『糸の切れたマリオネット』
3
鎖骨の下、左胸の上の方に、バーコードみたいなものと英数字の羅列が黒で刻まれていた。よく見ると、その一部分はイオが言っていた製造コードのようだった。
「ここ、触ってみて」
そう言うなり、イオは俺の手を自分の臍あたりへと誘(いざな)う。
言われるがままに俺はその体に触れた。
「?……―――!!」
きめ細かな、しかし人間のものとは明らかに異なる質感。触れた部分から横に指をスライドさせると、本来なら存在しない僅かな段差を感じた。
「よく見ないとわからないけど、ここは開閉できるようになっているんだよ。メンテナンス時に利用される。他にも何ヵ所かあるね」
そう言って、イオは他の窪みも触らせてくれた。
「ここ…、うなじ部分は充電用かな。コードを伸ばして接続すれば、家庭用プラグででもできるんだよ。便利にできてるでしょ?」
そう言って笑うイオはなんだか自嘲的で…とても、寂しそうに見える。
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