『糸の切れたマリオネット』
4
「あんた何処から…」
恐ろしいことに気づいて、夏にも関わらず寒気に鳥肌がたった。
目は逸らさないままに一歩後ずさる。
男は微かに鼻で笑った。
「その上に鈍い。まったく理解しかねる」
見定めるように細く眇る瞳は温度が無く、意図のはかれない言葉が更なる混乱を招く。
とても洗練された容姿なのに、男から発せられるものは全て冷たい印象を受けた。その無機質さに胸がざわめき、どうも落ち着かない。
時間にして十数秒だろうが、対峙している間がとても長く感じた。向こうが少し身動きをしたのを機に無意識につめていた息を吐き出す。
「時間の無駄だから簡潔に話す。0017を回収に来た。大人しく渡してもらおうか」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!