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戯言シリーズ・二次(中・長編)
戯言王国記2(ひといず)


「とりあえず、家族に仕事の事を言っておいた方がいいんじゃないかい?」
「げっ・・・」
「嫌なようならこちらから手紙を出すが・・・」
「いっ、いや、いいから!俺が自分で帰って言うから!まず俺の家、複雑なところにあるんで!」
「そうか、なら一度話に行った方がいい。」
「変なところで常識持ち出さなくてもいいじゃんけよ・・・」


***



「ただいま・・・」
「「「「(人識/人識くん)!?」」」」」

人識が家に帰ってきたことに驚愕する家族。
そのくらい、人識が自分から家に帰ってくることは珍しい。というか、無い。
いつもは双識に引きづられながらいやいや帰ってくるのに、だ。

「どうしたっちゃ?天変地異の前触れっちゃか?」
「人識くん、どうしたんですか?悪いものでも食べました?」
「珍しいものだな、家族がそろうのは。ふむ、悪くない」



そして一番感激している人は、

「人識!お前から家に帰ってきてくれるなんてお兄ちゃんは嬉しい限りだよ!さっそく今日はパーティーだ!私特製のオリジナルカレーを作ろう!」

一番感激している人の案は、

「「「「いや、それはいい」」」」

・・・全員一致で否決された。

「ってか人識くん髪切ったんですか?黒く染めてもいるみたいですし。白い髪結構気に入っているんじゃなかったんですか?」
「俺は元は黒かったんだけどな。髪の長さについては切ったわけじゃねぇよ、短く見えるようにうまく編みこんでるだけだ」
「それまたどうしてです?」

と、ここで軋識が一番の問題に戻る。

「その前にいいか人識、本当にどうしたっちゃ?こんなこと今までなかったっちゃろ?」
「大将が一番まともな反応だな。俺、しばらく・・・いや、数年くらいはこの家戻らないと思うわ」
「?いつものことっちゃろ?」
「いや、放浪でじゃなくて、仕事でなんだよ。仕事」

「「「「仕事ぉ?」」」」

「人識くんが、ですか?」
「・・・よく面接に受かったね、人識。その顔で(※刺青のこと)」
「零崎が公に仕事をできる日がきたか」

何気に全員酷い。

「いや、汀目性でだけどよ。・・・壱の国の王子の影武者なんだが・・・」
「は?・・・壱の国の!この国の!よりにもよって王家関係っちゃか!」

軋識が驚いて叫ぶ。
他の家族は黙り込んだ。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「危険だ。ばれたら即刻殺されるぞ」
「分かってるけどよ・・・いつまでもこんな森の奥で隠れ住んでても一緒だろ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「『零の国』のことはもうみんな忘れかけてることだしよ、大丈夫だって」
「・・・人々は忘れても、王家の人間がそう簡単に忘れるとは思えん。悪くない、とは言えない」



***

現在の『壱の国』は他の国に比べてかなり強大な国に入る。
それは昔、『壱の国』の隣に存在していた『零の国』を取り込んだから。
大きな国になったのは、『零の国』と戦争をして、『零の国』を滅ぼしたから。
『零の国』の王家の名字は『零崎』。かろうじて数人が生き残ったが、ほぼ全滅してしまった。
国王『零崎零識』、王妃『零崎零織』ほこの戦争で落命。
その二人の唯一の息子であった『零崎人識』の記録は≪落命≫でも≪生存≫でもなく≪行方不明≫だった。
この戦争の発端者は分かっておらず、そもそも両国、何故戦争を始めたのかさえ覚えていないという始末だった。
かろうじて残っている記録からは、
『零の国』側から、
『壱の国』側から、
『狐面の男』
『小さな女策師』
など、いろいろな噂が根拠もなく飛び交っているのだ。
しかし不明なことが多いことも問題だったが、この戦争でのダメージは計り知れず、王を失った結果、結局『零の国』は倒国。その国は『零の国』へ取り込まれ、今やこの戦争の事を記憶している者はもう少ない。

その後だ。この家族が、今はもう『壱の国』の領土である旧『零の国』の、戦火で灰と化した王宮跡地に木を植え、森を作り、暮らし始めたのは。


***

「人識、零の国の王子である自覚を持てとは絶対に言わんが、せめて身を守ることくらいしてくれ」
「そーですよぅ。いくら零崎が人殺しの技術に長けているとはいえ、危険ですよぅ?」
「人殺しの技術っていうな。武術って言っとけ、武術って」

実際、零の国の王家はかなり変わった制度を取っており、王家関係の者が必ず強いことから、周りの数各国から忌み嫌われていたのだ。

「あー・・・明るいニュースでもお伝えしましょうか?最近、新しい零崎が見つかりそうな気がするんですよ」
「いや、気がするだけだろ」
「じゃあこれで話すことは話しといたぜ。おやすみ」

「「「「おやすみなさい。人識(くん)」」」」

そして人識が眠った後、家族会議が開かれる。




そして、

「おはよー」
「おはよう、人識」
「おお・・・あれ?曲識のにーちゃんは?」
「請負人のところだよ、・・・羨ましい」

双識の心底羨ましそうな顔を無視して俺は聞いた。
いや、実際この話では王家関係しか詳しく知らないって設定なんで・・・。←

「?誰だ、そいつ?」
「知らないのかい!人類最強の請負人を!」
「あー、聞いたことあんな・・・でも何でそいつのところに?」
「・・・」
「人識くんはそういえば知りませんでしたねぇ・・・。」

黙っていた舞織がニヤニヤしながら話し出す。

「?」
「その方と曲識さん、お付き合いしてるんですよ
「・・・あのにーちゃんが?」
「そうなんです!何があったか気になりませんか?」
「お?知ってんのか?」
「いえいえ、知らないからこそ聞いているのですよ」
「いや、俺その話自体初めて知ったし」

と、ここで。

「お兄ちゃんは認めませんっっ!」

叫んで家から飛び出した双識。
勿論誰も追いかけない。

「で、愛娘をどこの馬の骨ともしれない男に渡すことになった父親のごとく。お兄ちゃんはその気話を持ち出すとあんな風になるんです」
「いや、素直に喜べよ・・・」
「そうは言ってもですね・・・。お兄ちゃんが家族を尋常じゃないくらい大切に思っているのは事実ですし、お兄ちゃんがあの赤い人に憧れていたらしい、というのも本当の頃らしいですし。いろいろと複雑なのでは?それに、あの人・・・」

舞織が少し黙り込む。
・・・ちょっと微笑みながら。

「何かあるのか?・・・何で笑ってるんだ」
「いえ、アレではどちらが男性側の立場なのか分かりませんからねぇ。曲識さんが幸せなら・・・と、早く割り切ってしまえばいいのに」
「何だ、三角関係みたいな感じか?」
「いいえ違いますよ?このカップルの話はここまでの予定です。これから三角関係に巻き込まれるのはですね・・・なんt「フガッ」
「いや、それ言っちゃダメだろ」
「うぐぐ・・・」
「んじゃ、行ってくるわ。もう帰るのはなさそうだし?じゃあな」
「なんだか死ぬみたいじゃないですかー!もう・・・。いってらっしゃい、です」

そう舞織が言う頃にはもう、人識の姿はどこにもなかった。

「女の子は恋愛トークが好きなものなのですよ、人識くん?待ってますからねー。人識くんが恋愛話を持ってくるのを、ふふっ」


***

今回はあまり王家とは関係なかったです。
ああ、言い忘れてましたが王様はオリジナル。
こんな大役、誰かにしてもらいたかったけど他に役割があったりなかったり。
あ、誰でもないあなたという事で←




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あきゅろす。
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