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小説
ぱずけん 終

「本当にありがとうございました」

「いえ、たまたま見つけただけですから」

 目の前の女の子は、深々と頭を下げて感謝の意を示している。まあ、それもそうだろう。

 ダイヤのネックレスが戻ってきたのだから。

 そう、僕とまいすさんが暗号を解き辿り着いた先、冷蔵室で待ち構えていたのは、
犯人ではなく、17カラットのダイヤがうめこまれたペンダントだったのだ。

 そして、そこで一悶着あった後、最終的に僕が落とし主に返すことになった。

 どうせなら一緒に渡しに行こうと誘ってはみたのだが、まいすさんはあっさり断った。
 
 彼女は、暗号を解いた先に何かがあった、つまり、あの紙が暗号であったことが証明出来ただけで満足だったのだろうと思う。

 結局、暗号を作った犯人の目的は分からずじまいではあるが、彼女が満足しているのだ。
僕が考えるべき問題ではないだろう。

「そんなわけなので、パズル研究会の会長さんにもお礼を言ってあげてくれますか」
 
 事情を話すと、落とし主の女の子はにっこり笑って頷いた。

「ええ、もちろん心得ております。後できちんとお礼させて頂きますわ」
 
 その言葉を聞き、僕は帰ることにした。
 
 今日は、朝から働きすぎた。泥のように眠るとしよう。
いや、その前に携帯電話の中に入っているまいすさんのコスプレ写真をパソコンに移さなくては。
 
 可愛らしいホームズに思いを馳せ、僕はその場を後にした。

 

一悶着



「寒いねっ」

「まあ、冷蔵庫の中に入っているんですから」

「お、中を見るのに足台の要りそうな棚発見!」

「って、聞いてませんね」

「ちょっとイス取ってー」

「はい、どうぞ」

「ありがと。たぶんこの辺に……あった! って、ダイヤじゃん!」

「まじですか! ちょ、ポケットに入れようとしてますけど、それどうするつもりですか!?」

「も、勿論、落とし主に返しますよ?」

「本当ですか? というかまいすさん、落とし主のこと知ってますか」

「当たり前だよ! あの、ほら、私の妹だから!」

「はい、没収。これは僕が責任を持って返しておきますね」

「うぅ、信じてないしぃ」
 


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あきゅろす。
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