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戯言シリーズ・二次(短編)
俺の気も知らないで、何て言えるはずもなく(人→出→僕友)

※人→出→僕友です。



理澄が郵便受けから郵便物を取りに外へ行って十分足らずで帰ってきた。
何をしてたんだ、また転んだのか、理澄。という言葉なんて聞く隙も無く、僕は理澄の次の言葉に遮られた。

「兄貴っ!おにーさんから手紙なんだよ!何か豪華なシールがついてるんだけど」

「ふーん、めっずらしぃなー…え、」

理澄に渡されてドキドキしながら封を開けた封筒。
おにーさんと青い髪の女性が写された写真のプリントも同封されていた。


内容は、……『結婚する事になりました』……?



「あ、…」

「そっかー、おにーさん結婚するんだねっ!勿論出席でいいよね、兄貴っ!」

「あー、…僕はいいや、パスで」

「えー、何で?」

「ちょっと今調子悪いんだ、回復したらいいんだけど」

「ふーん…じゃあ保留でいい?」

「ああ、そう言っといてくれ。…出かけてくる」

「了解なんだよ!いってらっしゃいなんだね、兄貴っ!」


パタン。

閉められたドアの音をきっかけにしたかのように視界が滲む。

僕の初恋が終わった瞬間だった。


***


「知ってたんだ、おにーさんに好きな人がいることなんて」

「分かってたんだ、この思いが叶う筈無いってことなんて、ぎゃは」

「だってそうだろ、伝える気さえこれっぽっちもなかったんだから」

「最初から理解してたはずなのにな。何なんだよ、この虚無感というか脱力感というか…涙とか」

一番最初に関わった『表世界』の人間のはずだった。
自分の抱いていた表世界のイメージとは随分違っていて、特殊で。
そしてその中でも異常で異質で、異形の人間。
こいつなら自分とでも付き合っていけるのではないかとか、そんな甘い期待を抱いた。
体の骨を何本も折ったっていうような奴に助けとして情報を求めたり、一緒に戦うことを受け入れてくれたり。
こんな風にされてそんなことを忘れてるはずも無いから、そういうのも知っていて受け入れたんだろうと思うと彼自身が理解できなかった。
もしかしたら自分はそこに惹かれたんだろうか。
そんなの自分が一番分からないけど。


「ふぅん…で、何でそういうのを俺に全部話していくんだよ、お前は」

こいつは零崎人識。
僕の古い友人。元殺人鬼で、今は力を失った。
まあ力を失ったのは僕もなんだけど。

「ここら辺の事情を知ってんのってとっしーだけだし、とっしー位にしか話せないもんな、ぎゃはは。」

ここは人識の家。僕はここによく入り浸って愚痴を零したりご飯を食べたり…。
あれ、来る時間とかで言うと第二の家みたいになってる気がする。

「で、結局は欠陥の結婚式に行くのか?行かねぇのか?」

人識からの問い。
答えはもう決まってる。

「行けねぇよ、僕は。行ったとしても喜べないから申し訳ねぇよ…」

「いっつも俺に迷惑かけてるお前から『申し訳ない』とはな」

人識の口からちょっと皮肉めいた言葉が漏れる。

「うっせーな、好きな人なんだからいいだろ!…好きだった人、になっちゃったか」

「そうだな。」



(ところでお前、あいつと顔が同じ俺と付き合う気はないか?)

(なんて、言えるわけねぇよな)


「ありがとう」

「別に…」


全ての出夢の言葉が、俺の心を抉っていく。




****

こんなのが一番最初のひといずのイメージでした。
初恋がいーちゃんでそっくりな人識に惹かれていきます、みたいな。
だけど考えてみれば時系列的におかしいし原作総無視だし(笑)
ひといず好きな人はとりあえず出夢の独白のところでニヤニヤしてください。
もう一回戻って読んで、ニヤニヤしてください。
僕出派の人はそのまま流し読みしてください。
書いてる本人がむちゃくちゃニヤニヤしました、ええ。

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