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戦国BASARA
【三政】初心
(現パロ)(大学生×大学生)

小十郎におつかいを頼まれた。
今日の夕飯はカレーにしましょう、なんて笑うから断れなかった。
とびっきり甘いの買ってきて、困らせてやろうとも思った矢先・・・

「Oh・・・いきなり降ってきやがった」

空が突然大泣きし始めた。
エコバッグの中に入ってるものを抱きながら、慌ててどこか身を隠す場所を探す。
しかし近道をしようと裏道を使ったせいか、どうも気の利いた雨宿りできる場所が見つからない。
悪いこと企むからこうなるのか・・・と小さくため息を吐く。
仕方ない、家までまだ少しあるが走るか・・・・・・。
荷物をもう一度抱え直して気合をいれたその時、不意に自分の頭上に影が出来た。

「・・・Ah−han?」

「何を立ち止まっている、貴様の家はどこだ」

驚きパッと振り向けば、そこには見慣れない前髪があった。
目つきはとんでもなく悪いが、どうやら俺を家まで送り届けてくれるらしい。
人を見かけで判断するのはよくないですよ、・・・ヤクザ顔の小十郎を思い出した。

「アンタ誰だ?まぁいいや、Thanksな」

自分の家の方向を指させば、早足で歩を進める前髪さん。
見たところ俺と同じぐらい、だと思う。
今の時代、大学生でこんな親切な奴もいねェな・・・なんて微笑んだ。
不意に、前髪さんの足が止まる。
前髪さんに合わせて小走りになっていた俺は、差し出してくれた傘から少し飛び出してしまった。
・・・二人の間を苦しいまでの沈黙が埋めていく。

「・・・ど、どうした?あ、もうすぐだからもう・・・ッふゎあ!」

唐突に視界が真っ暗になり、何かを被せられたのだと知る。
慌てふためきながらそれを手に取れば、前髪さんの羽織っていた白いコートだった。

「・・・・・・、いねェ。足早すぎんだろ」

前髪さんは、俺にコートと傘を渡していつの間にか消えてしまっていた。
通り雨だったのか、もう雨もまばらにしか降っていない。
濡れて冷たい俺の体に、まだ温もりのあるコート。
濡らしたら悪いな、とそれを取れば、ご丁寧に襟の部分に名前が書いてあった。
クス、・・・と小さく笑ってしまった。
自分の持ち物に名前とか、幼稚園以来だよなぁ。

「・・・石田三成、か」

優しく真面目な彼と、本当のことを言えばもう少し一緒にいたいと思った。
でも不思議と、またどこかで会えるような気もする。
政宗様っ・・・と叫びながらこっちへ向かう小十郎を見つけながら、もう少し。
ほんの少しだけ、この白い温もりに身を預けることにした。





(なぁ、あの時なんでアンタ逃げたんだよ?)

(・・・っ貴様がさも幸せそうに笑むからだろうがッ!!)

(・・・・・・あ、あんな笑顔、小十郎にも見せたことねェよ)

(当たり前だっ!貴様の笑顔は私だけのものだ!異論は認めないッ)

(クク・・・はいはい)









お粗末様でした。

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あきゅろす。
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