『糸の切れたマリオネット』
白いシャツとしゃぼん玉。
洗い物を終えてからしばらくイオと談笑しているうちに、時計はもう正午を回ろうとしていた。さすがにそろそろ溜め込んでいた洗濯物に取り掛かるとする。
いろいろとやってくれたイオだったけど、洗濯をするのは遠慮してくれたらしい。さすがに下着とかまで洗われるのは恥ずかしかったから、イオの気遣いは有り難かった。
「今日はどこかに行くの?」
脱衣所の洗濯機にシャツやら何やらを放り込んでいると、後ろから声をかけられた。
「今日は日曜日だから学校は休みだよ。あ、イオも洗濯物出して!」
「え?」
俺の言葉にぎょっとしたように一歩後退したイオを見て不思議に思う。
「昨日猫に引っ掻かれた時の血、シャツについてる。だいぶ経っちゃってるからもう落ちないかもしれないけど、一応洗った方がいいよ。あ、一緒でもいいならだけど…?」
「かまわない…けど、」
そう言いつつも、イオはシャツをキュっと握る。
「服なら貸すから。俺のでも着れると思うし。…たぶん」
イオは俺よりも背は高いけど、細身だから少しラフなものなら着れるだろう。確か新品のTシャツがあったはずだ。
「はい、これ」
まだシャツを握っているイオに、クローゼットから発掘した新品のTシャツを手渡す。
イオは戸惑いつつもTシャツを受け取った。
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