たんてい☆部 我ら探偵部! この世の中には、普通の人間には不可能な力を持つ者が存在する。 魔方使い…と言うべきか? あのマジシャンのような、炎を出す人間を… しかもそれを扱うのはまだ幼い顔立ちの少女… 私は、研究すべくありとあらゆる時間と努力を費やした…だが、なにも見つからなかった… あれは夢なのか…と思っていたが… 私は、目の前にいる炎の少女を…いま、目にしていた。 時は2016年、東京…まだ未来化しきれていないのが現状だ。 そんな東京の駅から、一人の少年が出てきた。 「なんでこんな人がいないんだ…?」 駅のまわりを見渡しても人ひとりも居なく…謎であった。 それもそうだ、時刻は夜中の3時、居るとしたら酔っぱらいぐらい。 「へえ、東京っていっても…酔っぱらいはいるのね」 にやにやしながら俺はふらふら歩く人をみていた。 おっと、俺の名前は白神 勇斗(しらか ゆうと)まだ高校生だ。 勇斗、そう彼がこの物語の主人公である。が、彼はまだこれから起こることをまったく知らない。 「とりあえずここに行けって言われたけど…どこだよ、これ?」 一枚のメモ用紙に書かれた紙をポケットから取り出すが、女の子っぽく書かれててよく伝わってこない… それになんだ、このブタ?みたいな絵は…姉ちゃん、もっとわかりやすく書いてくれ。 そもそもここに来たのもすべては姉ちゃんがあんなこと言うからである… それは1週間前の出来事… 俺の家には父親、母親と毎日居ない日が5年続いていた… だから母親…っていったら間違えだと思うが、姉ちゃんが母親の代わりになっていた。 姉ちゃんの名前、白神 英梨奈(しらか えりな) 姉ちゃんはなんでもできちゃうのだ。料理は当たり前だが、母親がやっていたことを当然のようにこなしていた。そんな姉ちゃんは一昨日、とんでもないことを言ってきた… 「ねぇ、勇斗…大事な話があるんだけど…いい?」 「大事な話?」 煎餅をぽりぽりと音をたてながらテレビを観ていた勇斗。 英梨奈姉ちゃんはなにか深刻な顔をしていたのでテレビを消し姉ちゃんに問いかけてみると… 「勇斗、あなた来週から東京の学校行きなよ」 「は?」 おもわずぽろっ、と煎餅を口からおとしてしまう。 「えっと、姉ちゃん…いまなんて?」 もう一度聞き返してしまう。すると姉ちゃんはにやにやしながら「だから、東京」としれっと言ってきた。 「いいじゃない、東京よ?それも美少女校よ?」 「んなことは聞いてねぇ」 まぁ、美少女校ってのは気になるけど… そのあと、色々反対したけど…結局……ここに来ちゃったわけだけど、東京なんて来たことないからまったくわからない… と、ぼーっと突っ立っていると道路沿いから爆音を轟かせながら近づいてくる音が…鼓膜が破れそうな爆音を轟かせながらバイクが横を通りすぎていった。 なるほど、あれが暴走族… なんて感心していると暴走族のリーダー格?であろう奴が俺の方に戻ってきた。 キノコヘルメット…と言いかけたがそれはスルー。 「ってこっち来やがった!?」 爆音とともに俺の前にスレスレドリフト、そして停止。 キノコヘルメットとサングラスを外すと如何にもって感じの頭悪そうなリーゼントが出てきた。 これはまさか… 「あの…いったいなんですか?」 先に口を開けたのは俺の方からだった。 絵に書いたようなリーゼントでモミアゲがなんだかウザい。 やたらとこっちを見てくると思ったらなんだか俺のこと睨み付けてきてるし… 「おい…」 「あ?」 おい、と言ってきたから俺が一言で威圧すると相手はビクッて…ん? 「んだよ、なんか用か?」 「あ、あたぼーよ!てめぇ金出せや」 「金…?」 あぁ、と理解し俺は逆に睨み返してみる。 「な、なんだぁ?やんのか?」 すごく腰が曲がってるけど…こいつ喧嘩したことないな。 「よし、いいぜ…喧嘩は好きじゃねぇけど、やるか」 「て、テメェ…調子にのるなよっ!」 勇斗とリーゼント頭の拳が交互に放たれる瞬間、なにか声が聞こえた…それも、これは…懐かしい声。 「待って、二人とも」! その声がすると勇斗、リーゼント頭は拳の動きを止める。 そして、先に俺が声のする方に向くと、そこには… 息を切らしながら俺たちの前に止まる女の子が一人。まだ寒いからであろうか上にはパーカー、でも下はスカート。ただそのスカートがまたエロい…ってなにいってんだ俺… 横を見るとなんかリーゼント頭が俺を睨んでくるし… 「もぉ…はぁ、はふぅ……島國くん、これはどういうこと?」 「え、あ…いやこれはあの…」 「わたしは勇斗のことを迎えにいってあげてって言っただけなのに…なんで喧嘩なんてしちゃうの?」 「ぐばぁっ!?」 あれ?ていうかこの娘、さっき俺のこと迎えに来たみたいなこと言ったけど… 女の子は腰まで伸びた長い髪、身長は俺のお腹ぐらいまでしかなくかなり低い。そして、小さいわりになんか色っぽい…見ているこっちがドキドキしてくる。 「ゆーくん、久しぶり♪」 「あ、あぁ…」 いま気づいた…こいつは、俺の幼馴染みだ… 幼馴染みであるこいつの名前は高嶺 鈴(たかみね りん)聞く話によれば俺がこれから行く学校の生徒会長らしい…まぁ昔隣に住んでた女の子が今じゃ高校生にして生徒会長まで登り詰めているという…近所の叔母さん達には自慢できるであろう。 ちなみリーゼント頭の彼の名前は島國 健夏(しまくに けんか)というらしい…名前もアホらしいけど鈴とはどういう関係なんだ? そんなことを疑問に思っていると後ろからリーゼントが俺と鈴の間からなんか俺に対して威圧するかの如くガン見してくる。背中越しでもよくわかってしまうところがなんか嫌だが… そんな緊迫した中、鈴は俺の腕に抱きついてきた。 「なぁっ!?て、テメェ…羨まし…いやいや、なにしとんじゃボケェっ!高嶺さん、さ…こんな男からは離れて…」 「こんな男ってなんだよこのリーゼント凶器がっ!」 「ちょっ、ちょっと二人ともっ…」 ぎゃいぎゃい騒ぎ立てていた…夜中だというのに。 でも、俺が笑っていられる時そんな長くは…続かなかった。 その時、は…なぜか寒気がした。 その寒気は、東京に来てからだ… いままでにはないこの寒気…体調が悪いわけではない。かといってこの馴染んでいない、というわけでもない… と、考えていると腕に抱きついていた鈴が離れキョロキョロし始めた。 「…おい鈴、どうしー」 「しっ、ゆーくん静かに」 いきなり黙ったかと思ったらこんどは人の口を押さえてきた…ん? よくよく考えたら…こんなことされるの初めてだな…鈴の手、すげぇ柔らかい… ってなに考えてんだよ俺っ!久しぶりに鈴と再会したからって…こ、こいつは幼馴染みでそれ以上は踏み込んでいないっ… 「も、もが…もががっ!」 (うっさいわ、ちと黙っとれや!) バシッ 息を止められじたばたする勇斗の頭を健夏がおもいっきり叩く。正直痛かった。 |