宵はこれにて終いに…ッ」

「Wait、こじゅ……阿呆巻き持ってこい、食う」

「恵方巻きでございますっ!!!」

子供みたいに楽しそうに笑う政宗様に、軽い目眩さえ覚える。
そうして仕方なしに、女中に山積みにさせた恵方巻きを運ばせた。
瞳を輝かせてそれを見つめる政宗様に、不覚にも見惚れてしまう。
まるで幼き日の政宗様、梵天丸様を見ているようだった。

「こじゅ、どっち向いて食えばいいんだ?」

「あ、北北西でございますれば……!」

「OK、いただきます……んん」

形の良い唇が、少しばかり大きな恵方巻きを食む。
己や家臣たちもそれを頬張るが、つい政宗様の方に視線が泳いでしまう。
何度か野郎どもには睨みをきかせるも、政宗様の色気の前ではあまり効果はないようだった。
頬を赤らめながら、目蓋を閉じ一心不乱に恵方巻きをくわえる主。
自分の中に浅ましい妄想が駆けぬけ、身体中の血が奮起した。
誰もが欲望の入り交じった眼で、淫靡さを漂わせる政宗様を見つめていると、

「……ん、ぅっ」

不意に艶っぽく濡れたような声が、政宗様の唇の端から漏れ聞こえた。
尋常じゃない速度で、身体の中心に熱が集まるのを感じる。
政宗様の荒く、熱っぽい息づかいだけが室内を埋め尽くした。

「ん、…む……っふ、ぅ」

薄く涙を浮かべながら、最後のそれを飲み込む主。
息をすることすら忘れて、主の無意識の痴態を凝視し続けた。
皆の視線にようやく気づいた政宗様は、可愛らしく小首を傾げた後、

「ごちそうさまっ!」

と、どんな美しい花や花魁ですら嫉妬するような笑顔を咲かせた。
己の理性の枷が、音をたてて外れるのを感じた。
すっと腰をあげ、目を瞬かせている政宗様を抱きかかえる。
そうして家臣たちの視線を振り切るように、己の部屋に連れ帰った。
そこからは、まぁ……お子様禁制なあれやこれや…………
とりあえず乱れた主を、腹心が美味しくいただいたことは確かだった。
ごちそうさまでした!


おまけ

「……で?阿呆巻き食った俺を欲情して襲った、と」

「……政宗様、恵方巻きで

「Shat,up!……んで、どうだった?」

「どう、とは……?」

「ど、どうって、その……Ah……」

「…あぁ、お可愛らしゅうございました、普段とお変わりなく」

「そ、そうか……っ!……ん?普段ってー……」

「はい、小十郎は気づいてましたよ?政宗様はとっくに酔いが……

「うわぁぁああああっ、ちょ、こじゅっ、Don't say it―――」




お粗末様でした。

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