『糸の切れたマリオネット』
君とこれから。
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週初めの月曜日。
今日は講義が午前中で終わりだったが、ばたばたしていたら帰宅が夕方になってしまった。
視認できる距離に、俺が住むアパート。
部屋の窓からは明かりが見え、それは彼の存在を示している。
「ただいまー」
鍵を開けることなく扉を開閉し、中にいるだろう相手に向かって己の帰宅を告げた。
すると、予想通り返事がかえってくる。
「おかえり」
キッチンから、エプロンを身につけたイオがひょっこりと顔を出す。
笑顔で迎えてくれる人がいるっていいなぁ、なんてしみじみ感じた。
部屋に入るなりたくさんの紙袋をドサッと置く。そんな俺に、イオは不思議そうな顔をした。
「すごい荷物だね。それ何?」
「えーっとね…。ちょっとイオ、こっち来て」
「ん?」
そう言うだけで手招きする俺の元へ、首を傾げながらもイオは来てくれる。
ガサゴソと紙袋から中の物を取り出すと、俺はそれをイオの体にあてがった。
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