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戯言シリーズ・二次(短編)
あくまで、(ひといず)

※悪魔パロ・読むの頑張れー(*´∇`*)












「ぎゃはははっ!」

「お前は死んでも俺に付き纏うのかよ」

それなりに色々と落ち着いて定住地を決め、さてこれから何をしてゆっくり過ごそうかと思った矢先、これだ。

「そーでっす!人識くんの事を愛しすぎちゃって離れたくなくて?化けて出てきちゃいました!」
「化けて?あぁ、幽霊か」
「ぶー、違いますぅ」
「あ?でも死んだのにここに出て来てんじゃねーか」
「僕さー、幽霊じゃなくて」


悪魔、なんだよねー」



「は?」


****

出夢の話によると、今まで散々人を殺してきたので天国へいけるはずも無く、案の定地獄へ堕とされたらしい。
しかし何か知らんが地獄に落ちた奴には珍しく「愛」とやらを知っていたため閻魔様とやらに気に入られ、死神になるか悪魔になるか選ばせてもらえることになったらしい。
普通なら地獄で延々と苦しまなければ生けない運命にくらべりゃむちゃくちゃいい待遇。らしい。
誰だ、こいつに愛なんか教えて現世に来れるようにした奴。傍迷惑な奴だ。
生前人を殺しまくったんだから別にもういいということで悪魔になったらしい。
石凪の肩書きを使うのも嫌だった、っていうのも理由の一つ、らしい。

「で?お前は何をしに来たんだ?
「べっつにぃ〜?ただ悪魔は祓魔師に祓われないように人に悪さすれば良いだけだし」

最悪だ。

「大丈夫だって!人識にしか悪さしないので気付かれる心配はナッシングぅ♪」

魔類最悪だ。

「ってか、一ヶ月にこれだけ〜とかないし、僕の属性的にそんなに沢山しねぇよ。人識が望むなら毎日でもやっちゃいますけど!ぎゃはは!」
「ふぅん…」
「ま、見つからないように居候させてもらうぜぇ!」
「見つかる心配ないんじゃねぇのかよ!!」
「う〜ん、あいつらのサーチ能力すげぇから」
「もうさっさと祓われてしまえ…」
「ちなみに祓魔師はエクソシストって読んでも読まなくてもいいけどクロスオーバーじゃねーぞ」
「お前が悪魔の時点でそうじゃねぇだろ」


***


で。
なにが「見つかる心配はない」だ。
早々見つかりました。
それも、

「また騒ぎ…っつうか話の中心はお前かよ、零崎」

死色の真紅とか。
最強は祓魔師もやってんのかよ!?

「あたしは何でも有りな稀有な存在だぜ?そんくらい兼業してるっつうの」
「読心術か」

ここは俺の部屋じゃない。
たまたま出夢を置いて買い物に出掛けたのだが途中で最強に拉致られた。

「ったく、お前もいーたん並みに厄介ごとを抱え込むな」
「?俺にしか悪さしないとか言ってたが」
「・・・お前あいつの属性知ってたりするか?」
「あ?そんなもんあるのか?」

そういい返すと、最強は難しい顔をして黙り込んだ。

「多分それお前に悪さ、ってのを一回もしてねぇな」
「は?俺にしょっちゅう悪戯してくるぜ?」
「『悪魔として』の悪さの事だ」
「『悪魔として』?」

そうだ、と最強は頷いてから、俺に向き直った。

「おい、お前も祓魔師になっとけ」
「はぁ!?」
「どーせ、匂宮の悪魔の奴をあたしが『祓う』とか言ったら抵抗すんだろ?」
「…祓う気なのか?」

殺気が無意識に溢れ出す。
どうせ、ただでさえ衰えた俺の力では無駄だとは分かっていても、そう易々と祓わせたくはない。
何だかんだいって俺は出夢との生活を楽しんでいた。

・・・


「なあぜろっちー、言っとくけどさ、僕モノをすり抜けたり浮いたりは出来ねぇからな?」
「そういうモンなのか?闇に紛れたりするもんだと…」
「まあある程度特殊な能力はあるけどさ。そういうのを除けば頭に渦巻きの角が生えてる事と悪魔の尻尾がついた人間、見たいな感じだしぃ?」
「特殊能力除いたら普通の人間なのって当たり前じゃねぇのかよ!」
「ぎゃは、バレた?日の光にはちょっと弱いかなー…別に暗いほうが好き、ってぐらいなんだけどさー」

久しぶりの掛け合いは楽しかった。

「人識ー、ちゅー!」
「お前な…」
「ほれほれ、『悪さ』の一環ですぜ、一環♪」

昔と同じようなやり取りは楽しかった。

「不意打ちだぜ、油断しただろとっしー?」
「ちょ、料理してる途中に抱きつくな尻尾を絡ませてくるな舌を首筋に這わせるな!」
「愛情表現〜れろれろ〜」

なんというか、以前よりも増している気がした、いろんな物が。
だけど、それでも。

「ちょ、おま、本気で、おい!」

涙が出るほど、嬉しかったのだ。


そんな日常の1コマで。
ちょうど料理中のこと。
上記のような事があってその後。
揚げ物してるのに出夢並みの力でぐっと抑えられたら危なすぎるだろ?
いや、決して出夢の行動に何も感じているわけじゃあねぇんだが。
って何言ってるんだ、俺は。

「なんちゃってー、ぎゃはは!」

そんな事を言って笑いながら離れる出夢。
俺が揚げ物をしている事に気が付いたんだろうか。
心なしか顔色が悪いように見えた。この反応になんとなく違和感を感じたのは秘密だ。
これが悪魔になったからなのか、ここに来てから調子が悪くなったのか分からないが、…不安だ。

「おい、顔色悪いぞ、大丈夫か?」
「そうか?最初から変わってねぇと思うけど。あ、もう外暗くなったな、ちょっと出掛けるぜ」
「…おう、いってらっしゃい」

最近出かけることが多くなったな、とは思いながら見送る。
出掛けた先で『悪さ』とやらをしてなけりゃいいけれど。まあここは結構田舎で近くに林や広場が多くあったり人が少なかったりするのでそんな心配はあまりしなくていいだろうが…。
ただ最近元気がなくなってきているのは気になるのだ。
悪魔は俺の食べるような物を食べないらしい。
何を食べているのか知らないが、俺は出夢の食事風景を見た頃がないのでもしかしたらグロデスクな蟲なんかを食べているんだろうかとか勝手に予想している事は秘密だ。
そんなことを思い出しながら少なくなった食料を補いに買い物に来た。今の状況ココな。

・・・

「お前のトコに匂宮の悪魔が来てからどんくらいだ?」

唐突に最強が俺に問い掛ける。

「んーっと、一ヶ月…くらいか?」

いつの間にそのくらい経ったんだろうか。
時が立つのは早いもんだ。
けれど、最強はそれを聞いて顔色を変えた。

「一ヶ月!?……お前、悪魔化してないよな?」
「おう、してねぇけど…」

なんだか雲行きが怪しくなってきたのでおずおず答える。
嫌な予感がする。

「いいか、よく聞けよ零崎くん。普通悪魔から『悪魔として』の『悪さ』をされた場合、されたほうは死ぬか、悪魔の意思によっては、まあほとんどないんだが悪魔化…つまり悪魔になるか、のどちらかだ。まあ例外があるっちゃあるんだが」
「はぁ!?」
「つまり、一ヶ月もの間匂宮の悪魔は『悪魔』としての『悪さ』をしていない。悪魔にとっての『悪さ』は食事だ。いいか、この意味が分かるか?他から栄養を補っているかもしれないが、少なくともその匂宮の悪魔はココ一ヶ月まともに『食事』をしていない状態だ」
「…なん、だと?」
「お前を悪魔にしたくねぇんだろうよ」

一ヶ月も食事をとっていない?
なら俺の感じた出夢の調子が悪いのは唯の勘ではなかったということだ。
むしろそれよりもひどいだろう。
俺は走ろうとした…が、最強に引き止められた。

「お前、何するつもりだ!?」
「決まってんだろ!出夢の奴にその悪魔としての『悪さ』をされにだよ!このままじゃ死ぬんじゃねぇのか!?」
「ああ死ぬさ!だけどお前が『悪さ』をされて悪魔化したところであたしは匂宮とお前、どちらの悪魔も祓わなきゃいけなくなるんだぜ、零崎。逃げ切れると思ってんのか?」
「…じゃあ、どうしろってんだよ!このまま衰弱していく出夢を黙って見てろってのか!」
「落ち着けよ、零崎。例外があるって言っただろ」
「………ああ、言ってたな」
「それをすれば良い」
「それ、って何だよ。」
「…はぁ。…お前自身が祓魔師になって悪魔を『遣い魔』にすればいい。そうすれば『世話』として『悪さ』を祓魔師が『コントロール』して…まあ監視、みたいなモノか。『悪さ』をさせる、っていっちゃおかしいが・・そんな風に出来るんだよ。まあ要約して例えてみるなら、主人の監視の元で適度に危ない食事、って感じだな」
「そんな簡単になれるものなのかよ、祓魔師って!?もう一ヶ月だぞ!そんな悠長に待ってられるのか!?」
「お前次第だな。悪魔が見えるという事は素質があるのさ、お前には。しかも話も出来るわ、じゃれあうことも出来るわ、並大抵の『触れ』では悪魔にならないほどの耐性を得てもいるわ…ときたもんだ。もうその匂宮の悪魔とじゃれあってる時点で下準備としての『慣れ』とかにゃあ時間を使わなくていいのさ」
「つまり?」
「あとは知識を詰め込め。どんな悪魔がいるか、その悪魔の祓魔方法、率先しなくていいが悪魔と人間…まあ祓魔師のことでもあるんだが、その二立場の歴史、その他もろもろ。あたしの権限で知識と祓魔師方法、それと悪魔の種類を覚えるだけで『遣い魔』を得られるレベルにはしてやる。のちのちそこに実力が追いつけるくらい、あたしの特別扱いに泥を塗らないくらい、そのくらいになるってんなら、手を貸してやる」
「…分かった。その話のったぜ最強」
「予想通りだな。…じゃあ行くぜ、零崎くん?」
「へ?」

目の前がブラックアウト。何が起きたんだろうか。
それから次に目を覚ました時に澄百合の服を着させられていた事と何か関係あるんだろうか。
何が「あー、やっぱりそれなりに耐性があると記憶飛ばねぇか」、だ!
こいつ俺を本当に祓魔師にする気があるんだろうかとか…最初の頃は思っていたんだが。つれてこられた先は悪魔についてを学ぶための学校の、その更に奥、テーブルと椅子、その他にベッドしかない、ビジネスホテルも真っ青な簡素な部屋。両側というか全ての壁には本棚が設置されていて、見ていて圧倒されそうなほどの厚さと量の本で埋め尽くされている。そんな部屋での勉強の開始。
正直、マジでやばかった。
約1.5週間ほぼ軟禁状態で一日約19時間の悪魔についての勉強。
毎日睡眠は約4時間。残り1時間は食事着替えトイレなどのその他だ。
それでも俺は中学とかではそこそこ成績がよかったこともあり理解は標準より早かったらしく、それでもこの速さは驚異的なスピードらしかった。
それから0.5週間は実践。少しだけ広い場所に移動して、結界を少し壊して悪魔を招き入れる。
得た知識を駆使しながらの実戦。まずはほぼ害のない超低級悪魔で祓魔方法や知識をちゃんと使用出来るかの確認。次に攻撃は出来るが比較的安全な低級悪魔。元から戦い方を知っていた俺にとっては元のスタイルに祓魔の術を組み込ませて戦えばいいだけなので楽なもんだ。普通はココに到達するまでにそれなりに時間が掛かるらしいが、下準備の条件がほぼ揃っていたため俺はここまで総合で約1.7週間だ。そしてその後、0.3時間が問題だった。
中級悪魔。
今まで致死術式や致死節、祓魔術など一発で仕留めることの出来ていた低級悪魔とは違い、数十発は当たり前、俺自身が何度か追い詰められる事もあった。低級悪魔が普通の世界の奴なら中級悪魔は玉藻や石凪砥石レベル、高級悪魔になると中の上ぐらいで出夢、特上の特上で死色の真紅レベル…って最強自身が豪語していた。いや勝てねぇだろそんなレベル。
聞いて分かるように低級と中級の差は結構大きく、その中でも上の下、とかで何段階かに分かれているようだった。

そして二週間後。

「おい、零崎くん?…っと、逞しくなって、っていうか痩せた?」
「そりゃあんな生活二週間続けりゃそれなりにはな」
「そうかい。はいはい。んで、資格?っつうか階級はもう設定して祓魔師として登録しておいてやったから後は匂宮の悪魔と契約するだけだな。やり方は覚えてるんだろうな?」
「そこを一番気合いれてやったぜ?…でもよ、」
「死なせたくなけりゃ説得しろよ。殺す気で」
「…洒落にもならねぇな」

俺のセリフを遮って最強が断言した。今は学校最深部から外に出て、今俺の家に帰っているところだ。まあ言っちまうと最強の車の中という事なのだが。
頼むから出夢がこの二週間であれ以上衰弱していない事を祈りたい。
普通悪魔との『遣い魔』としての『契約』の際には、それを一度でも唱えれば必ず自分が死んでしまう、生涯その悪魔自身のみが知る『即死節』というものを教えてもらう必要がある。これは『致死節』よりも遥かに強力で絶対的な効力をもつ節だ。なかなか死ぬことのない超上級悪魔共に対する切り札。ただし、個体ごとひ即死節は違うしそれを簡単に教える訳もないので普通は徹底的に攻撃するしかないのだが。
たあ言ってみれば祓魔師の方は従属悪魔が手に入ることで万々歳だが、悪魔の方は自分の命を祓魔師がいつでも消すことが出来るというリスクを負うことになるのだ。
そんなものを悪魔が簡単に人間、それも祓魔師に教えるはずもないので『遣い魔』を従えている祓魔師はかなり少ない…というか今現在数えるほどしかいないらしい。
しかも『遣い魔』を持つ事が出来れば階級が上がるのは間違いなことなのだが、これまで幾人もの祓魔師が『遣い魔』の契約をしようとして命を落としているらしい。
俺だって今からやろうとしていることは一歩間違えて出夢の気に障ったとしたら、俺は死ぬかもしれないのだ。
それでも、俺は。


「着いたぜ、お前のマンション。んじゃ頑張れよ」



そして俺は、自分の部屋の前に降り立つ。


***


俺は約二週間ぶりに自分の部屋の扉を開けた。
てっきり青い顔の出夢が出てくるかと思ったのだが、予想に反して家の中は静まり返っている。
むしろ不気味なくらいだ。
いくつか部屋を覗いたが物音が全くと言っていいほどしない。
嫌な予感が体中を駆け巡り、思わず俺は走り出した。
荒々しく各部屋のドアを開けて出夢がいないか確認する。
最後の部屋の扉。
どうかいますように、寝ているだけでありますように、そんな事を願いながら開けたドアの先。
よく俺たちが昼間だべっているリビングのソファの上。
その上に出夢がいた。寝転んでいるのが分かる。
幾分かほっとして出夢に近付いた、のだが。
思わぬ光景に絶句する。


出夢が意識を失っているのが嫌でも分かった。
以前見たときよりも顔色が悪いのがはっきりと分かる。
痩せこけた顔。元から細い体が更に細くなっている。
手足のアンバランスさがもっと強調されていた。
そして最後に、
悪魔が死にかけの時に集まるという黒い小さな低級悪魔の中の下の下の位の悪魔。
そんな小さな悪魔が数十匹、ブンブンと出夢の周りを飛び交っていた。


状況に動揺してもこの二週間鍛えられた体は瞬時に反応する。
『致死節』を数言呟いて低級悪魔を祓う。名前なんてどうでも良くて忘れた。
出夢に走りよる。

「おい、出夢!出夢、生きてるか!…生きては、…いるな。良かった」

悪魔にもある脈拍を測って生きている事だけは確認する。
でも、これは。



俺の詰め込んだ知識は残酷な結果を導き出す。

「即座に『食事』をさせなければ彼女は死ぬ」。

だけど。

「悪魔はその系統によって食事方法が違う」。




俺は、出夢の悪魔系統を知らない。





***





…とまあこんな風に絶望しかけたのだが、バッドエンドを嫌う死色の真紅はちゃんと手を打ってくれていた。
このときばかりは真面目に真紅に感謝である。


俺に電話が掛かってきた。
出夢の悪魔系統を知らなくて彼女自身からしか聞けないと思っていた挙句、この結果だったのでパニックを起こしていたのだが、反射的に電話に出た。
さきほど無理矢理登録された電話番号と真紅から連絡が入ったときだけに流れるように設定されたメロディ。そのメロディが流れた。
否、これは出なければ契約以前に俺の命が危うくなりそうだし。


『もしもし?零崎くん?匂宮はどうよ?もしかしたらもう死にかけてるんじゃないかと思ってよ。最悪死んでたか?』
「不吉なこというんじゃねーよ。死にかけだ。んで、…こいつの系統が分からねぇんだけど」
『ああ、多分分からねぇだろうと思ってよ。本部の方に連絡して確認してもらった』
「…!分かったのか!?」

希望が見えてきた。

『分かったぜ。しっかし、零崎くんの愛が試される結果だぜ、これ?』
「はぁ?」
『ま、聞いて絶句すんなよ、』
「おお…」
『その匂宮の系統はな、』


















『淫魔系、だ』


















「え、」















****



続き?
私が4年後に18歳になって、そのときに一人でもこの小説の事を覚えてくれていたならば、
書きましょう。ないだろうけど。
これ完全に自分の中でだけ書いたし所々説明も抜けてるので分かりにくい所があるかもしれません、すいません。完全に私得ですからまあいいかな。
裏設定で潤さんの『遣い魔』は曲識さんでした。関係無いけど。
まあ『淫魔系』の説明からはRでいいかな、って。
人識が出夢が居候し始めてから感じていた違和感は、生前は積極的だった「そういうこと」に出夢が積極的ではないように感じられたからですね、はい。





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