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『糸の切れたマリオネット』






「……………」





深い、アイスブルーの瞳。
俺はこの色を知っている気がする。
魅入られるような美しさ。しかし、それを牽制するような、冷ややかで鋭い眼差し。







違う。




イオはこんなふうに俺を見たりは……












「解らないな」


「……え?」


「お前のような何の益もない人間に固執する理由が、理解できない」

「な…っ、」

目の前の男は、その綺麗な顔を皮肉げに歪めて俺を見下すように言葉を吐き捨てた。
いきなりのことで頭がフリーズしかけていたけれど、あまりの言いようにそんな戸惑いは一瞬で消えた。

「なんなんだよいきなり現れたと思ったらその台詞…!だいたいここは俺の部屋のベランダで、何勝手に入って……」










そうだ。



いつ、現れた?


衝撃的な事実に、驚きのあまり言葉が詰まる。
このアパートのベランダは一続きになってはいるが、部屋ごとに仕切られていて隣室からの侵入は難しい…というより不可能だ。外部から来るにせよ、ここは二階だ。そう簡単に入って来れるわけ無いじゃないか。








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