『糸の切れたマリオネット』
接触と余波。
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…今日はなんだか疲れた。
長時間無遠慮な視線を受けていたせいで、遠出をした疲れとはまた違った気疲れで、帰宅する頃にはもうぐったりだった。
海岸から繋いでいた手。バス停に着いてもそれは離されることはなく、俺が耐え切れず全力疾走で走り出すまでそのままだった。バスの中でも好奇の目を散々注がれ続けいたたまれなかったのだ。
本人に悪気はない訳だから強くも言えないし、イオの無邪気加減にもさすがに困ったものだ。
日中のことを思い出して軽い羞恥に顔が火照る。
「夜風にでもあたるか…」
イオはシャワー中のため今は部屋にひとり。このままじゃ悶々と考えてしまいそうだし、少し涼しい空気にでもあたって頭を冷やしたい。
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