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戯言シリーズ・二次(短編)
互いを巣食う柵(薙舞)

※薙舞。暗いのか甘いのか…








「何がしたいんですか、あなたは」
「さあ、なんでしょうねぇ?」

うふふ、と目の前にいる彼女は笑った。
僕はそんな彼女を見上げていた。

そう、見上げていた。

今僕は、この和室には全く似合わないソファーの上で何をするでもなくゆったりと寝転んでいた。のに、突然僕の上に飛び乗るよく意味のわからない零崎。
そう、憎たらしくも僕の体に跨がったこのガキは零崎舞織。僕が片手を切り落とした最新で最後の零崎。
そんな彼女は自分の両手がないからか、彼女もまた何をするでもなく僕の上に乗っかったままだった。
静かな空間が誕生する。
まぁそんなもんぶっ壊すに決まってるが。
何が悲しくて彼女と意味のない空間を過ごさなきゃならないんだ。

「あつい、何しに来たんだクソガキ。僕の平穏な休日を壊す気か」
「何言っちゃってるんですか、薙真さんには言われたくないですねぇ。私の1日どころかこれから先の未来を全体的を壊したくせに。…1日位良いじゃないですか」

彼女の目がすっ、と細くなった。
まるで思い出すかのように。
まるで咎めるかのように。
兄の死の記憶に、浸るかのように。
見えない彼女の両手が、僕の首に添えられた気がした。

「…今さらどうしろってんだ、僕の命でも欲しいですか?そんなの、鬼らしくもない。まるで人じゃないですか」

こんな挑発ともとれる言葉をこんな圧倒的に彼女の方が有利な状態で言えるのは彼女が否定してくれるだろうという何の根拠もない賭。
しかし、僕は賭に勝ったらしい。

「それこそ今さらですよぅ?私はそれより、」

ここで一端言葉を切った彼女は今までより顔を少しこちらに向けて続きの言葉を綴(ツヅ)る。

「あなたの愛の方がいいですかねぇ、なーんて」

その言葉を遮るかのように腹筋だけで状態を起き上がらせ、顔をギリギリまで近付けて僕は言葉を返す。
彼女がいるのに、静かな空間なんて馬鹿馬鹿し過ぎる。似合わない。

「たかが両手首ぐらいで僕の愛なんてあげるわけねぇだろうが。釣り合わねぇよ馬鹿プリンセス。まぁ、」


大安売りだ、持ってけ泥棒。

そんな言葉は、繋いだ二人の口から聞こえてくることはなかった。
舞織の顔がふわりと微笑む。
和室独特の畳の香り漂う部屋の異質なソファーの上、そこには違和感を僅かに仄めかす気配を纏った二人が、ただ静かにお互いを想って戯れていた。




(今は亡きその両手で)

(私は貴方をここへ誘います)


(それに誘われる僕もまた)

(どうしようもなく焦がれているのでしょう)



互いを巣食う柵(シガラミ)







*****


15分クオリティごめんなさい。
薙舞も好きです。
にしても設定が自分でよく分からないのでその辺は割愛して読んでいただけたら幸いですー(・ω・`)
しかし初めての薙舞がこれって。
まぁいいか←




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