『糸の切れたマリオネット』
6
……………。
…………………………。
「……、…わかった。俺にできることなんてないかもしれないけど、力になるよ」
アンドロイドだとか、逃げてきただとか…疑問と不安は少しあるけれど、俺の見た限りこの男がそれほど危険な奴には思えなかった。事情も知ってしまったわけだし、何かしてあげたいとも思う。
俺の言葉に男は瞠目したかと思うと、いきなりガバッと抱き着かれた。
「わ!ちょっ、ちょっと何…っ!?」
「真紀ありがとう!」
そう告げられ、男にぎゅうぎゅう抱きしめられる。ちょっと痛い。
「わ、わかったから離せって」
間に手を置いて突っぱねていると、男は少し力を緩めてくれたが、解放はしてくれない。
アンドロイドだとわかっていても、同性に抱きしめられるのは変な気分だ…。
「…ありがとう、真紀。俺、掃除でも洗濯でも、何でもするから」
「ん?掃除って…え?」
ちょっと待て。
掃除でも洗濯でもするってことは、ここに住………
一緒に住むってことじゃないか……!!!
「…真紀?」
俺の強張った体に男が疑問符で問う。
…失念していた。匿うってそういうことになるじゃないか。それ以外しようがない。なのにそんなこと頭からすっぽ抜けてた。
………でも、承諾した手前もう引くに引けない。
彼の力になりたいと思ったことに違いはないんだから。
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