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『糸の切れたマリオネット』



「いや……。それよりあんた、名前は?」

「I.O.0017−M.AI」

…それは名前か?

「んー…、そういうんじゃなくて、俺みたいな名前とかないの?」

「………ない」

男は少し陰りのある表情で答えた。
ないなら仕方ないが、これではどうも呼びづらい。

「I.O.0017−M.AI…I.O……」

このアルファベットと数字の羅列は何か意味があるのだろうが、俺にはさっぱりわからない。
とりあえず呼びやすい名前が欲しい。ずっと「あんた」呼ばわりするわけにもいかないし。



「『イオ』は?」

「イオ?」

「うん。IOだから、イオ」

少々安直すぎる気もしたが、男は――イオは笑顔で頷いた。










昔から、犬や猫を拾ってきては母親に叱られていた。あの瞳に見つめられるとどうも弱い。
しかし、責任も持てないのに安易に手を差し延べることは更に残酷だ。
拾って帰っては元の場所に戻してきなさいと言われ、再び捨てるのがおちだった。


俺はつくづく甘い奴だとは思っていたが…母さん、俺、人生最大の拾い物をしました。




この日から、アンドロイドと人間の不思議な共同生活が始まる。



【第一章 end】

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