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『糸の切れたマリオネット』


イオがいるキッチンを抜け、玄関へ続く短い廊下にある二つのドアの内、手前のドアを開ける。そこには脱衣所を兼ねた洗面所があり、扉を隔ててユニットバスがある。

蛇口を捻り、冷水で顔を洗った。少し冷たいくらいが頭が冴えて調度いい。


「……夢じゃなかったんだ」

鏡を見ると、我ながらかなり情けない顔が写っている。
昨夜は突然突き付けられた現実に混乱していて、まともに頭が働いていなかった。しかし一晩経ち、冷静に考えてみると、自分はとんでもない選択をしたと後悔が押し寄せる。

「はぁ………」

幸福が逃げるんじゃないかってくらい盛大なため息が出た。

しかし、もう後には引けない。
今度はそんな雑念を消し去るように、頭から水を被った。






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あきゅろす。
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