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戯言シリーズ・二次(中・長編)
戯言王国記5(ひといず)





バッ!


ジィィィィィッ!


ヒソヒソヒソヒソ・・・





・・・・・・・・居心地悪すぎるだろ、これ。








***


大方の王家の人が集まって、さあ王様と俺が登場した。
と同時に俺らに向かって向けられる視線視線視線。はっきり言って怖ぇぐらいだ。

「壱の国へようこそいらっしゃいました。年に一度の大パーティー、王家集結パーティーをこれより開催させていただきます。国同士の友好を、作り、よりいっそう深くしてください。では・・・Let's party!」
「「「「「「「「「「Let's party!」」」」」」」」」」
「・・・(だからこの世界の人たちはどっか抜けてるというかおかしいよな!)」


まずは料理。調理人達が腕を振るって作られた豪華で豪勢な料理が並ぶ。
デザート食いてぇ・・・。けど、な。
「あなたはデザートから食べそうですから先に言っておきますが、そんなのは論外ですからよろしいですか?」ってメイド長に言われてるんだよな。恐ろしいメイド長に言われてるんだよな。
とりあえずそれとなくメイン食べてデザートに映るか・・・。

「いー、とりあえず最初は各国の王様方に挨拶しに行くよ」

・・・・・・!あ、俺の事か。そうだよな、いー、って呼ばれるわけだ。
あー、悪寒が。慣れなきゃいけねぇんだろうな、これ。
パーティーの順序は大まかにいうと【挨拶・食事→舞踏会→自由時間】。

「ようこそいらっしゃいました。闇の国の王、六何我樹丸様」
「主か。余の事は結晶皇帝(クリスタルカイザー)と呼べとあれほど言っただろう」
「公式の場ですよ、そこら辺はちゃんとしないと」

闇の国とは仲が良い・・・んだろうか?この会話。

「いらっしゃいませ、ゆっくりお過ごしください」
「『ゆっくりお過ごしください』か。ふん、俺は世界の終わりを見るために忙しい」
「・・・そうですか、はは・・・」

狐の国とはまあまあってとこか。
国を治めてながら世界の終わりを見たいとか意味の分からない王様だ。
この狐の国は最近出来たばかりで玖の国の情報網が行き届いてないとか、玖渚友王女は確か嘆いてたっけか。・・・そりゃまあ欠陥製品と話しているのを小耳に挟んだだけだけど。
にしてもこの国の王、食べる時どうするのかと思ったら普通にお面とって食べてるし。
ですよねー、それが普通ですよね。・・・別にがっかりなんかしてないし。


そして、

「久しぶりだな、壱の国王」
「ええ、お久しぶりです」

驚くほど圧倒的な威圧感を放ちながら、六人でひとかたまりになっている内の一人が声を掛けてくる。
この人が・・・人といえるのか知らないが、この大陸で勢力を『玖の国』と1、2位を争う匂の国の王だろう。玖の国と張り合うなんて、恐ろしすぎる。軍事力じゃどこも敵わないって噂だ。
・・・?この国、軍需品生産は活発だったっけか?放浪してた時に間違えて密入国しちまった時そんな事無かったと思うんだが・・・。

「ぜひ、この国と我が国の友好を深めていきたいと思うのだが・・・」
「ええ、此方としましてもそうしたいと思っておりますが?」
「では、そのように。」
「・・・?」

この匂の国の国王、壱の国の王とはまた違った形だが、デキる王様だろう。
でも壱の国の王とは違う、根本的なところが。

匂の国の王の意味深な話を切り上げたあと、俺は王様さんと、少し休憩として飲み物を飲みながら話していた。ちなみにこのパーティーには支給係などはいない。オールセルフだ。
理由は簡単。注いだり注がれたりすることからも友好関係を・・・というのが表の理由。裏の理由は節約で、(別にこの国が貧困なわけじゃない)ただの国王の趣味なんだとか)真の理由は毒などを入れられる心配を無くすため、だそうだ。

でも、それ以上に。それ以上に優秀な毒の探知係がいた。
できればこんな恐ろしい奴知りたくなかった、哀川潤だ。
何でこいつ、食品の匂いかいで「これは大丈夫だぜ」って伝えてるんだ?しかもそれ聞いて皆ちゃんと食べ始めてるし。
信頼アリマスネー。
壱の国は信頼が無いのかと国王さんに聞いてみたらどこの国の主催でも、毒見係としてだけでなく護衛とかの仕事、つまりこういうパーティーの守護者とされていてお偉いさんたちに顔が広いんだとか。
服は上から下まで真っ赤な、ピシッとしたスタイルのよく分かるドレス。足のほうがふんわり開いているドレスを着ているのが俺の思い描いていた哀川潤像とは少し違っていた。
それでもそこらの王妃や王女さまより数倍美人だと思うし、他の王族さん達に負けず劣らず目立っている。そこらの男よりも格好いいだろう。
そういや曲識のにーちゃん、よくこんな凄い奴についていけるもんだな、俺だったら無理だ。伊織ちゃんの言っていた事を哀川潤を遠目で見ながらぼんやり思った俺だった。

そして後半。俺は国王さんが何を示唆していたのかを身をもって体感する事になった。
国王と俺が離れて単独行動を始めた途端、あらゆる人の目線がこちらに向く。

Why?

もっとも、答えはその後すぐに分かることとなったが。
どっかの国の姫様が最初に俺に話し掛けてきた途端、それは始まった。

「今回は壱の国主催ですけど、次回はこちらの国を推薦していただけません?もちろん優遇いたしますので」
「何を仰っているのです。壱の国の王子はお体が弱いのでいらっしゃるのですから、ぜひ近国である我が国へいらっしゃいませんか?」
「王子様、この後の舞踏会でわたくしと踊っていただけませんか?」
「あ、ちょっと!・・・いえ、私と踊りません?」
「ではわたくしとは踊った後に後でテラスで一緒に飲みませんか?」
「何を仰いますか!!この方は私と・・・」
押し問答。引っ張りだこ。ハーレム。嬉しさ0パーセント。
こいつらの中にあるのは自国の繁栄と名誉、ってとこか。
こんな事になるんなら単独行動の時間も国王さんにくっついて置けばよかった、と思って何気なく王様のほうを見た俺。
絶句した。
俺の数倍の女がくっついていた。そりゃあ鬱な気分にもなるだろう。俺の人数でも香水の匂いで酔いそうなんだから。今更ながらに欠陥が恨めしくなった。
女の醜い争い、とか言う単語を聞いた事があるが、こんなもんなんだろうか。事実、もし俺がいなければ取っ組み合いの喧嘩というかまあ口喧嘩なんだろうが、なっていたんだと思う。


そんなとき、俺は僅かにだが視線を感じた。視線をそちらに向ける。
・・・そこには、こちらを戸惑ったような目で見つめる黒く長い髪に手足の長い女がいた。



***

み・じ・か・い!!
でもアレなの、どうしても登場させておきたかったの、出夢を!出夢を!
…あ、作品みてたらわかると思いますが管理人はひといずが大好きです。
しっかし…こいつらは腐ってるの?腐ってないの?
とりあえず私の中では腐ってないことにしてます。
こいつら次第で私が腐った女子なのかそうじゃないか分かれますキリッ






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あきゅろす。
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