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『糸の切れたマリオネット』


鎖骨の下、左胸の上の方に、バーコードみたいなものと英数字の羅列が黒で刻まれていた。よく見ると、その一部分はイオが言っていた製造コードのようだった。

「ここ、触ってみて」

そう言うなり、イオは俺の手を自分の臍あたりへと誘(いざな)う。
言われるがままに俺はその体に触れた。


「?……―――!!」


きめ細かな、しかし人間のものとは明らかに異なる質感。触れた部分から横に指をスライドさせると、本来なら存在しない僅かな段差を感じた。

「よく見ないとわからないけど、ここは開閉できるようになっているんだよ。メンテナンス時に利用される。他にも何ヵ所かあるね」

そう言って、イオは他の窪みも触らせてくれた。

「ここ…、うなじ部分は充電用かな。コードを伸ばして接続すれば、家庭用プラグででもできるんだよ。便利にできてるでしょ?」

そう言って笑うイオはなんだか自嘲的で…とても、寂しそうに見える。





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あきゅろす。
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