『糸の切れたマリオネット』
5
* * * * *
暫く凝視していると、イオは苦笑しつつ振り向いた。
「そんなに見られると、ちょっと恥ずかしいんだけど」
「え。あっ、ごめん!」
気づかれてたのかー…!
絶対気づいていないと思っていたから、遠慮なくじろじろ見てしまった…。
イオって実は後ろにも目がついていたりするんじゃないのか。
俺がどう言い繕うか悩んでいると、イオは優しくクスリと笑う。
「ご飯できたから、食べようか」
あまり大きいとは言えないテーブルの上には、朝食が並べられていた。
ご飯に味噌汁、卵焼き、焼き魚、和え物にお浸し。まさに日本の朝ご飯といった数々に俺は感動した。
寝起きでも食べられるような胃に優しいあっさり系だけど、栄養バランスも申し分ない。こんなにまともなご飯、久しぶりだ。
「悪いとは思ったんだけど、冷蔵庫の中身を拝借させてもらった…まずかったかな」
「ううん、そんなことないっ!敢えて、こんな美味しそうなご飯作ってもらえてすごい嬉しいし!…でも、なんで一人分?」
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