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『糸の切れたマリオネット』


日本はおろか、世界でもこのようなロボットが発明されたという話は聞いたことがない。それ以前に、現代の科学技術がこれほど進んでいたことすら知らなかった。
男が言うには、彼のような存在は国家機密並みの重要事項らしい。知らなくて当然だと。

「俺は、製造コードI.O.0017−M.AI。人工知能を持った人型アンドロイド。…ある理由で研究所から逃げ出した」

「人工…知能」

俺は、男の言うことを理解しようと必死で頭を回転させる。
男の話はどれも現実離れしていて、気を抜くと思考が止まってしまいそうになる。

人工知能の精度はかなりのもので、日常生活を送る分には支障がないほどの完成度らしい。無意識からくる生命活動から、喜怒哀楽などの感情。より人間に近い動きを実現させ、その外見もまた可能な限り忠実に模した。限界はあるが、それでも俺が本物の人間と見紛うほどの精巧さは持っている。この男が隣にいたとして、誰がアンドロイドだと疑うだろう。

「俺は開発途中だけれど、それでも最低限は機能している。…この怪我も、時間が経てば自動で治癒するんだ。そう、プログラムされている。だから…大丈夫」

「……そっか…。でも、痛みは?」

「痛覚はある。これがないと生命の危機回避が難しい。でも意図的に遮断することも可能だ。それに、例え深手を負っても、普通の人間より回復は何倍も早い。心配はいらない」





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あきゅろす。
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