『糸の切れたマリオネット』
6
横顔をじっと見つめていると、イオが振り向いてにこっと笑う。そして、左手を差し出してきた。
「え?」
「だめ?」
突然の変化に面食らう。先程までのごちゃごちゃした思考も吹っ飛ぶくらい、一気に呆けた。
どうやらひどくお気に召したらしい。
「…イオの中での“手繋ぎ”の概念てどんなよ」
「んー、“親愛”かな」
まあ…悪くないか。
人もいないし、ちょっとだけならと右手を差し出して軽く握る。嬉しそうにされると悪い気はしない。
そのまま取り留めない会話をしながらバス停へゆっくり歩き、俺達は帰路へついた。
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