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戦国BASARA
【三政】分からないから
(戦国)

嗚呼、秀吉様……私には分かりません。
家康を殺すのに邪魔な、あの東軍の青き竜。
私がいつぞやの戦で、首を斬り損ねた三日月。
そして幾度も私をたぶらかす、饒舌な上に無口な子蛇。
あの男のことを思うと、たまらなく可笑しな気持ちになるのです。
殺したい、……とも思いますが、それとはまた少し違って。
見ていると苦しくなるような、貶めて泣かせたくなるような……それは訳の分からない感情なのです。

「石田、三成…ッ」

さも憎らしげに言葉を紡いだあの男の、唇から覗いていた赤い舌先が忘れられません。

「アンタ、……綺麗な目ェしてるよな」

軽く微笑みながら、目を細めて刀を握り直すあの男が、いじらしく思えて血が湧きたちます。

「なぁ、石田三成……―――」

戯れ事は嫌いだと思っていたのに、あの男の声だけは……今でもずっと聞いていたい。
まだ聞き足りないとさえ思い、体が勝手に欲しているのです。
それ以上に、全てを奪い去って私のものにできたら……等と私は戯れます。
あの男は今、何をしているのだろうか。
私は何故、こうもあの男に執着しているのだろうか。
……嗚呼、秀吉様。
一つだけ、思い当たる節があるのです。
奴の刀と私の刀が交差する瞬間、あの男が私に囁いたのです。

「信じろよ、この俺を」

アンタの大事な人を潰した、この俺を……――――。
そう言ったあの男、伊達政宗は不思議でした。
殺意と同時に、私はひどく伊達に焦がれたのです。

「……信じられたら、」

とっくに信じている。
とっくに許しているし、すぐにでも死んでいる。
嗚呼、秀吉様……。
薄れゆく記憶の中で、今も鮮明に残る伊達を信じる許可をください。
貴方を殺めた罪深き伊達を、殺さないための理由をください。
私は、生まれて初めて貴方を裏切ります。
嗚呼、……もう一度伊達に会いたい。

「本当は、最初から信じていたのかもしれない」

貴様を斬れなかった、あの日から。
貴様の全てを愛しいと思った、今日この日から。





(なっ、!何でテメェがここにいやがるっ)

(伊達、貴様のことを信じてやる!感謝しろ!!)

(Oh……やっぱお前って、よくわかんねェ奴だよな)








お粗末様でした。


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