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戯言シリーズ・二次(短編)
友の悪戯(直僕)


※直僕。またいーちゃん女装してます。









「うにー。いーちゃん、似合うね!」
「できればもう一生着たくないと思ってたんだけどね・・・」

現在澄百合の制服を友に着させられてる僕。
そもそもは前に着た澄百合の制服を友にあげる事になったことから始まった。
既に持っているらしいが数は多い方が良いらしく、くれと頼まれたわけで。
僕としては家にあっても処分に困るだけだっったので渡りに船とばかりに即刻、譲り渡す事が決まったんだったが。

持ってきたところで「ぬー。これをいーちゃんが着たの?見たいみたいー!絶対似合うと思うよ、うんっ」と言ったことからこの地獄は始まった。
今日は凄く暑い日なんだから宅配にでもすれば良かった・・・。
後悔してももう遅い。

「友、もう脱いでも良いか?」
「えー、駄目なんだよ。最近いーちゃんの周りに女の子ばっかりだからちょっとしたお仕置きなんだね」
「うーん・・・」

それに対するお仕置きがこの程度なら軽いものだろう。これより酷いものもなんだし。
と、納得していたんだったが。

「うーん・・・。潤ちゃんか零崎くんか西東くんか兎吊木くんか・・・」
「何だその不吉な名前の数々!」
「うー?その姿を見せる姿を選んでるんだねー。選ばせてあげるよ、いーちゃん」
「・・・」

全員嫌だ。特に狐さんは絶対にご免だ。

潤さんなら何されるか分かったもんじゃないし。自分の鏡に見られる事とかそれもそれで耐えられない。
あの変態も嫌だし。
というかこいつ、僕の分かりやすいように兎吊木を苗字呼びしているあたり明確な嫌がらせだよな、これは。
黙っていたら玖渚が声を掛けてきた。

「みんな嫌?」
「まあ、そりゃあね・・・」
「じゃ、四人以外ならいいの?」
「・・・うん。頼む」

この四人以上に見られたくない人ってのは僕の中では思いつかなかった。

「うにっ!じゃあこの人で!」


***



「・・・だからって何で玖渚本社に来なきゃなんないんだよ。」

分かってる。友がこの姿の僕を見せることにした相手ってのは。
こんな所にまで自分の私情(お仕置き)を持ち込むとは思ってなかったのに、うわぁ・・・。
僕が向かっているのは玖渚上層階級の人の部屋。
もう誰だって分かるだろ?にしても友も何でこんな相手を選ぶんだ。こんなの見せたらついに僕は本当にヒューストンあたりに移住しなくちゃならない羽目になるかもしれないのに。
・・・まさかもう会いたくないとか?

とかなんとか自分で葛藤している間に目的の部屋の前まで来てしまっていた。
ちなみにここに来る途中でナンパされた数は数回。仕事ちゃんとしろよ。
どうしようどうしよう、こんな姿見られたら確実に変態の烙印を押されることになる。
と、ドアの前で彷徨っていたら・・・

スッ

ドアが開いた。

はい、そうでしたか。さすが玖渚。
個人の部屋にも自動ドアがついてましたか。
そうでしたかそうでしたか。
いかにも高級そうな木製のドアなのに自動ドアでしたか。

「どちらさまですか?」

直さん、いた!
・・・最後の望みとして出張とかないかなとか思ってたんだけどこの声は直さんだ。

「あ、あの・・・」

そーっと部屋の中に入る僕。
ちなみに直さんは部屋の奥に置かれた机にある書類から目を離さない。
簡単に言ってしまうとこっちを見ていない。気付いていない。

「どなたですか?川畑さんでしたら前に言っていた書類は右棚に置いてある青いファイルの後ろから七枚目に挟んでありますので持って行って下さって結構です。三木さんでしたら打ち合わせは二時からになったと橋本さんに伝えてもらえますか?八重さんこのカメラは使い終わったので持って帰って下さいね。八津木さんでしたらあの書類にはまだ目を通していないので少々お待ちください。竜王さんでしたらあの話はもう打ち切ったんですからお引き取りくださ・・・」
「・・・・・・」

何て記憶力だ。僕と比べてはいけないような気がする。

「反応が無いという事は新入社員の三井くんでしょうk・・・・・・いーくん?」

やっと気付かれました。

「ごめんなさいこんな姿を見せることになってしまってでもこの原因は友にあるんですけどでもこの行動の原因の原因は僕らしいので別に友にはどうこう言ってやらないで下さ・・・」

すっと立ち上がる直さん。
そのままつかつかと歩いてくる。さすが様になってるなぁ、・・・じゃなくて。

「あ、あの、見苦しいですよねすみまs」
「・・・後で高貴な私の高貴な妹に御礼を言っておかなければいけませんね」
「へ?」
「今日は仕事を休んでデ−トでもしましょうか」
「え、でも仕事は・・・?」
「高貴な私の高貴な恋人に勝る仕事などありません。それにせっかくこんな格好をしているのですから・・・」
「・・・・・・」

何これ恥ずかしい。
僕の十八番の戯言が口から出てこなくなったところで、直さんは僕が入ってきたドア・・・ではなく、隣の部屋に続くドアに手を掛けた。

「あの・・・?」
「こっちの部屋は外へと続いているのです」

さすが玖渚。ビルの十数階から外へと出られる技術があるのか。

「・・・似合ってますから、社内デートでもしますか?」
「理由になってませんよ」
「でもさっきも声を掛けられていましたからね・・・。よし、あそこにしましょう」
「・・・」

軽い嫉妬らしい。
いや、その前に。何で知ってるんだ?

「では行きましょうか。と、その前に」

そう言った後に机から持って来たのはカメラ。
「八重さんに後で御礼を言っておかなければいけませんね」
言った後から始まったのは、撮影ショー。
僕が恥ずかしさで動けないのをいいことにあらゆる方向からシャッターを切る音がする。今なら恥かしさで死ねると思うな、僕。
一通り撮り終わって向かったのは屋上。

「あの・・・どこへ?」
「南国の国、玖渚所有のプライベートビーチです」

つまり自家用ジェット機を使うつもりらしい。

「・・・・・・」

学校は当分休まなければいけないらしい。
溜息をつきながらも内心ではどこか心躍る自分を抑えながら、僕はジェット機に乗り込む。
足元で直さんを探す声は聞こえないフリをして。
これから数日の直さんは僕のものなのだから。


***


「宅配でーす」
「はい。えーっと・・・」

僕の前に広がるのは五つのダンボール。
部屋の中に持ち込んで開けてみると。

「いやあの直さん、気持ちは嬉しいんですが。いえ、複雑なのですが」

チャイナ服にメイド服、セーラー服から何からと、何やら恐ろしい事件の前兆になりそうなものばかり出てきた。


ピンポーン


え?

「ご主人様?入りますy・・・失礼しました」

きっと今入ってきた崩子ちゃんの目に映ったのはダンボールから女物の服や恥ずかしいものを取り出して物思いに耽っている哀れな青年の姿なのだろう。
崩子ちゃんの誤解を解くべく僕は家から飛び出した。
今日も京都の街は暑い日になりそうだ。


****

雑食ですから☆

もちろん零僕零を筆頭に志僕とかその他もろもろいくつかできます。
ただ腐っているものは描くのが難しいので少ないんです。
…ひといずは書きやすいっていうか慣れ過ぎてもうね((笑

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あきゅろす。
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