『糸の切れたﾏﾘｵﾈｯﾄ』
２
シンプルなデザインのシャツに、細身のパンツ。着回しができるよう、他にも使い勝手のいいものを独断と偏見で何着か。
「うん。大丈夫そうかな？」
俺の好みも入っているけれど、落ち着いた色合いと大人っぽいデザインの服は、イオにとても似合っていた。我ながらいいチョイス。素敵なお兄さんって感じだ。でも俺には到底着こなせないだろうなと思うと、ちょっと悔しい。
「真紀…？これ……」
俺が一人で満足していると、少し戸惑ったようにイオは眉をひそめていた。
「あ、ごめんごめん。これ、イオに買ってきたんだ。あった方がいいだろ？ずっとこんなの着せていられないし…」
イオは今、俺のジャージを着ている。イオが穿いていた黒のスラックスは洗濯してしまったから、俺のものを渡したんだけど…さすがにボトムのサイズは合わないらしく、仕方なくジャージを穿いてもらったのだ。
「サイズは大丈夫だと思うよ。朝確認したから。本当は連れて行って試着しながら選べたらよかったんだけど…イオ、迂闊に外出れないだろ？」
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