『糸の切れたﾏﾘｵﾈｯﾄ』
５
俺が一人でぶつぶつ言いながら考えていると、突然持っていたスプーンを攫われた。
驚いて顔をあげた先には、プリンを掬ったスプーンを俺の口許に寄せるイオがいた。
「びっくりした…」
「ごめんごめん。でも、もう何分もそうやって小難しい顔をして、…悩み事？」
そう言いつつもスプーンを差し出すから、とりあえずそのプリンをぱくりと食(は)む。程よい甘さが口内へと広がった。
「あ、ちょっと感動。食べてくれた」
「へ？ あ…」
イオの自然な動作とプリンの甘い香りに誘われて、つい流されてしまったが…これはかなり恥ずかしい。
なんだか頬がほてった気がする。
「雛鳥に餌付けしてる気分」
「イオ〜…っ」
悪乗りするイオに抗議の視線を送ると、彼はまだちょっと笑ってごめんと言った。まったく…。
でも、たまに見せるこんな一面も結構好きだったりする。
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