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『糸の切れたマリオネット』


とりあえず怪我の処置もして一段落した…が、


「あ…。あんたこれからどうするんだ?」

そういえばと素朴な疑問。

まるで物語のような非現実性。理解しがたい話ではあるが、あの傷口を見せられた手前、この男が人外であることはわかった。

男は逃げてきたと言った。恐らく、そんな国家機密並みの存在が逃げ出したとあらば、あちら側も草の根わけて捜しているだろう。

「逃げてきたって言ったけど、何処か行くつもりだったのか?」

俺の質問に、男は突然真剣な顔になる。

「真紀……、お願い。暫く匿ってくれないか?」

「へ?」

力強く、ガシッと俺の両手がイオのそれに包まれる。

「…行く宛てがない。でもずっととは言わない。迷惑もかけない…ように、努力する。だから、」

「えっ、ちょ、ちょっと待って!匿うって…む、無理無理…!俺そんな大それたこと出来ないって…っ」

「真紀……」

ちょっ、そんな捨てられた仔犬みたいな目で見んな!

匿うとか普通に言うけど、相手は国家級。そんなものを敵に回して俺にできることなんて、悲しいかな何もない。学生である俺は経済的にも無力だ。そんな一般市民にこんなこと託されても荷が重すぎる。

「やっぱり…迷惑か…」

「あ…あの、そうじゃなくて…っ」

男の沈んだ顔に焦る。でもこればかりは……






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あきゅろす。
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