あなたに恋していいですか? * ある日の昼休み、僕は図書当番のため図書室にいた。 相変わらず図書室は静かだ。あちこちから聞こえてくる紙をめくる音もここでは心地よく聞こえる。 そして僕は持っていた本をパタンと閉じた。 仕事が暇な間読んでいたが薄かったためか、もう読み終わってしまった。 なので僕は他の本を探しに立ち上がった。 いろいろ棚を探し回っていたら、ふいに知っている顔を見つけた。 「監督?」 その僕の呟きを監督は拾ったらしく、ふっとこちらに視線を移した。 「黒子くんじゃない。委員会?」 「はい。監督はなにを…」 監督が図書室なんて珍しいなんて思った。 いや、思ってしまった。 それが間違いだと気づくのに時間はそうかからなかった。 「…あたしに図書室なんて似合わないって言いたそうな顔ねぇ。」 びくっと僕の肩が揺れた。 「いえ、そういうわけでは…」 「なんだって?」 監督は笑顔ではいるが、笑っていない。僕の背中から汗がすーっと流れた。 「くーろーこーくん?」 語尾にハートでもついていそうだが、監督から出ているオーラによって恐さが倍増してしまっている。 僕の顔はきっと真っ青だろう。 反射的に一歩下がるが、それを監督は許してくれず肩をがしっと捕まれた。 「さぁー、きょうのメニュー何倍がいい?」 この様子だとかなりきついメニューになりそうだ。考えただけでも汗が止まらなかった。 「いや、違っ」 「リコちゃーん。」 ものすごくいいタイミングで僕らの今の雰囲気とはまるで正反対の、柔らかな声が僕の声を遮った。 その声の主は通路からひょこっと顔を出した。 その顔を見た瞬間胸が掴まれるような感覚を覚えた。 「凛っ。」 その人物とは凛さんだった。 [戻る] |